tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの利上げ方針は不変、この所何故か円高ですね?

2018年01月14日 12時54分31秒 | 経済
アメリカの利上げ方針は不変、この所何故か円高ですね?
 リーマンショックの元凶アメリカが、世界に先駆けて景気回復し、FRBは着実に金融の量的緩和、そして金利の引き上げという目標に向かって進んできています。

 為替、金融市場では、こうした動きは当然ドル高につながるはずと見て、例えば日本ですと、円レートは130円ぐらいになるだろうといった解説がされたりしています。

 アメリカは雇用も堅調、2%インフレ目標も視野に入り、残っている問題は経常収支の赤字がなかなか思うようには改善しないことでしょうか。
 それでも、ダウ平均は、連日のうに史上最高を更新しています。アメリカ経済の基調は強いという認識は広がりつつあるようです。

 さらにトランプさんは、アメリカの経常赤字は、アメリカ国民が悪いのではない、大統領がきちんとしなかったからだと言って、「アメリカは優れた武器を沢山持っていますからどうぞ買ってください」と武器セールスを積極的に展開しています。

 毎年の経常赤字が消えるほど武器が売れるかどうか解りませんが、それにしても良く解らないのは、こうした情勢を受けてドル高にならないという現実です。
 やはりアメリカの通貨当局は、ドル高にならないように細心の注意を払いつつ金融政策を展開しているのでしょうか。

 基軸通貨国、世界一の経済大国だからこそ可能という事もあるでしょう。一方、日本の実情を見ますと、2%インフレ目標を堅持する、その達成までは異次元金融緩和を変えるつもりはないと言いながら、量的緩和はかなり縮小しているようです、国際環境の中で、長期金利も上昇の気配があるようです。

 もともと異次元金融緩和は、アメリカの真似をして、円安目的で導入したものと思っていますが、マイナス金利導入あたりからその劇的効果は消えてきているようです。
 異次元緩和の副作用が指摘される中で、同じ発言の繰り返しではなく、国としての為替戦略にも新しい発想が要請されているのではないでしょうか。

 日本の経常黒字は増えていく様相です。それにつれて、対外債権も増えていくでしょう。その多くはドル建てでしょうから、円高・ドル安で目減りします。勿論円高の苦労は日本人は良く知っています。

 アメリカが金融正常化を進めても、ドル高がアメリカの基本方針だと言っても、現実にドルは上がっていません。
 早期に金融正常化に手を付け、副作用の深刻化を避けるためにも、日本は日本なりの、新しい戦略を考える必要があるのではないでしょうか。
 アメリカが利上げ継続を主張し、実行しているうちがチャンスなのでは・・・。

元総理2人の「脱原発法案」提起に思う

2018年01月12日 15時02分51秒 | 政治
元総理2人の「脱原発法案」提起に思う
 総理大臣と言えば日本一の権力者という事になるのでしょうが、つくづく感じるのは、偶々総理大臣をやっているからで、総理大臣を降りてしまえば、その権力は消えてしまうという事です。
 何のことはない、総理大臣というのも、企業内研修などでやる「ロールプレイング(役割演技法)」みたいなものかと感じます。

 2人の大物元総理が揃って、脱原発を言っても、現担当大臣や官房長官の「原発は安全で必要です」の一言で片付けられてしまうという印象です。
 それでは世論に訴えてという事で、超党派の法案提出を目指すという事になるようです。時の総理大臣が「原発ゼロ」というのとは大変な違いです。

 ドイツはすでに脱原発の方向に踏み出しているのですが、重大事故を起こした日本ですが、政府はまだ原発は必要という認識のようです。

 細川さんはもともと原発反対と思いますが、小泉さんは率直に「私は、日本の原発は安全だと信じていたけれども、福島原発のメルトダウンで原発推進論者、必要論者の言っていることがウソと解ったわけです」と言っています。

 かつて流行った言葉で言えば「転向派(共産主義からの)」です。私の感じでは、転向派の人々の信念は特に固いように思います。
 我々世代の日本人は殆どそれに似た経験を持っています。終戦までは、「兵隊さんになり、敵国と戦って、国のために死ぬことが素晴らしいこと」と信じていました。
 しかし、その後の知識・情報の獲得で、人類社会のために為すべき事は全く別の事だと理解し、それは決して変わらないでしょう。戦中派は殆ど戦争は嫌いのようです。

