安倍晋三首相は今年、集団的自衛権行使を可能にした安全保障関連法や環太平洋連携協定(TPP)参加などについて、国民への「丁寧な説明」を強調してきた。ただ実際は、テレビ出演は特定の放送局に偏り、記者会見の回数も減少。安保関連法などで突っ込まれるのを警戒したとみられ、一方的に発信する傾向を強めた1年だった。

 「大変率直な意見交換ができた。新しい日韓関係を構築していくスタートに立てた」。11月、韓国での日韓首脳会談を終え、帰国した首相は羽田空港からフジテレビに直行し、BS番組に出演。歴代首相が首脳会談後に行ってきた記者会見はせず、約1時間にわたり外交成果をアピールした。

 首相が今年出演した報道・情報番組はフジテレビ、日本テレビ、NHKの3局と系列局。政権によるメディア選別を防ぐため、歴代首相は各局順番で出演すると、内閣記者会と取り決めてきたが、安倍首相は第2次政権発足後にルールを変更し、自由に出演番組を決めている。官邸筋は「首相は放送局が発言を編集できない生放送で、持論を訴える時間が確保できる番組を選んでいる」と明かす。

 首相の記者会見も13年は20回、14年は19回行われたが、今年は13回。一方、安保関連法案が国会審議中の7月、自民党のインターネット番組に5回出演し、法整備の必要性を繰り返し訴えた。党のネット番組には13、14年、各1回しか出ていない。

 上智大の田島泰彦教授(メディア法)は「いろいろな角度から問題を掘り下げるのがメディアの役割。首相が政権に批判的な番組出演や質問を避け、自分の主張を宣伝する手段としてメディア対応を考えているならば、非常に独り善がりだ」と指摘。「憲法改正に本腰を入れ始めたら、一層メディアを選別する傾向を強めてくるだろう」と話す。

 

【出典】2015年12月30日配信「北海道新聞」

 

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