UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

「真の力とは -この言葉は使いたくないんだが- 恐怖だ」

2019-03-03 00:51:08 | 日記
今日の日記は、まだちゃんと読んでいない本をみなさんに推薦するというまことに心がけの悪い手抜き日記です。そんないい加減な日記は読むだけ時間のムダと思われる方はどうか遠慮なく読み飛ばしてくださいませ

3月1日の午前、まだ霞がかかっているオツムで「米朝 合意できず」という米朝首脳会談についての大きな見出しの朝刊を眺めておりました。まあ、そんなもんだよなあ、むしろこれからが本格的交渉の始まりじゃないのか、とエラソーに知ったかぶりを言う無責任評論家のブリッコをしながら記事を斜め読みしていましたら、勝手口のドアをトントンと叩く音がしました

誰だろうと思ったら、城址の公園、その近くのマンションに住む某知人、いきなり厚い本を一冊ニョキっと差し出して、「GGI、この本、なかなかオモロイ」と言ったかと思うと「オレ、これから別の用事がある、車、そこに停めてあるのでこれで失礼する」と言ってサッサと姿を消してしまいました。

知人がわざわざ持って来てくれた本、題名は

《FEAR 恐怖の男 - トランプ政権の真実》

昨年9月に米国で出版された本の日本語版です(2018年11月30日、日本経済新聞出版社、原題は[FEAR: TRUMP IN THE WHITE HOUSE]です。2200円、500頁)

大げさな題名の本は往々にしてマユツバものやトンデモ本が多いのですが、この本はどうやらそうではなさそうであります。

著者のボブ・ウッドワード氏(1943年生まれ)は47年間にわたりワシントン・ポスト紙の記者・編集者を務め現在は副編集長でもあるという人物です。彼は社会部の若手記者時代に当時のニクソン大統領のスキャンダル、ウォーターゲート事件(1972年6月半ばにワシントンD.C.の民主党本部で起きた盗聴侵入事件に始まった政治スキャンダル。ニクソン大統領が野党民主党の本部があるウォーターゲートビルへの盗聴侵入事件に関わっていたとされる事件)を同僚記者とともにスクープし、ニクソン大統領辞任のきっかけを作りました。このときの同僚記者との取材活動から「調査報道」というスタイルが確立されたとされており、ワシントン・ポストはウォーターゲート事件の一連の報道でピュリツアァー賞を受賞しています。

またボブ・ウッドワード氏は2002年には9・11テロに関する報道でもピュリツァー賞を受賞しています。彼のこのたびの著作は昨年9月に出版されて以来ベストセラーになり、すでに米国では140万部を突破しているとのこと。

今日の写真はこの本の表紙を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧ください。

本編に入る前に冒頭にトランプ氏の言葉が記されています。

《真の力とは -この言葉は使いたくないんだが- 恐怖だ》

2016年3月31日、ボブ・ウッドワードとロバート・コスタによるインタビューに答えた大統領候補ドナルド・J・トランプの言葉です。

次いで「読者への覚書」が記されています。

「本書のためのインタビューはジャーナリストの”ディープ・バックグラウンド“という基本ルールのもとで行われた。つまり、情報はすべて使用してよいが、情報を提供した人物については何も明かさない。これらの出来事に直接関わったか、それをじかに目撃した人々への数百時間のインタビューをもとに、本書は書かれている。ほとんどの人が録音を許してくれたので、記述の正確を期すことができた。登場人物の言葉の引用、思考、結論に関しては、本人から情報を得たか、じかに見聞きした同僚から話を聞いたか、あるいは会議のメモ、個人の日記、政府の文書、個人の書類をもとにしている。
 トランプ大統領は、本書のためのインタビューを断った。」

過日、トランプ大統領の政治が米国のいろいろな地域で何をもたらしているかを描いたマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー「華氏119度」が日本でも公開されました。マイケル・ムーアの突撃取材ともいえる映像はなかなか迫力に満ちたものでありましたが、ボブ・ウッドワードのこの著作は、トランプ氏の大統領就任後ホワイトハウスで何が起きているかを、トランプ政権における政策決定の仕組みに的を絞って、ホワイトハウス関係者、政権首脳や閣僚、軍・情報機関の関係者、国家議員など数十人におよぶ人物を対象に幅広く綿密な取材を行うことにより書き上げられたものです。

マイケル・ムーアの映画やこのボブ・ウッドワードの著作に接しますと、まことに無責任な言い方になりますが、日本のメディアによるアベ政権批判とは残念ながら雲泥の差であると感じざるを得ません・・・

ワシントン・ポストはその優れた報道内容で世界的に知られている新聞ですが、ウィキペディアなどによれば、ワシントン・ポスト紙は首都ワシントンを本拠地とする発行部数約66万部の新聞社、全米で発行部数が第5位の新聞社とされています。日本の何百万もの発行部数を誇る全国紙にくらべれば小さな新聞社と言っても差し支えないでありませう。日本の有力地方紙にはワシントン・ポストよりも発行部数が多い新聞社はいくつも存在しているからです。それでもこれだけ頑張っているのです。日本の大新聞社のみなさん、NHKや民放のみなさん、メディアは大きさだけが能ではないのですよ。もっともっともっとしっかりしなさい!

この本、公立図書館でも購入しているのではないか思います。図書館などで目にされたら手に取ってご覧になってみてください

以下、余談あるいは蛇足

この本はホワイトハウスの実態を丁寧に描いた優れたドキュメンタリーですが、GGIはこの本を手にしてかつて米国がベトナム戦争に直面した当時の大統領ケネディの政権の内幕を描いたディビット・ハルバースタムというピュリツァー賞を受賞したこがあるジャーナリストに手になる「ベスト・アンド・ブライテスト」という本(1972年)のことを思い出しました。

ベトナム戦争を始めたケネディ政権と、それを継いだジョンソン政権において国防長官を務めたロバート・マクナマラを中心とした「ベスト・アンド・ブライテスト」すなわち「最良の、最も聡明なはずの人々」が、いかにして政策の過ちを犯しアメリカ合衆国をベトナム戦争の泥沼に引きずりこんでいったのか、ホワイトハウスの内情を克明に描いたとても優れたドキュメンタリーです。この本も図書館などにおいてあるのではないかと思います。お薦めであります・・・

ついでのついでに申しますと、マクナマラの回顧録「マクナマラ回顧録、ベトナム戦争の悲劇と教訓」(1997年)も、よくここまで書いたなあと感心させられる著作です。日本の政治家はとてもマクナマラ回顧録のような、自分たちが犯した決定的失敗を直視したものを著わすことはできないでありませう・・・これもお薦めでございます・・・

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック!
 


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新日本残酷物語:あヽ残酷な... | トップ | 水仙、きれいやなあ、ええ匂... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事