 我々は、原発についても、かつては「大地震があったら原発の敷地に逃げ込みなさい。そこが一番安全です」などと教わり、 日本の技術は凄いのだと信じていました。
 そう教えてくれた人も、そう教わって、そう信じていたのでしょう。

 今は、日本列島を襲う天災の可能性に対して、原発が万全だと信じることはできません。所詮人間は自然には敵いませんし、大事な時に往々誤りを犯すものです。

 そして、さらに重要なことは、いわゆる「トイレ」の問題、発電した結果の「後始末」、放射性廃棄物の処理にどれだけのコストがかかるかが解らない(正確な計算は不能)という問題です。
 核分裂はひとたび起こせば半永久的に( 通称10万年)続いてしまうものなのです。

 現政府はが、原発利用をいつまで続けるつもりか解りませんが、当面、そして将来必要になるコストは解らぬままに、「将来の人類に対応を委ねよう」という、ある意味では責任放棄の上にあるのが今の原発でしょう。

 原発を即停止しても、後処理コストは膨大でしょう。しかし、継続していくより増えないことは明らかです。
 原発が停止している間も、日本は、きちんと電力供給をやってきています。さらに、原発に頼らないことを決めたとき、日本人のエネルギーに関わる創意工夫・技術開発は恐らく見るべきものがあるでしょう。

 現総理や、関係閣僚も、ロールプレイングの役が変わった時、どう考えるのかわかりませんが、今は情報は十分あるように思います。「役割演技」ではない本当の心を知りたいものです。

先端技術と人間

2018年01月11日 15時37分14秒 | 科学技術
先端技術と人間
 平成30年も10日経ちました。日本では年末商戦も多少活発だったようで、新年には福袋も、高額のものも含めて、かなり活況だったようです。
 年初来株価も上げ基調、昨日、今日は円高と利食いで反落ですが、評論家は口をそろえて先行きは高いと説明し、我が国としては、良い年の初めと言えそうです。

 そんなところに2つほど困ったニュースが入ってきました。1つは、アメリカはラスベガスの世界最大の家電見本市、「CES」で2時間の停電があったというニュース。もう1つは、PCやスマホのCPU(中央演算装置)に深刻な欠陥が見付かったというニュースです。

 ともに、現代エレクトロニクスの最先端を行くことを誇示、標榜する代表格のイベントや製品ですが、やはり人間のやること、100%完全とは言えないという現実を突きつけられたような気がします。

 CESの停電の方は、インテルが「CES2018最大のヒット商品、『Blackout』をご紹介します」とツイッターに書き込んだとのことで、特に事故でもない限りジョークで終わることもできる事かもしれませんが、よく考えれば深刻な問題も含まれているような気もします。

 CPUの問題の方は、中身はとても分かりませんが、これからあらゆる物がIoTでつながり、自動運転車からVRの世界まで人間の機能が多様に拡張され、そのコアとなるべきCPU ですから、これは本当に深刻な問題ではないかと感じてしまいます(ハッカーなどという困った人たちもいるのです)。

 CESの停電は、前日の大雨のせいで変圧器に不具合が生じたようだと説明されたそうですが、日本式に言えば、この重要なイベントの前、大雨もあったというのであれば猶更、点検の方はどうだったのか、という事になり、不完全な点検という人為的なミスとされるでしょう。
 やはりアメリカの自動車に故障が多い、日本では売れないといったことと関係なしとは言えないのではないでしょうか。
 そういえば、日本でも長期不況以来現場力の低下で、ケアレスミスが多発すると指摘する先輩たちもいるようです。

 CPUは超複雑なものだけに、これは大変でしょう。先日、メーカーの指示に従って修正したら、ほかの機能が動かなくなった、急いで修正しないように、というネットへの書き込みを見ました。
 どちらかというと新しもの好きの私ですが、躊躇しているところです。

 IT、IoTの心臓部ともいうべきCPUです。これからますます進歩しなければならないでしょう。しかし、そうした技術革新は進化すれば進化するほど、「完全性」(=安全性?)の確保は難しくなるのではないでしょうか。

