UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

コロナによる死者数は抑えられている、けれども・・・

2020-07-30 00:50:09 | 日記
昨7月29日、日本での新たなコロナ感染者の数は1000人を超えて過去最高に達したとされています。先行きが懸念されますね。しかし、一方で、7月27日の朝日新聞(デジタル版)は 以下のように報じていました。

《世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は27日の記者会見で、新型コロナウイルスに対する日本の対応について「依然として成功例だ」と述べて称賛した。感染者は増えているものの、死者数を抑えていることを評価した・・・・テドロス氏は「結局は感染者数ではなく、どれだけ人命を救ったかが重要だ」と強調。感染者が増える中でも人命を救うことに力を尽くしているとして、日本のほかにオーストラリアにも言及し、「この2カ国は良い例だ」と述べた》

日本における死者数は昨日現在で1019人、確かに世界的に観れば低い水準にあります。最終的には感染者数ではなく、死者数を抑えることが大切という、テドロス氏の言は核心を突いた適切なものであると言ってよいでありませう。日本のコロナ対策についてはいろいろ議論のあるところですが、死者数を低い水準に留めているという意味においては、日本における対策はいまのところなんとか成功しているといっていいのではないかとGGIは思います(注参照)。これはひとえに医療や保健などの関係者の尽力の賜物でありませう。GGIは一市民として心から感謝申し上げます。

(注:もっとも、朝日の7月20日デジタル版は、20日現在の世界の死亡率の平均値は4.2%、日本は3.9%、また近隣の国、韓国は2.2%、中国は5.4%、世界の死者数は計60万人、日本の死亡率は世界の平均よりやや低い程度と報じています。世界の平均というのはまだそれほど流行していない国々も含んでの平均値ですから、日本は平均値に近いということになるのでありませう。現在大流行している国々どうしを比較した場合には、日本は欧米や南米の諸国などによりは明らかに低いことは確かでありませう)。

以上のように日本は今のところなんとかコロナ禍に対処しています。しかしながら、日本はこのたびのコロナ禍以前から人の命に関する無視することができない深刻な問題を抱えており、なかなかその問題に十分には対処できずにいます。

それは「自殺」(自死)という問題です。日本の自殺率は以前から先進工業国のなかでは最悪のレベルにあるとされています。

どのくらい多いのか、いつもながら手抜きでお恥ずかしい限りでありますが、「加害者家族バッシング:世間学から考える」(佐藤直樹・九州工大名誉教授、現代書簡、2020年4月、1800円)という本から具体的な数字を引用いたします。

《とくに二十~三十台の自殺率が高く、死因の第一位になっていて50%を超えている。1998年に、それまで2万人台であった自殺者は突如3万人を超えた。その後2011年まで3万人台が続いた。現在でも2万人近く(注参照)の人たちが自殺する。

(注:2019年の自殺者数の速報値は19959人。男性が139337人、女性が6022人。自殺者が2万人を割ったのは1978年の統計開始以来初めて)

《ここで自殺率の国際比較を簡単にみておこう。2015年のWHOの統計で、ニッポンは人口10万人あたりの死亡者数が19.7、世界的に見ると18位の高さである。

ちなみに、ニッポンより自殺率が高いのは、韓国が28.3(4位)とかなり高いが、あとは35.3のスリランカ(1位)、32.7のリトアニア(2位)、20.1のロシア(16位)など、発展途上国と東欧諸国がほとんどである。
 
 他の先進工業国を拾いだしてみると、フランスが16.9(26位)、スイスが15.1(35位)、アメリカが14.3(39位)、ドイツが13.4(45位)、ニュージーランドが12.6(47位)、オランダが11.5(52位)、オーストラリアが11.8(55位)、ノルウェーが10.9(64位)、イギリス・スペインが8.5(91位)などである。つまりこの国の自殺率が、先進工業国のなかで韓国を除けば、最も高いことがわかる。きわめて不名誉なことだが、過労自殺を含む日本語の「過労死」という言葉は英語に翻訳できず、karoshiがそのまま英語の辞書に載っているぐらいだ。英語圏では、労働は生きるためにするものであった、それで死ぬなどとは、およそ考えられないからである》
 
