カクレマショウ

やっぴBLOG

家庭科から学ぶサスティナブル

2007-10-03 | ■教育
「持続可能な開発」というフレーズ、最近よく耳にするようになりました。英語で言えば、"sustainable development"(サスティナブル・デベロップメント)。要するに、将来世代に負荷を残さないような社会・経済開発をしていきましょうという考え方です。1992年、リオ・デ・ジャネイロで開かれた「環境と開発に関する国際連合会議」で、「持続可能な開発」を旨とする「アジェンダ21」が採択されたことに端を発し、その10年後の2002年には、この言葉を冠した会議「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(ヨハネスブルグ・サミット)が開催されるに至っています。

あえて「持続可能な」が強調されるようになったのは、裏を返せば、地球の将来が「持続不可能」になるかもしれないという危惧によるものでしょう。今のままの開発の方法では、近い将来、必ず地球は立ちゆかなくなってしまうという恐れ。しかも、それは決して遠い未来のことではなく、ここ何十年かのうち、自分たちの子どもや孫の時代にさえやってきてもおかしくないという不安。

「持続可能な開発」とひとことで言っても、様々な分野、方法がありますが、最も私たちに身近なのは、やはり「食」に関する領域でしょうか。日本のように、食べたい物は何でも食べられるし、食べたくない物はどんどん捨てることもできて、しかも食糧自給率が極めて低い国にあっては、持続可能な環境の実現につながるような食生活について考えることは、とても大切なことです。

その方法として、一つの好例が新聞で紹介されていました。「調理実習 「サスティナブル」の発想で」という、ある小学校の先生の取組です(2007年10月2日付け朝日新聞)。家庭科の調理実習は、言うまでもなく、調理方法を学ぶことだけが目的ではありません。ここでは、「環境に配慮しつつ、おいしく調理する」ことを目指し、自分たちでメニューを考え、食材を選ぶことに挑戦させています。

たとえば食材に関しては、「旬の食材を選べば、温室栽培などの必要がないため地球環境への負荷が少なくなる。生産地からの輸送エネルギーを意識し、より近い土地で出来たものを選ぶ、いわゆる「フードマイレージ」の発想も重要だ。国産の食材、地元の食材を選ぶ理由の一つもここにある」とあります。また、野菜の皮はできるだけ薄くむくことによって生ゴミを減らすといったように、無駄なく食材を使うことによって環境保護につながるという考えも実感できる。

こういう訓練をしていくことによって、「食べるために食べる」だけでなくて、時には「環境のこと、地球のことを考えながら作り、食べる」ことも大切だよねということに気づいていくのでしょうね。

面白いなと思ったのは、調理実習で豚汁を作るのに豚肉を忘れてきたって、野菜をじっくり炒めればそれなりのおいしい「豚汁」になるという話。「ないところで工夫するという心意気はサスティナブルの精神そのもの」とおっしゃる。持続可能な環境…なんて言われると、ひたすら「我慢」しなくちゃいけないのかとも思いますが、もちろんそれなりの我慢は必要だけど、「最低限のところ」で楽しむということをもっと知ってもいいでしょう。そろえようと思えば何でも一通りそろってしまう社会の中で、なくても何とかなる、何とかしてみるという体験はとても大切だと思います。

私なんかの世代では、家庭科は中学校や高校では女子だけの履修でした。今は男女ともに必修となっているのは、当然といえば当然です。こうした調理実習だけでなく、家庭科という教科には、家庭人、社会人、地球人として生きていくための重要なポイントがたくさん詰まっています。家庭科こそ、キャリア教育の要といっていいかもしれません。

いわゆる「ジェンダー・フリー」問題で、家庭科の教科書が取り沙汰されていますが、「男女」という区別をする前に、家庭科は、「人間」としてどんな生き方、暮らし方、働き方をするのかを学ぶ場であってほしいと思っています。

 

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2 コメント

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Unknown (留学生の母)
2007-10-04 07:11:17
20年前、夫が留学のため、2歳の子を連れてアメリカに行きました。
数日すると、子供がおにぎりを食べたいと言って、泣いています。
マーケットには、カリホルニア米のコシヒカリが売っています。
しかし、電気釜が無いので、米が炊けないのです。
遠い記憶をたどり、「始めちょろちょろ、中パッパ、赤子無い手も蓋取るな」を思い出して、ご飯を炊きました。
サバイバルは大事です。
今回、2度目の在米生活ですが、娘は20歳です。
1ヶ月先に渡米した娘は、体重が5キロも減っていました。理由は、料理は、コンピュターのレシピどおりにしか作れないが、調味料が手に入らないからだそう。
ハンバーガーとステーキは飽きたので、1日1食だったそうです。
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Unknown (やっぴ)
2007-10-04 23:41:19
留学生の母さん こんばんは。

サバイバル…ですか。
考えてみれば、毎日がサバイバルの子どもたちも世界中にはたくさんいるのでしょうね。

なんか日本人って、一番最初にくたばりそうですよね。
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