何か、きな臭い。ウクライナ戦争で、アメリカもロシアも手一杯の状況の中で、漁夫の利を得ようとする動きが起こる。トルコである。トルコがシリアとの国境地帯で活動するクルド人に対して、攻撃を開始すると発表した。シリア政権を支持するロシアはトルコに対して、自制を呼びかけているが、力強さはない。ロシアはフインランドなどのNATO加盟阻止やウクライナでの停戦にトルコの力が必要なのだ。トルコが国境地帯のクルド人組織に攻撃を加えれば、玉突きのように、戦いがシリア国内に移っていくだろう。従来なら、駐留ロシア軍が阻止に向かうのだが、現状は無理だろう。ロシア軍の後ろ盾を失ったシリア政権に対抗する力が残されているとは思えない。アメリカもトルコに自制を求めている。アメリカの心配はクルド人組織が壊滅的な打撃を受けることだ。アメリカにも、今、クルド人に支援する余力はない。微妙なバランスの上に成り立っているシリア情勢にトルコが風船に針で穴をあけるような行動をとれば、シリアだけでなく、経済悪化で極端な治安の悪化に見舞われているレバノンも含めて、中東のこの地域が一気に爆発しかねない。下手をすれば、エジプトやサウジアラビア、イラクまで巻き込むかもしれない。（くちなし亭、2022.06.04）
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