 マイクロエレクトロニクスといった言葉が生まれて以来、その進歩は著しく、われわれの生活の便利さは飛躍的に増大しました。しかし、その背後には、常に、人間の絶え間ない緻密な努力があって、初めてそれが可能になっているという事を、われわれ自身の行動への反省とともに、何か強く感じさせるニュースのような気がしています。

IMFも強気、世界経済の動き

2018年01月10日 23時40分35秒 | 国際経済
IMFも強気、世界経済の動き
 政治の混乱、絶えない紛争などを抱えながら、世界経済は何とか前進を続けているようです。
 世界経済の見通しについては、IMF(国際通貨基金)、OECD(経済協力開発機構)などが発表していますが、総じて、今年、来年はと順調な成長を続けると予想しているようです。

 具体的に見てみますとIMFの世界経済の成長見通しは、2017年が3.5%、2018年が3.6%、2019年が3.7%となっています。
 OECDのエコノミック・アウトルックでは、2017年が3.6%、2018年が3.7%、2019年が3.6%と、いずれも、いわば高原状態です。数字は全て、実質成長率です。

 勿論手放しで好調を予測しているわけではなく、米国経済の先行きが必ずしも安定的でないとか、中国経済は金融面の脆弱性を持っているといった超大国の主要な問題点から、例えば、日本については国債残高の累増など、種々の面は指摘しつつも、相対的には順調な成長ペースを維持可能と見ているようです。

 矢張り、基本的には、リーマンショックで世界経済が金融恐慌に直面してからほぼ10年を経過し、ショックにより歪みのもたらす諸問題を、それぞれに苦労して解決しながら、一応の整理と復興を目指し、漸く安定的な経済路線に到達できたという所がベースにはあるのではないでしょうか。

 主要なところを国別に見ますと、IMFでは米国、2017-19の3年間が2.2%、2.3%、1.9%、ユーロ圏は、2.1%、1.9%、1.7%、とやや低め、中国は、6.8%、6.5%、6.3%、インド、は、6.7%、7.4%、7.8%、などで、新興大国の中国とインドが逆方向というのも興味あるところです。

 因みに、日本は、1.5%、0.7%、0.8%、となっており、2018年度の政府見通し1.8%よりだいぶ低く(0.7%ただし暦年))なっていますが、これは、日本が人口減少などで元気が出ないと読んでいるとのことです(それでも日本について2018年度0.1%の上方修正をしています)。
 OECDの日本についての見通しは少し高く上記の3年間については、1.5%、1.2%、1.0%、となっています。先進国についてはOECDの見通しの方が多少高目に出ています。

  IMFについては、日本の実体についての理解が多少足りないような気が時々していますが、いずれにしても、主要な国際機関が、世界経済について、こうした比較的楽観的な見方をしているという事は、日本にとっても環境条件は良くなる可能性が高いという事です。日本経済にとっても追い風でしょう。

 新しい年、新しい年度には一つ、国際機関の鼻を明かすような実績を上げていきたいという所ではないでしょうか。

世紀の天才か!トランプ大統領

2018年01月09日 16時44分14秒 | 政治
世紀の天才か!トランプ大統領
 今日は株価も上がったり下がったりで行く先が良く解りませんが、今から書こうとしていることも、行く先が良く解りません。半分「お笑い」のようになるのかもしれません。

 トランプ大統領が「私は天才だ」と言ったそうです。しかも「stableな天才だ」というのですから、精神的には極めて安定しているという自負があるのでしょう。
 
 きっかけはかつてトランプ大統領の最側近と言われたバノン氏ら多くの人たちに取材したジャーナリスト、M.ウォルフ氏の『炎と怒り』の出版について、お得意のツイッターなどで反論したことのようです。

 それぞれの人の発言の真偽のほどはまさに「藪の中」で全く解りませんが、恐らく、大多数の人は「私は天才だ」と 言ったトランプ氏の発言にビックリしたと思います。

 特に、日本人は「自慢」が好きではありません、どちらかというと控えめの方が、好感を持たれます。アメリカ人は違うようで、自分の長所を徹底的にアピールすることで認められようというのが基本的な考え方ですから、日本人の受け取り方とアメリカ人の受け取り方はかなり違うのでしょう。

