ファンタジーなど

基本的に、いろいろなことの変なとこに突っ込みます。

UFOはもう来ない 山本弘著 PHP

2014-02-19 16:38:45 | SF
さすがト学会会長です。
良く調べて書いてます。


基本的にSFとして許容される事項以外で、変なとこを。

1:裸生活のこと

UFOを飛ばしているタコに似た生物の故郷惑星に四季があり、陸上に居住可能に進化したとありますが、毛皮や羽毛は無く、表皮の粘膜だけをたよりに生存しているようです。

すごい繁殖力のようですが、ごく一部の帯状地域に生存するだけでよかったとするのは無理だろう。

2:反重力装置による推進について

ドライブは、下方と前後左右だけじゃ不足。上にも付いていないとまずいかも。
月から地球に向けて発進する場合、途中で上下を逆にするなどの操作が必要。反重力ドライブだけでは危ないかも。

重力磁場ドライブとなると、ほぼ磁場のなさそうな月ではどうするんだろうか?

3:超光速通信は無いから、通信には恒星を使うこと

もっともなことですが、この小説では、その前提を無視して伝達してしまったようにしか思えない記述が・・・

P30で、最終シーケンス云々しますから、本拠地惑星への通達が必要だったはず。
さて、P31から恒星船が到着し、本拠地惑星から女性がやってきた場面。
恒星船で地球まで20日とありますから、連絡で往復したなら40日以上ということになるのですが。
P30の原因のTV放送から、そんなに経っていない・・・
(最終シーケンスを前提に来ているので、年数回の計画通りに来たからという弁護は無理)


4:異星人の子作りのこと

生涯一度だけ産卵し、男女40人ずつ作るとありますが、天敵のいなかったらしい惑星で、知性発達以前から共食いしない限り数は抑えられないわけで、ちょっと不思議。(一生一度の産卵に制限してはいるものの、産卵期は何度でもあると・・・)

さて、女の子一人を残して他の女の子を全員食うのは、良さそうな方法だけど、繁殖期に入る前に死ぬことを考えていない制度だから、それを絶対的な制度にしてしまうと、滅亡への道付けが確立されていることになって変。


5:P99:スキマーの減速について

スキマー(いわゆるUFO)を減速するってことは、運動エネルギーを何かに変えて捨てるとか、放出するなどの必要があるんだけど、そこのとこ忘れていませんか?
減速するためにエネルギーを作り出したら、さらに、その分も。


6:P110:反物質によるエネルギーのこと

核廃棄物が無いのはグッドだけど、出てくるガンマ線が半端じゃなく危険。核廃棄物から出るガンマ線より危険。
(安全とは書いていないから嘘を書いているわけではないw)

なお、半端じゃないエネルギーを使って反物質を作りながら、できた反物質を使ってエネルギーを生み出すというのは、いわゆる永久機関になり、エネルギーを得るどころじゃないことになるんだが、SFらしい逃げ道を作っているのご安心を?

反磁性体の水を磁力で浮かせるのは現実にも可能なようなのですが、その水と容器を反重力のための磁場に置いたら、むちゃくちゃになりそう・・・・
また、水蒸気にしちゃうと、水分子が飛びまくってしまい、反磁性体として閉じ込めるのというのは、もはや無理なはず。なので、このあたりは目をつぶったというとこでしょう。
(水蒸気はプラズマとは違うので閉じ込めるのには別の原理が必要)



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