ピカソ・マニマニア

ピカソの91年を 詩にしました。
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アスピリン

2010-03-20 14:04:08 | 詩作


日本薬局方の薬です。



 アスピリン


具合が悪くなると
雨戸を閉めた
暗い部屋に寝かされた

内科医だった父は

「罹(かか)ったものは仕方ない。
 水分を十分に摂って
 体を休めていれば
 大体の病気は癒(なお)る」

と 時々覗きに来るだけだった


年に一度だけ
扁桃腺を腫らし熱をだした
私の御用達(ごようたし)は
アスピリン 
朝半錠 夜半錠

熱が引けば食欲も出て
あっという間に回復した


「カチッ」

枕元で母が
歯で錠剤を半分にする音

六人兄妹の五番目三女

こんな一瞬しか
母を独占できなかった、
その割烹着の膝だけを

私は鮮明に
覚えている




枕元には 小さな丸盆に アスピリンの筒状の箱と ガラスの水呑み。

時々長姉が 蜜柑を絞って ジュースにしてくれた。
一房たりとも 姉の口にはいらないよう 熱で潤んだ目で 私は見張っていた。




        風呼r でした       



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