 例えば、日本人の反応は「そういえば狂気と天才は紙一重」とか「天災なら良く解る」などと言った揶揄が多いようですが、アメリカでは矢張りトランプ支持はあまり影響を受けていないようです。

 トランプさんは「ドラえもん」のジャイアンによく似ているなどという感想も以前からありましたが、ジャイアンは「母ちゃん」には絶対頭が上がりません。そこでバランスが回復されているのですが、トランプさんには誰が「母ちゃん」(アメリカの世論?)でしょうか。

 ところで、トランプさんは、北朝鮮の金正恩氏とはまともに好敵手を演じていますが、これを本気でやっているのか、(天才として)先の先まで読み切って「これで大丈夫」と解っているのか、われわれ凡人には解りません。

 その他、ラストベルトの復興、メキシコの壁、エルサレム問題、パリ協定・TPP離脱、などなど、常識的には可能性に乏しかったり、国際的に問題を引き起こしたりですが、天才の着想や戦略は凡人には理解できないのが当然なのでしょうか。

 しかしこうした問題は、回答が出ないわけではありません。結局は時間が回答を持って来てくれるのでしょう。その時に、トランプ大統領は本当の天才だったのか、自称天才だったのか結論が出るのでしょう。

 しかし、それまで待っていていいものかどうか、これも解りません。そしてこれに今現在回答が出せるのは、アメリカ国民なのです。
 アメリカの世論は「ジャイアンの母ちゃん」になれるのでしょうか? それともトランプさんの方が「ジャイアンの母ちゃん」より優れた天才なのでしょうか?

TPP・11:日本の取るべきスタンス

2018年01月08日 11時51分07秒 | 国際関係
TPP・11:日本の取るべきスタンス
 平成不況とアメリカの関係は前回で「いざなぎ越え」に入るところですが、いずれ続けることとし、今回は米抜きTPP、通称TPP・11について取り上げました。

 TPPについては当初「 TPPの胡散臭さ」などと書いてきましたが、これは、アメリカが自らの万年赤字を何とかしようとの意図が見え隠れするからでした。
 しかし、その後の進展ではアメリカ代表のフロマン氏の人柄か(日本代表の甘利さんの努力もあったのでしょう)アメリカの都合だけでなく12カ国全体の発展に役立つようなものになりました。
TPP決着の中身と説明を聞いて」を書きましたが、一方アメリカではTPP反対の意見が強まり、トランプ政権はTPPなど無視することになりました。
 環太平洋諸国の将来に役立つものであってもアメリカが当面損するならやらないという事でしょう。

 先ずは損得勘定に立つトランプ政権らしいところですが、TPPが、紆余曲折の末、アメリカ抜きでやろうという事になったのは関係国の素晴らしい判断だと思います。
 アメリカも自分に関係ないものを壊す事は出来ませんし、壊してしまえば、そこへ出てくるのは中国という懸念もあったのでしょう。

 自国の利害優先のアメリカは多国間交渉には興味を示しません。多国間交渉は参加国みんなの役に立つことを優先し、自国の利害はその中に見出すというのがその本質でしょうから、TPPは、環太平洋諸国の共生と共益を求めるものです。

 この、共生と共益の思想は、日本に似合っています。日本は戦後、アジアにおいて、平和と経済発展を最重視し、「人畜無害で役に立つ国」というスタンスで外交経済活動をやってきたと思います。

 これは、そのルーツを遡れば、2000年以上も前の日本、 外来文化の影響で倭国大乱などと言われる状態になる以前の1万余年の日本文化の形成期「縄文時代」に培われた日本固有の文化(注)と言われるものにあると言えるようです。

 アメリカは万年赤字に悩まされ「日本は沢山の武器を買ってくれる」などと国民に説明しなければならない状況です。
 一方アメリカが警戒する中国は、その巨大さの故でしょうか国の統一、ガバナンス維持に巨大な金が必要でしょう。
  アメリカは、今現在「アメリカ・ファースト」、中国は、かつて「愛国無罪」などという言葉が流行した国です、人畜無害と安心できない要素があるようです。

 日本は、そうした意味では、経済、技術、文化など、いろいろな意味で、共生、共益を実践できる国でしょう。
 安心して付き合える国「日本」、付き合って損しない国「日本」というのが、TPP・11でも、日本の取るべきベストのスタンスという事になるのではないでしょうか。
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(注)縄文時代には戦はなく、征服・被征服の関係も奴隷制度もなかったという研究結果が一般的です。