この本の著者の佐藤氏は、《警察が扱う「変死体」、警察用語でいうところの「警察取扱死体」はたとえば2008年は16.1万体であり、このうち犯罪に関係することが明かな「犯罪死体」(約900体)と犯罪の疑いがある「変死体」(約1.5万体)を除くと、残りの「非犯罪死体」は約14.5万体ということになるが、この中にはかなりの数の自殺者が含まれている可能性があり、自殺者の公式統計は操作されているのではないか、その疑いは拭えない》としつつ、さらに以下のように記しています。

《いずれにしても、先進工業国の中では、この国は圧倒的に自殺率が高いことは確かである。先ほどみたように、殺人率は世界一といってよいほど低い。つまりニッポンは、他人を殺すことはほとんどしないが、そのかわり自分を殺す。殺害のベクトルが、他人ではなく自分に向けられる。

これにたいして他の先進工業国では、ニッポンよりはるかに多くの他人を殺すが、自分を殺すことは少ない。つまり殺人のベクトルは、自分ではなく他者に向けられる。

端的にいってそれは、ニッポンには「世間」があるために、「空気を読め」などの同調圧力が強く殺人率は低く抑えられる。だが、空気を読み過ぎると、もともと同調圧力によるストレスが蓄積しているのに、その上「高度な自己規制」をして自分を抑えるので、ますますストレスがたまり自殺率が高くなるのだ・・・・》

今日も、他人の本を丸写しするだけという、安易な手抜きの日記になってしまいました。自殺問題というのは、考えようによってはコロナ禍問題よりもずっと深刻な、GGIには荷が重すぎる問題です。

日本ではコロナ禍により命を落とした人はこれまでに1000人余ですけれども、一方において、毎年およそ2万人、毎月々々1700人近くの人たちが自ら命を絶っているいるのです。2011年に起きた東日本大震災の死者が2020年3月現在で1万5899人であることを考えると、自殺者年間2万人という数字がいかに大きなものであるかがわかります・・・

毎年2万人もの人たちが生きる希望を立たれて自ら死を選んでいる、そのうえ二十代、三十代といった若い人の自殺率が高く、死因の第一位になっているとは・・・そしてコロナの犠牲者の背景には数多くの重症患者や感染者が存在しているのと同様に、自殺してしまった人たちの背後にはその何倍もの自殺を考えている人たちが存在していることを考えますと、この国はどこか深く病んでいるのではないか・・・と考えざるを得ません

もちろん、自殺を防ぐために、様々な社会的努力がなされてはおり、近年は少しずつ自殺者の数は減ってはいるようですが、なかなか容易には減っていかないようです

先日、自殺を防ぐための「いのちの電話」のボランティアをするために講習を最近受けていたという知人がやってきました。このGGIより若干若い人物、長年にわたり精神障害者の作業所の運営などに携わってきて、様々な障害を持つ人たちやその家族の人たちと日常的に接するなど、対人関係の経験がとても豊富なのですが、この講習会を受けた感想を次のようにのべて、嘆いておりました。

「臨床心理士がなどが来て講義などをするのだけれど、内容は形式的で通り一遍、世の中にはいろんな人がいるのだというあたりまえことが少しも分っていないよなあ、あれではとっても自殺しようと思い詰めている人を救うことなんか・・・」

日本で自殺者が多いことの原因について、「ニッポンには(西欧の社会には存在していない)『世間』があるために同調圧力が強いことにある」と佐藤氏は指摘しています。佐藤氏流に申しますと、さしずめ「日本には欧米にない『世間』という人々の行動を縛りつける強力なウイルスが以前から大流行しており、このウイルスが生み出す『同調圧力』という毒素で命を落とす人が跡を絶たない」ということになるのかもしれません

上記の佐藤氏の指摘が的を得たものであるかどうかは少なからず議論の余地があるのではないかとも思われますが、日本の社会のあり方が自殺者が多いことと何らかの関連性を有していることは確かではないかとGGIは思います。

などとエラソーなことを書きましたが、みまさんは日本の自殺問題についてどのようなお感じでありませうか・・・・

今日の写真は本文とは関係ありません。今年初めて咲いたわが庵の百日紅の花を撮ったものです。昨年はどうしたわけか一輪も咲かなかったのですが、今年はこれから次々に咲くことでありませう。よろしければクリックしてご覧くださいませ

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・

グッドナイト・グッドラック!