tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

活発化する武器輸出:その背景と帰結?

2018年01月15日 23時08分57秒 | 国際関係
活発化する武器輸出:その背景と帰結?
 前回、トランプ大統領が「日本は沢山武器を買ってくれるだろう」国民に自慢したことは書きました。
 
 武器というのはごく一般的なもの以外はマーケット価格がないのでしょうから、適正な価格についての判断は難しいものでしょう。
 イージス・アショアが一基1000億円と言われても、それで待機児童が何人減らせるという試算は出来ても、それで核弾頭付きのミサイルが飛んできても大丈夫だという事であれば、高いとは言えないという事になるのでしょう。

 中国は潜水艦の輸出に熱心だそうです。限られたマーケットの中ですが、中国製は安いという事で輸出攻勢などと言われています。
 安倍政権によって、条件付きで武器輸出を解禁した日本も、潜水艦を売りたいようですが、日本製は高いのと、戦争をしないと言っている国の武器はあまり魅力的でないのか、容易ではないようです。

 戦争がないことを願いながら、武器を買う理由は「もし戦争が起きたら」という懸念や危険に対する保険のようなものなのでしょうが、核兵器までカバーする保険相当という事になると保険料も高くなるのが当然でしょう。

 兵器にも耐用年数(技術進歩で陳腐化することも含めて)があるのでしょうから、その間戦争が無ければ、最終的には不良資産になって廃棄という事になります。まさに掛け捨て保険です。しかし戦争があってくれればよかったとは絶対言わないはずです。

 考えてみれば、武器ビジネスというのは、大変奇妙な、困ったビジネスですが、今の国際情勢の中では「必要だ」と考える国が矢張り多いのでしょう。
 北朝鮮も核開発はやっても、先制攻撃などはやらないという事のようですが、トランプさんとの「口撃」のやり取りを聞いると、何が起きるか解らないと感じる人も多いでしょう。やはり、危険を感じれば、保険は必要という事になります。

 日本もそうした意味で、アメリカの国際収支改善に協力することになるようですが、その分を少しでも日本からの武器輸出で取り返そうという事になるのでしょうか。
 武器輸出3原則も最近の国際情勢の中で、次第に変質して来るようですが、日本の場合、平和と安全維持のためなどと言った文句が入ります。

 過去の世界の多くの戦争は、平和と安全維持の名のもとに行われている所を見ますと、平和憲法という孤高の理念を掲げて、世界の中で何とか努力しようとしていた日本も、時流の変化には勝てず、戦後70余年、やっぱり泥沼の下界に(豊葦原の瑞穂の国ではなくて)に降りていくのかと、何となく情けなくなってきます。

 余程確りした理念を掲げておかないと、時流に流され、なし崩しにどこまでも堕ちていくことになりかねません。
 日本は 「普通の国」に堕していいのでしょうか。