平成という時代:アメリカとの関係で見れば 3

2018年01月07日 11時29分14秒 | 経済
平成という時代:アメリカとの関係で見れば 3
 前回、バブル崩壊後の日本のデフレ不況が、長期なものになった原因はプラザ合意による2倍の円高に日本経済が適応するため長期にわたるコストカットが必要だったことによると書きました。

 そして確かに日本企業は、何とかそれをやり遂げました。しかし国内にはアジア諸国に進出した日本企業やアジア諸国の製品が急激に増えました。ブランドは日本企業でも、裏を見ればMade in Taiwan、Madein Malaysiaなどと書いてあるのが当たり前になりました。

 通信や航空の世界では日本発はアメリカ発より通信料や運賃が大幅に高いという問題を、必死の努力で解決してきました。
 価格を下げ、売り上げが下がれば、その分コストを下げなければ赤字・倒産というのが企業です。それを乗り越え、何とか >「減収減益」から「減収増益 」、つまり、売り上げ減より余計にコストを減らすといった状態に一部の企業が行き着いたのが2000年頃でした。

 しかし、このプロセスは非正規従業員の著増をはじめ、多様なひずみを日本経済・社会に残しています。
 この点についてはまた別途述べなければならないと思いますが、いずれにしても日本経済は10年余をかけて、2倍の円高を乗り切ったのです。

 しかしその間、バブルに踊った証券会社や金融機関は、累積した不良債権の荷重に耐えかねて、山一證券、北海道拓殖銀行などなど、消え去ったり、政府の援助で再生など、「そういえばそんな銀行ありましたね」といったことになったのが1997年でした。
 「不況がこんなに長くなるとは…」と予想外の長期不況に苦しんだ金融、証券業界だったようです。

 この間アメリカは経常赤字の減少もあり、レーガノミクスの効果も出、さらにはITビジネスという新しい産業が興り(シリコンバレーが世界で有名に)経済の回復は著しく、1995年にはクリントン大統領・ルービン財務長官のコンビが「強いドル」政策を打ち出すなど、変化はありましたが、2000年にはITバブルがはじけ、その余波は日本にも及び、病み上がりの日本経済回復のスタートは2年遅れて2002年からの「いざなぎ越え」となったと認識しています。

平成という時代:アメリカとの関係で見れば2

2018年01月06日 13時55分09秒 | 経済
平成という時代:アメリカとの関係で見れば2
 前回述べましたように、平成が始まって1、2年の間に起きた大変化、1990年の株価暴落、1991年の地価神話の崩壊は、すでに1985年の「プラザ合意」の段階で準備されていたことだったのです。
 一国の為替レートが、基軸通貨に対して2倍に切りあがっても、それでもなお、まともな経済を維持するなどという事は出来るはずがありません。

 日本の場合、円高と共に進むコスト高に気付くのが5年ほど遅れたのは、当時の「新・前川レポート」などで強調された「内需拡大」の美名のもとに、政府・日銀によって(アメリカの指導の下)金融緩和が実行され、金融緩和による「バブル経済の宴」に酔い、その間、真の問題に気付かずにいたからです。

 しかしバブルは何時までも続くことはありません。そして、バブル崩壊とともに起きたことは、2つの経済収縮過程(デフレーション)の併存でした。
 このブログではそれを「 ダブルデフレ」と呼びました。

 当時多くの人は、この不況はバブル崩壊のせいだと考え、「失われた10年とか20年」と言われるほど長いものになるとは思っていませんでした。しかし結果的には平成24年まで、平成という時代のほとんどを不況にしてしまうような影響力をもつものになったのです。
 その初期段階をダブルデフレと呼んだ理由は、
① 地価の下落をベースにした資産デフレが急激に進行したこと
② 日本が世界一と言われるほど高物価の国になってしまったこと(物価を下げないとやっていけない)
この2つのデフレ要因が同時に進行することになったからです。

 経過を見ますと株価は1998年末がピーク(39,000円)で、90年から暴落、93年の17,000円で一度止まります。
 地価(日本不動産研究所:市街地地価指数)は、1991年の110をピークに94年90台に下がりその後は緩やかな下げに転じます。

