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放射線ハローとポロニウム

2011-06-19 12:30:17 | 学問

創造論(世界的にはID論というらしいけど、日本では、まだこう呼ぶらしい)では、花崗岩から見つかったというポロニウムの放射線ハローを、天地創造の証拠のひとつとしているようです。

まずは、基礎を。

ポロニウムは、U238から始まるウラン系列に、Po218、Po214、Po210の3種があり、U235からのアクチニウム系列にPo215、Po211。Th232から始まるトリウム系列にPo216、Po212。Pu241からのネプツニウム系列にPo213があります。

ポロニウムの半減期は、Po208で3年弱、Po209で102年、Po210が138日ほどで他は、数日から、マイクロセカンドの極めて短いものです。

Po210は、ウラン鉱石中に 1/10000ppm程度存在するようです。他にPo211、Po216、Po218も微量ながら存在するようです。つまり、系列の始まりの元素がある限り、崩壊は続いていて、ポロニウムも生成され続けているので検出できるということです。

放射線ハローとは、岩石に閉じ込められた放射能物質がα崩壊するときに出す熱エネルギーで周辺に球状の痕跡を残しているもののようです。これを見るためには、顕微鏡が必要なようで、通常は薄く切って円形に見える写真で公開されるようです。(ちょっと不思議なのは、全部の直径が同一に見えることです。雲母の薄片だから、ハローの中心がほぼ同一平面にあるってことでいいんでしょうか?で、重なった隣の薄片のハローの影響は、あまり受けないと?)

では主題のほうへ:

ポロニウム単独のハローが云々と書いている方もいるのですが、写真はポロニウムになる前のハローも写っているようです。始めにポロニウムありきなら、ポロニウム以前のハローはどこにも無いはずですから、その場合は誰かが作った証拠と言えるでしょう。でも、そうなっていませんから、大部分はポロニウム以前から始まっているという証拠でしょう。

ところで、一部の人の記事に矛盾が見られます。「封じ込められていた時間とエネルギー量を考えればハローの半径は、もっとおおきくなければいけない」と書いておきながら、「各元素別に大きさは決まっている。つまり成長して大きくなることはない。」とも書いているのです。

岩石の生成にたとえ数万年かかろうが、数億年かかろうが、岩石化した後に、放射性元素が残っていさえすれば、放射線ハローが作られて残ります。(ここ大事!)

問題にされたポロニウムは雲母のPo218、Po214です。

これら2つはウラン系列にあります。U232>Th234>・・・・・Ra226>Rn222>Po218>・・・Rn218>Po214>・・・>Po210>・・・・>Pb206

Po218やPo214の前は、気体のラドンです。Rn222の半減期は3.8日。短い・・・・その前はRa226で1599年。岩石化するのに十分な時間がありそうです。

ラドンは気体ですから、移動可能です。位置が表面近くなら、雲母から飛び出すでしょう。でも、雲母って薄片が重なったシロモノですから飛び出しても雲母と雲母の間からは逃げれないでしょう。当然雲母に接触している内に崩壊しますから、雲母に放射線ハローが残ることになります(2枚に残るな・・・証拠ないかな?)。この場合、ポロニウム以前の痕跡は、そこには残りませんから、ポロニウムから始まっていると見えることになります。さらに、この崩壊でPbに変わりますが、雲母表面近くのことなので、どっかに移動可能です。いずれにせよ、ポロニウムが動かずに崩壊した箇所(始まりの元素ウランがまだあるはず)と、動いたあとに崩壊したところの分析が同じにならないのは、あたりまえのことです。

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1 コメント

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Unknown (カーツ)
2017-08-23 10:09:23
 初めまして。
 以下、創造論派からの反論です。

>岩石の生成にたとえ数万年かかろうが、数億年かかろうが、岩石化した後に、放射性元素が残っていさえすれば、放射線ハローが作られて残ります。(ここ大事!)

 上記の文章は、あなたが勘違いしたポイントでしょう。
 まず主題のポイントをまとめます。

「進化論派の主張が正しいのなら、先カンブリア代の花崗岩の雲母にポロニウムの放射線ハローなんて残るはずがないのだ。ところが、現実には放射線ハローの跡が残っているのだ。これは進化論派にとっては、ありえない現象であり、逆風である。だが、創造論派にとっては有利な現象であり、追い風である」
「《 岩石化した後に、放射性元素が残っていさえすれば、 》というのは、あなたの願望である。実際には放射性元素のポロニウムの半減期は短いので、放射性元素のポロニウムは残っていない。だから、ポロニウムの放射線ハローの跡も発生するわけがない」

 そこで、あなたは以下の文章も書いています。

>Po218やPo214の前は、気体のラドンです。
>ラドンは気体ですから、移動可能です。

 つまり、あなたの仮説は、こうですね?
「先カンブリア代の花崗岩の雲母に、気体のラドンが混入して、ポロニウムに変わったあと放射線ハローを発生させたのだろう」と。

 あなたが「混入の仮説」を主張するのなら、「混入の証拠」を見つけて提出するべきです。
 ところが、あなたの文章を読むと、あなたも証拠を見つけられずに困惑しているのです。

>でも、雲母って薄片が重なったシロモノですから飛び出しても雲母と雲母の間からは逃げれないでしょう。当然雲母に接触している内に崩壊しますから、雲母に放射線ハローが残ることになります(2枚に残るな・・・証拠ないかな?)。

 あなたは「混入の仮説」を主張しながら、「混入の証拠が見つからなかった」と自白して、白旗を掲げたのです。

 進化論派の科学者たちも、あなたと同じように「混入の仮説」ぐらい、すぐに思いついたはずです。2枚の雲母に同一の位置、同一の半径の放射線ハローが残った可能性も思いついたはずです。しかし、探しても「混入の証拠が見つからなかった」のです。
 今も混入の証拠は見つかっていません。だから、今なお、この謎は謎のままです。

 進化論派の科学者たちも、「岩石化した後に」、混入した事実なんて、なかったことぐらいは確認済みであり、それを前提にして論争しています。
 ですから、花崗岩に残るポロニウムの放射線ハローの謎は、今も進化論派にとっては逆風のままです。

 創造論派にとっては追い風のままです。「ちっぽけながら巨大なミステリー」(BY南山宏)のままです。
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