透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

漱石の「門」を読んだ

2021-10-02 | A 読書日記



 夏目漱石の『門』(新潮文庫)を読み終えた。過去ログ

**御米は障子の硝子に映る麗(うらら)かな日影をすかして見て、「本当に難有(ありがた)いわね。漸くの事春になって」と云って、晴れ晴れしい眉を張った。宗助は縁に出て長く延びた爪を剪(き)りながら、「うん、然し又じき冬になるよ」と答えて、下を向いたまま鋏を動かしていた。**(217頁)

暗いトーンの小説はこのような夫婦の会話で終わる。鶯の鳴き声を聞くようになり、ようやく春になったというのに、宗助はまたじき冬になるという。なんというネガティブ思考だろう。御米は宗助のどこに惹かれたのだろう・・・。宗助と御米の元夫の安井が再会することなく終わるような、起伏の乏しい小説を今の作家は書かないだろう。

やはり『それから』を読んでからこの小説を読んだ方が良かったのかもしれない。


 


1308 松本市四賀の火の見櫓

2021-10-02 | A 火の見櫓っておもしろい


1308 松本市四賀 3脚66型 撮影日2021.10.02

 県道181号沿い、保福寺町公民館前に立つ火の見櫓。外付け梯子


6角錘の反った屋根 てっぺんに飾りっけ無しの避雷針、蕨手も無し。半鐘は中心を外して吊り下げてある。消防信号板があるが外側に向けてあるので、半鐘を叩く時、見ることができない。だが、外側を向けてあることは珍しくはない。なぜ? 見張り台の高さは8メートルくらいか。


脚部の様子