 つまり、地価高騰をベースにした資産バブルは3年ほどで価格水準が半分以下になるという急激な資産デフレで「一応の」整理を終えたのです。
 しかし2倍の円高で、ドル建てで2倍になった日本の物価やコスト(太宗は人件費)は、資産価格の様に急激に下げることはできません。これには10年以上の時間がかかりました。

 余計な話をしますと、1990年に、地価暴落の引き金になった土地融資の総量規制の通達を出した時の銀行局長の土田正顕にあるパーティーでお会いした折り「土地バブルの崩壊は私のせいだと言われて往生してます」とこぼされ、「土田さんはまともなことをやっただけで、悪いのはバブルを起こした方ですよ」などと慰めた事を覚えています。

 今でも「バブルの崩壊が日本経済を長期不況に陥れた」と考えている方は少なくないようですが、資産バブルだけでしたら、3年ほどで片付いたでしょう。本当は平成の長期不況の真犯人は、アメリカ主導の「プラザ合意による円高」だったのです。

 この調整には、図式的に言えば、日本が毎年1%ほど物価を下げ、日本を取り巻く国際価格が毎年2~3%ほどインフレで、日本の物価と国際価格の差が、年に数%縮小したとしても十数年でようやく日本の物価が国際価格の水準になるという気の遠くなるようなプロセスが必要だったのです。
 この競争力回復のためのコストダウンのプロセスが、 日本の経験したデフレの正体だったという事です。

平成という時代:アメリカ経済との関係で見れば 1

2018年01月05日 16時00分53秒 | 経済
平成という時代:アメリカ経済との関係で見れば 1
 平成の30年を振り返ってみますと、こんな形だったと言えそうです。

平成元年は、バブルの崩壊直前のバブルの絶頂期でした。
しかし、直後にバブル崩壊が起き、その後、日本経済が初めて経験した超長期のデフレ不況に突入しました。この不況は、中身をよく見ると、2段階の不況になっています(のちに詳述)。
そして、多くの多様な後遺症を残しながら、漸く脱出に向かったのが平成24年でした。
最後の数年間、漸く泥沼の時代を脱出、何とか正常状態を取り戻そうと努力を重ね、後遺症に苦しみながらも、漸く目鼻が付いた時に平成は終わるという形です。

なぜ、世界でも有数な「まじめに働く日本人に」こんな時代が訪れたのか、この辺りは、アメリカ経済との関係を含めて考えないと理解は不可能なのではないでしょうか。

 平成元年、1989年はレーガン大統領の2期8年の最後の年でした。レーガン大統領は、スタグフレーションに苦しむアメリカの大統領になり、いわゆるレーガノミクスを導入しました。所得税の累進税率を低くし、企業減税を行い、富裕層を豊かにすれば、豊かさは下に及ぶというトリクルダウン仮説の実証にとりくみました。

 然し実績はなかなか上がらず、今の日本ではありませんが、「今のアメリカでは親の代のような豊かな暮らしは出来ない」と言われた時期でした。(成果を刈り取ったのはクリントン大統領)
 その脱出策の一環でもあったのでしょう。1985年、ニューヨークのプラザホテルで行われたG5で日本に対する円切り上げの要請があり、日本代表の竹下蔵相は「OK」を出した「 プラザ合意」があったわけです。

 プラザ合意については今まで何度も触れているので要点だけ言えば、その後2年で円レートは$1=¥240から¥120になり、円は2倍に切りあがったのです。
 その結果、日本産業の多くは国際競争力を失い、海外進出を始め、産業空洞化が言われ始めました。

 アメリカの助言もあったようで、日本政府は、産業空洞化回避のために「内需拡大策」を指向し、大幅な金融緩和政策をとりました。その結果がバブル時代だったのです。
 金融機関は競って貸し出しに狂奔し、当時の土地神話と重なって、地価は急騰、それは都市近郊から全国に波及し、原野商法などと言う「土地さえ買っておけば」といった行動を生み、付随してゴルフ場の会員権など、土地に関わるものから、さらには書画骨董に至るまで暴騰しました。

