風塵社的業務日誌

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池上本門寺

2009年12月07日 | 出版
昨日は、久しぶりに墓マイラーの旅に出ることにする。目指すは、大田区の池上本門寺。ここは力道山のお墓があり、墓マイラーにとっては聖地のようなところであるが、実は小生、まだ行ったことがなかった。14:00に、東急線池上駅前であきやまさんと待ちあわているので、助手のトントンを引き連れて池袋から山手線に乗り込み、五反田で東急池上線に乗り換える。
この池上線にも初めて乗ってみた。3両編成で、井の頭線というか江ノ電みたいなのどかな電車である。駅間が短いので、チンタラと少し走ってはすぐに次の駅。鉄オタにはたまらない路線なのかもしれないが、小生にはその平和さが耐えられない。それでも20分ほどで目的の池上に到着。少し時間があるので、駅前のマックで昼飯代わりにフィッシュバーガーセットを腹にぶち込む。しかし、マックのコーヒーはクソまずい。なんとかしてほしいものだ。
14:00に無事あきやまさんと落ち合い、早速本門寺を目指す。駅前に本門寺への順路がデカデカ出ているので、それにしたがって向かうことにする。駅前の東京三菱UFJを曲がればそこから参道で、妙に葛餅屋さんが多い。このへんが葛餅の名所とは知らなかった。モンペを売っている変わった店もあり、すでにあきやまさんとトントンがはしゃぎ始めている。それでも、すぐ本門寺の門の前に到着。
立派な門をくぐると、目の前には急な石段がそびえている。着工は加藤清正によるもので(現在のものは後世に作り直されたものだろう)、96段あるそうだ。途中までのぼって下を振り返ると、京浜工業地帯のけむりがよく見える。階段の頂上付近にたどり着くと、ドンドン、ドドドン、ドンドン、ドドドン、と、日蓮宗独特の太鼓のリズムが聞こえてくる。
「これじゃまるでアフリカン・パーカッションですよね」と小生が言えば、「UFOが見えてきますよ」とあきやまさんが応えるので、思わず笑ってしまった。仁王門をくぐると、正面の大堂からも別の太鼓の音が聞こえてきて、見事にシンクロしている。細野先生がサンプリングすれば、必ずやUFOを呼び寄せる音楽を作ることだろう。
仁王門から正面の大堂を眺めると、この建物の屋根が高くて広く、錯視を起こしているような感じになる。ドンドン、ドドドンが鳴り響く中を大堂に向かいとりあえずは見学。当然のことながら、賽銭なんて投げるわけがない。坊主に賽銭するくらいならば、ドブに金を捨てた方がマシである。
大堂の天井には巨大な龍の絵が描かれているのであるが、あまりに大きいのと抽象的なのとで、パッと見で龍とわかりにくい。入り口に向かって頭を後ろにそらせれば、なんとなく龍だとわかるのであるが、それをあきやまさんに説明してもなかなか理解してもらえない。
大堂を見学したところで、いよいよ墓マイラーを始めることにするが、どこにだれのお墓があるのか、さっぱりわからない。下調べを忘れてきたのだ。本行寺という隣接する末寺につながる道があるので、そこに下ってみることにする。周囲の林は深く、どこもかしこもお墓だらけ。これはどうしたものかと考えても、まったくしょうがない。足の向くまま回ってみることにする。
山門を抜けると立派な松の木が出迎えてくれて、そのまま右手の方に歩いてみる。すぐお墓ゾーンに突入し、その辺をしばし彷徨ってみるが、あまりに広くてどうしようもない。なんでもこのお寺で日蓮が亡くなったそうであるが、そういうことには大して感心がわかない。
これはまいったなあと、本門寺のほうに向かおうとすると、何やら立派な墓所に出くわす。なんじゃこりゃと見てみれば、本門寺の歴代貫首が埋葬されている「歴代墓所」というところのようだ。貫首の埋葬を特別にするということは、人の死を差別化しているわけであり、日蓮宗というのはいやな宗教だなとチビッと思う。
あきやまさんが歴代墓所の背後に立っている塔をカメラに収めていると、トントンが中年夫婦と元気なおじさんの3人組に捕まっている。元気なおじさんが親切にお墓のガイドをされているようで、その中に取り込まれてしまったようだ。これ幸いと、我々もその中に取り込まれることにする。
このおじさんがめちゃめちゃ詳しい。隠れキリシタンのお墓から、お万の方(家康側室)、狩野探幽、溝口健二と案内してくれる。しかも小走りにスタスタ進みながら、「ぼくのペースに着いてきて」などと我々をリードするから笑ってしまう。本物の墓マイラーとはかくあるのかと、小生は少々感慨に打たれることとなった。
我々を少し案内してから、「ぼくはこのあと用事があるから」とそのおじさんは別れていき、一緒についてきた中年夫婦に手書きのお墓の地図のコピーをいただくことになる。街歩きをしているときは、だいたいインプロヴィゼーションまかせで、とくに計画なんてなくてもうまく行くものであるが、今回もうまく行きすぎた。
その地図を頼りに、今度は力道山先生の墓所へと向かう。墓所の前には力道山先生のブロンズ像(画像)が立ち、台には、梶原一騎、真樹日佐夫、三沢光晴、小橋建太らの名前が彫られている。ここは人気スポットらしく参詣者が絶えず、だれもがブロンズ像にまかれているチャンピオンベルトに触っていくのか、そこだけテカテカと光っている。
そのまま周囲を歩いていると、今度は虎の石像を飾ったお墓に出る。これは大野伴睦(政治家)のお墓のようだ。それにしても、お墓に虎を置く感覚がいかにもバカッぽくて笑ってしまう。ついで児玉誉士夫の墓を回り五重塔の前に。五重塔を見上げていると、今度は別のオジサンに捕まってしまい、延々と話を聞かされる羽目になる。なんとなくこのオジサン、身よりもない感じで人恋しそうであるが、こちらとしても、いつまでもオジサンの話を聞いているわけにもいかない。もっとしゃべりたそうなところを途中で打ち切り、そのまま観覧台に登ってみる。よく晴れている朝ならば、富士山まで見えそうだ。あきやまさんはそこで夕日の撮影。
お次は日蓮像を見ることにする。福岡市の東公園にも巨大な日蓮像があり、ハトの糞にまみれたその姿に微笑ましいものを感じたことがあるが、ここの日蓮像はなんとなく偉そうで風情がない。なんでも辻説法している姿を像にしたそうな。そういえば、日蓮の墓を見るのを忘れてきた。
そこでまた長い階段を下り、まずは近くの葛餅屋に入る。小生はビールとところてん。この程度ではまったく満足しないので、駅前を通り越して別のお店に入り、長い総括会議を行うことになった。
しかし、東京とは思えない一角で、そのうえ天気にも恵まれ、楽しい一日となった。日蓮に感謝しておこう。

もう一人の力道山 (小学館文庫)
李 淳【イル】
小学館

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