平成15年の出版です。SFと言うよりファンタジーっぽさが強いかも。中古で見つけました(安いです)。著者は、ト学会の会長でもあり、こちらの本領を発揮した小説です。
フェッセンデンの宇宙(エドモンド・ハミルトンの書いたSF短編)で示された、「何者かが、この世界を作って遊んでいるかも知れない」というのをテーマとした小説です。
さて、小説は、女の子を主人公として、彼女の一人称形式で展開されますが、彼女は著者そのもので、ものすごい質・量のうんちくを展開します(彼女だけではありませんけども)。まさに、トンデモ本やトンデモ理論の記事を延々と連ねたような、いわば集大成とでも言えるものでしょうか。
で、小説ですから、本物の記事、真の理論の中に、ウソの記事や、ウソや仮想の理論などが紛れ込んでいます。どれがウソとか調べるのは大変かもね。本物、ニセものあわせると半端な数と半端な分野数じゃありませんから。
ちょいと感想を:
1.彼女が6歳というところから話が始まりますが、とてもとても6歳どころで考える内容ではありません。プログラムのバグ云々は、プログラマーの道を歩んだ人しかわからないのでは。
2.たまに、なぜか第三者の視点が混じるようです。うんちくの展開に熱中しすぎて見落とした?
3.小説のすべては、どうも、彼女が、すべて完結した後に、過去を振り返って、その当時の視点で書いたとする形式になっているようです。で、ここで問題が:
3-1:心理描写は、一部は日記書いてるからということで逃げられるのですが・・・
3-2:話の内容がすごすぎます。すべて記録してないと無理なほどの内容の濃さだし、語る相手にしても資料見ないで、すさまじい程のうんちく語れるというのは、すごすぎます。ト学会の会員なら、この程度はできるってことかな?
3-3:しばしば、進行中に「当時は」って、書き込んでいるために、頭書の推測が成立するわけですが、これって小説としては、最悪でしょう。つまり、どんな展開になっても主人公は、無事であるということであり、ハラハラドキドキなんてしたくてもできません。ついでに言えば主人公の一人称記述ってだけでも先が見えてダメですね。短編とか、ひねくれた?作者でなきゃ殺しません。死んだ瞬間に小説が終わりますからねー
4.超常現象に、そりゃ誰も信じねーとツッコミ入れたくなるようなのが出てきます。著者がこの小説は、まったくのウソなんですよと主張しているようで、しらけちゃうんです。この小説マジに信じられると困るなと入れた?お茶目すぎでは?