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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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サンタナ III

2005年12月06日 23時11分23秒 | ROCK-POP
 第3作は前作のほぼ延長線上です。「怒濤のラテン・パーカションと陶酔のギターに彩られたニューロック」というのが初期型サンタナだとすれば、これでもってほぼ完成したってところでしょう。また、前作は音楽のメリハリや洗練が印象的でしたが、こちらは音楽の厚みやパワー感のようなものが増していて、ある意味重厚な印象があります。では、収録曲を軽くさらってみます。

 冒頭の「バトゥーカ」はサンタナ節炸裂の典型的アフロ&ラテン・ロックですが、序盤から中盤にかけてサンタナと新加入のニール・ショーンの鋭角的ギターとの絡みで進み終盤あたりでグレッグ・ローリーのオルガンが登場するあたりの構成も見事なものです。メドレーで続く「孤独のリズム」は「僕のリズムをきいてくれ」の続編みたいな呪術的コーラスが印象的な作品で、ここでもサンタナとショーンか刻むギターのリフが実に強力で終盤は熱狂の嵐。3曲目の「タブー」はちょっと演歌的泣きの入るバラード風なミディアム作品。4曲目の「祭典」はこれまた典型的サンタナ・サウンドですが、みちらはローリーのオルガンが序盤で活躍して、中盤からサンタナのギター炸裂、割と複雑なキメを多用するあたりはバンドの成熟を感じさせます。

 旧B面に入って、タワー・オブ・パワーのブラス・セクションをフィーチャーした「新しい世界」は西海岸的な明るさがある曲調ではサンタナにしてちと異色かも。6曲目の「グアヒーラ」はラテン色が濃厚なエキゾチックな作品。7曲目「ジャングル・ストラット」は「バトゥーカ」トム同様、前半にサンタナ&ショーンをフィーチャーし、終盤間近でローリーが登場するアフロ&ラテン・ロック。「愛がすべてを」はもろウェスト・コーストしたポップな作品で、アコスティック・ギターのカッティングがいかにも西海岸。「情熱のルンバ」はアップテンポなルンバ・リズムで進む短いクロージング・ナンバーで、ここでもタワー・オブ・パワーをフィーチャーして不思議な明るさに満ちている。

 という訳でこれだというヒット曲がないせいか、いく分地味ではありますが、内容的には前作よりヴォリーム感がありりますし、それぞれの曲のテンションも高く、やはり傑作という名に恥じない仕上がりですね。サンタナのこれまでの三作はどれも旧A面が組曲風、B面はバラエティに富んだ作品を集めるという感じでしたが、本作では旧B面の収録曲にハード・ロック風なところがほぼ姿を消し、ウェスト・コースト的な明るさがちらほら見えてきて、いるのが、その後のサンタナを考えるとおもしろい点かもしれません。
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