品種登録が変わりました。
一方に、商標登録もあり、おもしろいことがわかりました。
以前から品種名と、商標登録名は、同じには、できないとなっています。
イチゴの「とちおとめ」は品種名で、「あまおう」は商標なんだとか。
「とちおとめ」は保護期間切れで、どこでも苗が買えるようになり、
イチゴ生産者は後継のイチゴの「スカイベリー」に代えましたが、
「スカイベリー」は、商標だそうです。
商標は、品種が変わっても使い続けられます。
つまり「あまおう」、「スカイベリー」は、色・姿・味が変わっても、
その名前で売り続けることができるのです。
~色・姿が変わったら、ニセモノ騒ぎが一杯出そうw
さて、品種名の管理は30年間続けられることになりましたが、その管理を
続けるには年数が経つに従い料金も上がり10~30年目には、毎年
¥36000を払い続けなければいけないようです。
払うのを止めると品種名管理が切れるようです。
品種名を他のに使って欲しくないから登録したいな~という希望を叶える
システムは、このお金を払い続けるシステム以外には無いようです。
でも、これも31年目には、切れます。
なので、基本的に、品種名は保護されていないものばかりになるようです。
手広く名乗った者勝ちみたいな?
期限切れの品種名を全く違う品種に名乗らせてもよさげです。
~いいのか、これ
期限切れの「とちおとめ」を全然違う物に名付けて売っても法律的には
問題がなさそう・・・
普通の人もイチゴの名前と認知しているから違和感有りまくるだろうけど。
福寿草で、「小菊」と「寿」と呼ばれる古典品種が江戸時代から大正時代
までは、あったようです。
~江戸時代から続く品種を古典品種と呼ぶのが福寿草の習わしです。
小菊と寿との違いは、花の大きさだけが違う八重咲き種です。
~品種のいくつかは、種での増殖も可能で、江戸時代のままなのかは、
不明です。
秩父真紅は、株分けすると花が小さくなり6cmを切ります。
その後放置株分けせずに置いても、株が絡みすぎて死滅・枯死し始める
だけで、花が大きくなることはありません。
~20年前の売り手は、株分けした株を売ってくれたせいで、
一度として7cmどころか6cm越でも咲いたことはありません。
秩父真紅を、紅色の濃い花と誤解し、秩父紅をその名で売っていた
人もいた節もあります。
7cm越の大輪を維持するには実生して株を別に作らないといけない
のです。ここに交配や、突然変異の可能性が入ってきます。
なので、江戸時代の秩父真紅と今のは、かなり違うだろう、紅色が
より濃くなっただろうと推定出来ます。
~タネを植えてまともに咲かせるまでに6年以上は掛かります。早い物で
3年目に咲くものもありますが、直径1cm程度の黄花一重です。
これ4年目でも、直系1.5cmあたりでやはり黄花一重です。
気の長い趣味になります。
秩父紅という品種があります。秩父の野生種の紅花が元です。
ほったらかしで話題にもなります。
栽培された方は、どんどん紅を濃くしました。江戸時代には秩父真紅
として7cm越の大輪花を生み出しました。
~昭和以後も、秩父紅系の品種がやたらと増えています。少し色が濃く
なったとか、花弁の数が増えたなどで違う名前を付けて高く売ろうと
いう路線です。
すでに、江戸時代に秩父紅は、野生種とは完全に別種となったのです。
「旧秩父紅」と呼ばれる品種?も存在します。これも、野生種の秩父の
紅花野生種と比べても、きれいな紅色です。
~野生種が盗掘販売の対象にはならない程、秩父紅は進化したのです。
昔、ある農園主が、福寿草の八重咲きの小輪の花を交配で作り出し、小菊が
既にあることを知らずに、「小菊」の名前で大々的に売り出したそうです。
そのせいか?、本来の小菊が、寿の名前で売られるようになったようです。
~平成福寿草の会の判断によります。同じ判断で「寿」は絶滅と。
今なぜか、「旧小菊」とする品種が保存されているようですが、見た目で今の
