舞台上は 積み上げられた新聞紙の山、他 オーブン・缶から等 拾ってきたものばかリ。
アストンは たった今、食堂を解雇されたばかりの ホームレスの老人まで拾ってきた。
雨漏りのする 老朽化したこの建物の 管理人にしたいと思った。
アストンは裏庭に やはり拾ってきた木材で小屋を建て 物を作る作業をしたいと思っている。
アストンの弟ミックは 度々この部屋を訪れるが それは心を病んでいる兄の様子を見るだけでなく この建物を 理想のコンドミアムにしたいと思っているから。
兄の留守中に ホームレスの老人、デービスに出会い リフォーム後の管理人にしたいと思った。
管理人として雇われるには 身分証明が必要だ。
今はデービスと名乗っている老人だが 本名は別にあり、歩きやすい靴があれば この大雨が上がったら シッドカップに取りに行くと言う。
アストンが手に入れた 靴はどれも気に入らず おまけに雨はやまない。
兄弟それぞれに管理人にと乞われたデービスは どんどん態度が大きくなっていきます。
堪り兼ねたアストンが 部屋を出ていくように言います。
一番まともに見える弟ミックですが 夢を実行に移す気配は感じられず、デービスは本当にシッドカップに身分証明書があるのか 眉唾もの。
屋根にコールタールを塗らなければね と３人で話し合ったが 実際雨漏りを直したのは 精神病院帰りと 蔑まれるアストンだった。
こうすれば こうすれば と 何も現状を変えようとしない 弟と老人。
結局 どうみてもまともとは見えないアストンだけが 現状を変える。
雨はまだ 降り続いている。
『管理人』は イギリスのノーベル賞作家、ハロルド・ビンター（1930～2008）の1959年作の戯曲です。
生涯 変えなかったという ”ビンタレスク” （不条理？） という作風だそうです。
今では ビンタレスクは 一見 妙な文脈でも通用するものを指す形容詞になっています。
国民投票で欧州連合の離脱を決めた英国のメイ首相の交渉力を ビンタレスクと評した人がいるそうです。
アストンに 忍成修吾
ミックに 溝畑順平
デービスに 温水洋一
ともに好演、開幕から展開が読めない緊張感が続きました。
演出の森新太郎氏曰く 「シアタートラムでなかったら上演しなかった」
１１日観
ｂｙ 風呼 
