tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

人間と資本の関係:人間と資本蓄積の効用

2018年01月18日 10時36分43秒 | 経済
人間と資本の関係:人間と資本蓄積の効用
 「倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りれ栄辱を知る」「恒産無くして恒心なし」もっと砕けて「金持ち喧嘩せず」などと言った諺は多いようですが、矢張り生活が安定するという事は人間を穏やかにすると考えられてきたようです。

 生活が安定するというのは、安定した収入があり十分な財産を持っているという事でしょう。そうすると人間は立派になるようです。
 勿論「俺はカネはないけど心は立派だ」という方も沢山おられます。

 諺はさておき、ホモサピエンスは向上心を持っていて、誰もが「より豊かで快適な生活(社会)」を目指していることは確かでしょう。
 では「より豊かで快適な生活」の実現には何が必要でしょうか?

 答えは「人間の心の中にある」というのが哲学や仏教の答えかもしれませんが、われわれ凡人にはやはり「経済的な収入と資産の蓄積」という事になるのでしょう。
 勿論おカネのあることは十分条件ではありませんが、必要条件の重要な1つではあることは間違いないように思われます。

 これは個人でもそうですし、国でもそうです。1人当たりのGDPが大きく、社会資本が充実している国ほど、国民生活は豊かで快適というのは経済学の一般的な認識です。
 というようなわけで、人々は資本蓄積に熱心です。勿論法人である企業も資本蓄積には大変熱心です。

 資本蓄積には、もう1つ重要な側面があります。企業の場合特にそうですが、 資本を活用すれば生産性が高まり、より速い資本蓄積が可能になるという側面です。
 ですから、企業の場合、資本蓄積は特に大事で、(個人の資本蓄積はこれからの生活をより良いものにすることが目的という場合が多いでしょうが)、蓄積した資本を、生産性向上のための研究開発や設備投資に使い、生産性を高めて競争力を強くし、企業の発展を加速するという目的が主要でしょう。

 確かに労働の資本装備率と生産性は通常明確な順相関(あるいは比例関係)にあります。
 このように見て来ますと、国でも企業でも個人でも、やっぱり資本蓄積は大事で、生産したものを全部消費してしまうのではなく、資本蓄積を確保し、それをより豊かで快適な社会の実現に生かすことが大事です。

 ただお金を貯めるばかりでは、イソップ寓話の「守銭奴」と同じでしょう。それを活用してこそ初めておカネ(資本蓄積)が生きるのです。
 
 矢張り資本蓄積を生かすも殺すも人間の知恵次第で、人間がお金に振り回されてはいけないようです。