寿=小菊とは違う品種に見えます。
間違えて?売り出された「小菊」が、今どうなっているのかも不明です。
~大正時代に、福寿草の品種をまとめていた中村農園の方の残した記録が古典種
判断の元になっているようです。写真は、残しておらず、花の印象の記録だけ
のようです。花の大きさも大中小だけで、4cm越えると大のようです。
さて、国際的に発表された論文でつけられた福寿草の4種の大分類。
誰も、逆らわないと思います。
~でも、その分類前にミチノクフクジュソウ(陸奥福寿草)と名付けて売った
名前は撤回しないようです。ラモサ種であるとのコメントも、ミチノク種で
はないとのコメントも付けないようです。
~過去の論文中に、染色体数の調査で、4種に属さない古典品種に属する
園芸品種が複数存在しています。福寿草でひとくくりできるので、とりあえず
放置の構えかも。
福寿草の染色体数は、ラモサが2n=32の4倍体、他の3種ミチノク(マルチ
フローラ)、キタミ、シコクは2n=16の2倍体です。
特殊なのは、大鳳(2n=40)、福禄寿(2n=40)です。
他に、ハイブリッドの2n=16と、2n=24(3倍体)が多数あります。
ハイブリッドの2n=16は、キタミとミチノク、あるいは3倍体とミチノクかキタミ
との交配種です。それぞれの特徴が混在しますが必ず出るとは限らず、種の付きが
少し悪いという程度ですから見つける・見分けるのが難しいかと。
3倍体は、ラモサ種と2倍体との交配種です。2倍体の花粉を使わないと結実しない
ため、ほぼ違う品種のタネができます。タネが付いてもわずかな数です。
虫任せだと、花100個に2粒程度です。
なお、千重咲き(花粉のみ取れる)、万重咲き(シベが全く無い)も種での増殖は
不可能です。
大陸側には、福寿草の別種がいくつも存在します。うち、日本に入っているのは
中国産白花(完全な白花)と、夏咲き福寿草(一年草の完全な赤花)だけのようです。
遺伝子操作で、完全な白花、赤花の福寿草が作れそうで期待が持てます。
~日本種に完全な白花、赤花はいまだに無いかも。白花は黄花で咲いた後に
退色して(色が抜けて)白っぽくなる花です。赤や紅は、黄色混じりの色です。
ついでに、緑花もほとんどは黄色が混じっています。ただし2段咲き・3段咲き
の花では、混じりの無い緑です。
今は昔、鹿沼花木センターで売っていた黒羽根福寿草は、キタミとマルチのハイブリッド
でした。現在、同じ名前で売っているものは茎も葉も見た目で別物とわかります。タネの
付き方をみたら3倍体でした。花だけは似ています。福寿草の基本の黄花一重~二重です
から当たり前ですが、ここまで違うのに同じ名前で売る度胸に驚きます。
~最初、黒羽根産の福寿草を黒羽根福寿草の名で売った方も、災害で出荷不能になった間に
全く違う福寿草を、同じ名前で売られてもどうしようも無かったそうです。
名前に何の保護も無かったし、今も無いのですから。
おまけ:
~古典にもなっている福寿海という品種があります。
タネは付いても粒なので、3倍体。
茎を切ると中実と中空の2種類があるのです。中実はラモサ種とキタミ種の性質。
中空はマルチ種のものです。運良く2つ買って両方に当たったのです。
~茎については、植物園の方にメールして茎を確認して貰いました。
解答は、「中空・空実の両方があります」でした。
1茎に付く花は多数。キタミだけが1花です。
咲いている花に違いは見つかりません。黄花二重は、福寿草の基本の花です。
以上から、ラモサとマルチとの交配の3倍体と判断できます。
~ラモサ種の普通の福寿草とマルチ種の普通の福寿草を交配すると、ほぼ全部が
福寿海と区別できない福寿草になるのではないかと思います。
ミチノク(マルチ)種だとの言及が増えました。茎を切ればすぐわかるおかげかも。
~福寿草は、根を1本1本切り離して根伏せして増やすこともできます。植物なので枝変
わりと同じように根変わりという現象があり、変異種が生まれることがあります。