 勿論、株もその先頭に立っていました。1990年の日経平均39,000円という記録もその時のものです。日本企業が、NYのロックフェラーセンターや、ティファニーを買ったといったニュースの流れました。
 「良くアメリカは文句を言わないね」などと言う評論家もいましたが、今考えれば、アメリカは冷静に、「いずれバブルはつぶれる、その時に安値で買い戻せばいい」と読んでいたのでしょう。

 国際的には2倍にハネ上がった円でコストを払っている日本の製造業、国際関係のサービス(通信、航空、海運など)の窮状を理解せず、円が高くなったことは、「日本の力量が認められたことで、日本の価値が上がったのだから結構な事」などと言う説も大手を振って罷り通っていたのが平成の始まった時期です。

 一方アメリカは対日貿易赤字削減の効果も大きかったようです。万年赤字と言われた経常赤字も一時ゼロに近づいています。

 バブルに浮かれていた日本では、そのすぐ後に円高地獄が迫っている事に気づかない人が殆どという状態でした。

先走る?株式市況

2018年01月04日 20時58分35秒 | 経済
先走る?株式市況
 今日は仕事始めです。
 われわれ年金生活者には相変わらずの静かな日ですが、思い出してみれば、今日からは仕事だと緊張した日々もありました。

 東京証券取引所では今日は大発会、昨年から「日本経済はいよいよ堅調な前進へ」といった感じを持っているtnlabo としては、今日の相場展開はどんなことになるか、興味を持っていました。

 昨年は大発会で250円ほど上げましたが、月中に至ってじり貧という状況だったと記憶しますが、今日は寄り付きで、400円を超える値上がりになっているので、実体経済もしっかりしてきたが、株式市場の方は大分強気だなとびっくり。
 
 家内は単純に、アメリカが上がっているからでしょうと一言。それもそうかなと思っているうちに午後には上げ幅600円を超え、3時過ぎになったので、引けはいくらになったか見ると700円を超える値上がりになっていてまたビックリ。

 ニュースでは26年ぶりとか言っていて、1990年バブル崩壊で38,000円からの暴落途中の水準にまで達したようです。
 株式市場の事ですから、明日はまた下げるのかは解りませんが、実体経済は順調ですから、「基本的には市況関係者も強気かな」などと思っていました。

 7時のニュースでは、三大証券の方が、それぞれに、今年の到達点として、日経平均25,000円、26,000円、27,000円を挙げていました。
 証券会社の方々ですから、強気の発言は当然ですが、日本経済にとっても下がるより上がる方がいいのは当然ですから、半分信用したいと思います。

 アメリカのダウ平均の史上最高値は、 ゴルディロックス状態ではないかと(トランプ政治の不評、双子の赤字の心配などで)思ったりしているところですが、日本の実体経済はもう少ししっかりしているように思っています。

 マネーマーケットのボラティリティが大きいのは自然かもしれませんが、長期で見れば、矢張り実体経済の反映でしょうから、国際政治や為替環境、さらには日本自体の経済政策・労働政策、税制などの失敗が、安定した堅調な経済の邪魔をしてくれることのないように、心から願いつつ、今年の株式市況も見ていきたいと思っています。

変わらない?トランプ大統領

2018年01月03日 15時36分28秒 | 国際関係
変わらない?トランプ大統領
 正月三が日、特に動きもない平穏な日々、多くの人たちはTVで駅伝を楽しんだり、家族が集まって団欒したり平穏な日々を過ごしているのでしょう。
 今年の年末年始は、暦の関係で余りゆっくり休めない方も多いようですが、平穏無事な日々は本当にありがたいことです。

 入ってくるのは外国のニュース、トランプさんが今年最初のツイッターで、パキスタンに多額の援助を騙し取られた、もう援助などしないといったなどという事など。

 トランプさんの自国中心主義も、全く変わらないようです。
 確かにアメリカは、いろいろな国に多額の援助をしてきていますが、これは単なる当座の損得でやって来ていた事では無いはずでした。

 覇権国アメリカの下での世界秩序の実現という世界戦略の中での行動の結果だったと我々は考えていました。
 しかしトランプ大統領になって、アメリカは本当に変わってしまうのでしょうか。まだ解らないと思っていますが、それで地球世界は良いのでしょうか。

