エンリコ・ピエラヌンツィ96年の作品です。メンバーはベースにマーク・ジョンソン、ドラムスにポール・モチアンで、新旧ビル・エバンス共演陣で固めいている格好になっているのが興味深いところですが、おそらくこれはアルファ・ジャズ側が彼を「新世代のビルエヴァンス」としてアピールするために、お膳立てして実現したのでしょう。こうした日本製舶来ジャズというのは、得てして企画倒れになってしまうところが多々あり、このアルバムもピエラヌンツィらしさという点で、他の諸作と比べるとやや薄まっている感じもありますが、特に致命的な訳ではなく、ピエラヌンツィにしてはちょいオーソドックスかな程度で、ピエラヌンツィ独特の世界を満喫させます。
曲目は半数がスタンダードとなりますが、冒頭の「イエスタデイズ」は湖の水面を思わすような、美しく澄んだピアノ・ソロが実に美しく、トリオとなってからはエレガントに躍動するピエラヌンツィ以外の何者でもない世界を繰り広げるていくのはさすがです。また、いかにもミュージカルらしいややバタ臭い旋律をもったこの曲を原曲が歌物とは到底思えない流れるようなテーマにデフォルメしていくセンスもまたピエラヌンツィとしかいいようがないものです。
ミュージカルといえば、これまたあの有名な原曲を、極端にデフォルメしたアレンジしているあたりも聴き所のひとつでしょう。原曲は中間部でちょっと暗示するだけ、フリー・ジャズにいく寸前のところでバランスしつつ、アップテンポに進行していく様は素晴らしい躍動感です。
私の大好きなスタンダード「アイ・シュッド・ルーズ・ユー」は、お馴染みのテーマをオリジナルとは違う句読点で区切ったような解釈で、これもまたピエラヌンツィ独特の感覚といえましょうか。
一方、オリジナルはどれも、物憂げで耽美的なムードを持った、いかにもヨーロッパ的な風景を思わせる曲ばかりで、2曲目のタイトル・トラックはちょっと初期のスタンダーズを思わせる典型的な欧州ジャズ調。マーク・ジョンソンのアルコをフィーチャーした「カンツォーネ・デ・ノジカ」はまるで室内楽のような仕上がりです。あと7曲目の「イット・スピーク....」は、フリーっぽいというか、アブストラクトな雰囲気をもった奇妙な作品ですが、この曲に限ってはもう少しアップ・テンポでやってもらいたかったですかね。
共演陣ではマーク・ジョンソンがピエラヌンツィと抜群の相性で、まるで彼の左手の如き活躍ぶりを聴かせてくれます。ドラムスのモチアンについては、この人ガピエラヌンツィと共演する時にいつも感じるのですが、少々メカニック過ぎて、ピエラヌンツィの流麗さとイマイチかみあってない気がしないでもないです。個人的にはジョーイ・バロンの方が好みかな。
曲目は半数がスタンダードとなりますが、冒頭の「イエスタデイズ」は湖の水面を思わすような、美しく澄んだピアノ・ソロが実に美しく、トリオとなってからはエレガントに躍動するピエラヌンツィ以外の何者でもない世界を繰り広げるていくのはさすがです。また、いかにもミュージカルらしいややバタ臭い旋律をもったこの曲を原曲が歌物とは到底思えない流れるようなテーマにデフォルメしていくセンスもまたピエラヌンツィとしかいいようがないものです。
ミュージカルといえば、これまたあの有名な原曲を、極端にデフォルメしたアレンジしているあたりも聴き所のひとつでしょう。原曲は中間部でちょっと暗示するだけ、フリー・ジャズにいく寸前のところでバランスしつつ、アップテンポに進行していく様は素晴らしい躍動感です。
私の大好きなスタンダード「アイ・シュッド・ルーズ・ユー」は、お馴染みのテーマをオリジナルとは違う句読点で区切ったような解釈で、これもまたピエラヌンツィ独特の感覚といえましょうか。
一方、オリジナルはどれも、物憂げで耽美的なムードを持った、いかにもヨーロッパ的な風景を思わせる曲ばかりで、2曲目のタイトル・トラックはちょっと初期のスタンダーズを思わせる典型的な欧州ジャズ調。マーク・ジョンソンのアルコをフィーチャーした「カンツォーネ・デ・ノジカ」はまるで室内楽のような仕上がりです。あと7曲目の「イット・スピーク....」は、フリーっぽいというか、アブストラクトな雰囲気をもった奇妙な作品ですが、この曲に限ってはもう少しアップ・テンポでやってもらいたかったですかね。
共演陣ではマーク・ジョンソンがピエラヌンツィと抜群の相性で、まるで彼の左手の如き活躍ぶりを聴かせてくれます。ドラムスのモチアンについては、この人ガピエラヌンツィと共演する時にいつも感じるのですが、少々メカニック過ぎて、ピエラヌンツィの流麗さとイマイチかみあってない気がしないでもないです。個人的にはジョーイ・バロンの方が好みかな。
/ この人は“綺麗だけど奇妙”な音を出しますね。
おしゃっること分かるような気がします。これって、彼の音楽のかくし味的な要素として、フリージャズ的なアブストラクトな感覚が見え隠れするところがそう感じさせるんじゃないですかね。
あっ、あと「The Chant of The Time」は基本的に本作と同じような「いつも彼より心持ちメロディアス&スタンダード寄り」な路線ですから、もし聴かれるのでしたら、ヨーロッパで制作されたアルバム方が、前述の奇妙な感じも含め、よりピエラヌンツィらしく楽しめると思います。ご参考になれば幸いです。
持っていますが、この人は“綺麗だけど奇妙”
な音を出しますね。
私には正直、それほどピンと来ませんでしたが、
欧州ピアノファンには大絶賛されている彼の
ことですから、このアルバムもきっと良いのでしょう。
機会があれば聴いてみたいと思います。