軍によるクーデターは戦後、多くの国で起こっていた。その背景は民主主義に対する軍ではない。極左勢力の浸透に対する軍の蜂起である。ミャンマーのように国民が望む選挙で選ばれた政権が軍のクーデターで倒されたようなケースでは国民は黙ってはいない。軍に対する反乱がおこるのである。サハラ砂漠の南に位置するブルキナファソで１月、軍の一部が反乱を起こしカボレ政権を倒した。選挙で選ばれた政権を倒した軍に民衆の怒りが渦巻いているだろうとこの国を訪れた記者の目には、あっけにとらわれるほどに、このクーデターを歓迎している民衆の姿があったという。そこには識字率も４割と低く、一部のエリートに支配され、格差が広がる社会があったのだが、ここにも軍が危機感を感じるものがあったのである。それは北から浸透するイスラム過激派の勢力である。ロシアではプーチン大統領に対する軍のクーデターがささやかれているが、これは西欧諸国の希望であって、起こることはないだろう。そもそも、前線で死んでいる兵士の多くは、チェチェンやジョージアなどのモスクワなどの大都市に住んでいるロシア人ではないのだ。軍がクーデターを起こす土壌はないのである。（くちなし亭、2022.06.17）
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