 国連はありますが、現実の世界は、常任理事国の大国が、都合のいい時は国連を活用し、都合が悪ければ国連を無視するといった行動をとる中で、本来の機能、より良い地球市民の生活を目指して力を合わせましょうという役割は、なかなか巧くはいきません。
 それでもそうした理念をアメリカは持っているように振る舞って居ました。だから、日本もついて行ったのでしょう。

 しかしトランプさんは、覇権国を辞めるとは言いませんでしたが「アメリカは世界の面倒を見ることで損ばかりしている」といった姿勢で選挙に臨み、当選しました。そして本気でそれを実行する気のようです。本当にそれでいいのでしょうか。
 世界の国々の思惑はそれぞれかもしれませんが、アメリカの良心(未だあると思っていますが)もそれでいいのでしょうか。アメリカはここで完全に変わるのでしょうか。

 今年はアメリカの中間選挙です。アメリカ国内の事ですが、そこで、あるべきアメリカとしての何等か意思表示も見られるのではないでしょうか。
 その結果によっては、世界は改めて新しい世界の在り方の構築のために、何か新しい体制、理念やシステムを考えなければならないという事もありうるかもしれません。
 今年のアメリカ、そして世界については、どんな展開が待っているのでしょうか。

経団連会長3%賃上げを呼びかけ

2018年01月02日 11時25分38秒 | 経済
経団連会長3%賃上げを呼びかけ
 米朝関係(ドナルド・トランプvs.金正恩関係?)は相変わらず不穏ですが、心配してもどうにもならないので、せめて、日本経済に関わる重要問題を取り上げました。

 スマホに入って来るNHKのニュースのビジネスの欄に「経団連会長・春闘3%の賃上げを」というのがありました。
 まだ「経労委報告」が出ていないのにと思って、元日付の経団連会長の新年メッセージを見ましたら、そこにも春闘関係はありません。①成長戦略、Society 5.0で持続的発展を、②構造改革と財政健全化、③経済外交の推進でした。

 常識的には「新年メッセージ」は事務局が作成するものですから、公式的で、NHKニュースは、インタビュー応じたものと書いてありましたから、個人的な思い入れも含めて述べたものという事になるのでしょうか。

 「3%賃上げを会員企業に呼び掛ける」とのことですが、経団連の会員企業は1500社足らずの大企業だけですから、この呼びかけが、春闘という日本労使全体に関わる賃金決定の指針として言われたものか(第一次オイルショック後に当時の日経連が出した「賃上げガイドライン15%以下」のような)、安倍総理も言うから経団連会員企業は3%賃上げを出来ればしてほしいという趣旨なのか良く解りません。

 詳細は「経労委報告」に待つしかありませんが、一般的な理解、あるいは印象としては、連合が2%賃上げを要求しているのに対して、経団連が3%賃上げで答えようとしていることだと理解され、要求より回答の方が高いの?という事になりそうです。

 こんな事になるのも、安倍総理が毎年春闘になると、労使の専権事項である賃金決定に(あまり確りした理解もなく)2%インフレ達成、GDP600兆円実現の早期化のために決まって上から介入するという習慣を忖度するからでしょう。

 これまでも述べていますように、 2%インフレ目標は止めた方がより多くの国民のためですし、GDP600兆円達成は、労使が一生懸命頑張っていますから、政府が邪魔せず、経済・社会環境を地道に整備すれば、自然と達成されます。

 今年の日本経済は国民、労使の真面目な頑張りで、健全な安定成長路線に乗っていく様相が見えているのではないでしょうか。
 
 どこの国でも国民が政府を信頼しないというのはよくあることで、 日本もそのようですが、世界でも有数の 勤勉で頑張り屋の国民を持ちながら、政府が自らの反省より先に、国民(労使)の行動を信頼せずに余計な介入をする理由はいったい何なのでしょうか。

明けましてお芽出とう御座います

2018年01月01日 11時00分36秒 | ご挨拶
明けましてお芽出とう御座います

 大晦日には、東京でも初雪が舞いました。
 今朝も多摩地区は薄氷ですが、元日の空は晴れ上がっています。
 
 今年も、皆様の許に、出来るだけお役に立つデータや情報をお届け出来ればと思っています。
 宜しくお願いします。

 2018年が、皆様にとって良い年になりますように。 (tnlabo)