2020年、新型コロナがまん延し始めた時に、私たちを恐怖に陥れたのは有名人の相次ぐ死であった。その中でも志村けんさんの死は衝撃的であった。あれほどテレビで活躍している人である。治療には最善の処置が施されるに違いない。それにもかかわらず、彼はあっけなく亡くなったのだ。そのニュースが私たちを震えあがらせたのである。後で聞けば、志村さんは様々な病を抱えており、コロナ感染はそれらの病気を急激に悪化させたに過ぎなかったそうだが、それにしてもあっけない死だったのである。その当時、誰がコロナを志村さんにうつしたのかが詮索されたのだそうだ。誰がうつしたかなど問題ではないだろうと思うのだが、当時は犯人探しが行われたようだ。その犯人だと名指しされたのが大阪・北新地の「クラブ藤崎」でママを務める藤崎まり子さんだ。本人には身に覚えのないことなのに、net上で、流布されてしまった。藤崎さんは２０年５月以降、デマを書き込んだ投稿者の氏名や住所を知るため、開示を求めて裁判手続きなどを進めた。最初にデマを発信した人が誰かははっきりしないままだが、拡散させる行為にも責任があるとして、開示された約４０人のうち、示談に応じなかった２６人について、今月１３日付で提訴した。提訴準備にも金がかかる。藤崎さんの場合には1000万円近くかかったという。それでも彼女はひるまずに提訴に踏み切ったのだという。（くちなし亭、2023.05.18）
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