風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

本郷へ(2)

2018年05月31日 | 出版
ようやく旧居を出発して新居に向かうことになる。歩いて一方通行を確認したときは、銭湯のところで左折すれば、スムーズに新居の前に出るはずであった。ところが、その銭湯の看板が旧居からの方向からは見えにくく、うっかり通過してしまった。「どうして、あんたはしっかりナビしないのよ!」と妻の罵声が飛ぶ。「どうしてって、過ぎちまったものは過ぎちゃっただけだろ。おまえの問いの立て方がおかしい」「バカじゃないの!そんなことを聞いてるわけじゃないでしょ!」「とにかく、左折できるところを適当に左折するしか道がないだろ」「どうして反省しないの!」「反省したって事態の改善にならないだろ」すると、いささかきつく曲がらなければならない路地の角に出くわした。「わたしねえ、まったく車両感覚がないんだから、こういうところを曲がりたくなくて、さっき確認したわけでしょ!」「だから保険に入っておいたじゃないか」夫婦でそんな口論をしているだけでウンザリしてくる。
しかし、その角も無事に通過し、新居に到着。そこに荷物を下ろしている間、風塵社の住所を覚えていない妻はサッカーミュージアムをナビに入力。こうして、ようやく本郷へと向かうことになる。
細い路地を進んでいくと山手通りに出る。そこを左折して大通りを直進したいのだけれど、これが難しい。左折レーンに入ってくる車が多いのでタイミングをはからなければならない。ようやく車の流れが切れたので山手通りに入り、川越街道へと向かうことになる。あとは、大きな通りをチンタラ走っていればいいだけだ。後ろの車に迷惑をかけようがどうだろうが、事故さえ起きなければそれでよろしいというわけである。
すると、妻がバックミラーを見ながら、「後ろの赤いベンツ、ちょっと近すぎて怖いんだけど」と言う。どんなに接近してきても、まさかぶつけるようなことはしないだろうと思い、「東京のドライバーは落ち着いているから大丈夫じゃないの」と答える。「そうよねえ、福岡は荒っぱしいからねえ。よく西日本新聞に車の運転の苦情の投書が出ていたよね」「西日本新聞なんて読んだことがないから知らない」「じゃあ、あんた学生のころなに読んでいたの?」「寮で取っていたのが朝日で、それと赤旗」「なんで赤旗なんて読んでいたの?」「ある先輩に講読を頼まれて3カ月分くらい払ったのかな。そうしたら、金を払わなくても毎日勝手に配達してくれるから、無料で読んでいた」「フーン。新しいところの本棚に突っ込んだあんたの本を見ていると、ヘンな思想系の本ばかりで頭が痛くなるから、落ち着いたらカーテンかぶせてもいい?」「そりゃご自由に」
ようやく熊野町交差点を左折して川越街道に入る。そこから高架を春日通り方面に向かえば本郷までまっすぐである。そこで、ナビの日本語がおかしいことに気がついた。道なりに右に曲がるというところを、「右の方に曲がります」と伝えるわけだ。その表現だと、右折すべきなのかと勘違いが生じる。音声の耳障りさとあいまって、慣れないカーナビには不愉快な印象しか持てなかった。しかし、慣れている人にはベラボウに便利なものなのだろう。
高架の上で左に進路を取り春日通へと出る。シャラッと池袋を通り越し、新大塚に出る。知らないとここは難しいのかなと思っていたら、すべて右に流れるようになっているようだ。つまり、直進したら公園に突っ込むだけなので、そうならないよう規制されているわけである。そのうち、小生のジョギングコースに出る。いつも走っているところが車窓からだとこう見えるのかというのは、なかなか新鮮な感覚だ。
そのままラクーアの脇を抜けようとすると、ナビは白山通りを右折せよと指示を出す。なんでやねん、そんなもん本郷通りに出てからでいいじゃんかと直進する。すると、真砂坂の交差点で信号待ちをすることになる。「慣れない車での坂道発進って怖いよねえ」と妻が言う。「そんなのさあ、軽くアクセル吹かせたままにしていればいいじゃん」と述べると、「あんたはねえ、助手席に座っているだけでしょ!運転しているのはわたしなのよ!」とまた妻の罵声が飛んできた。
そしてようやく本郷3丁目の交差点に着くと、なんと、そこは右折禁止ではないか。標識を見て、ああ、そうだったと小生もようやく気がついた。そのためにナビは白山通りで右折するよう指示を出していたわけである。しかし、春日通りをここまで来てしまった以上、あと戻りはできない。ナビの指示に従って、消防署通りでようやく右折することができた。そして本郷通りに一度出てから、すぐにサッカー通りへググッと左折しないければならない。こうして、ようやく風塵社にたどり着くことができ、無事に荷物を運び入れられた。
しかし、運び入れても狭い社内、これからどうしようという方針があるわけではない。前にも述べたが、弊社の決算と合わせた社内整理を行ってなんとかするしかないだろう。これはこれで難儀なことだ。その前日某氏に指摘されたのではあるけれど、弊社周辺は湯島天神のお祭りである。あちこちにその準備をされている人々を眺めつつ、われわれは池袋へと戻ることになる。

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