tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

財政のプライマリーバランス達成と2%インフレ目標

2018年01月28日 11時21分32秒 | 経済
財政のプライマリーバランス達成と2%インフレ目標
 日銀の黒田総裁がスイスのダボス会議で、日本経済は順調で、2%インフレ目標も早晩達成される見通しというような発言をしたことでまた円高になっています。
 国際投機資本は、「それならそろそろ日本も金利の引き上げを考えるのではないかと受け取ったと解説されています。

 黒田総裁の発言のニュアンスまでは解りませんが、その発言で円高になったのでは2%インフレ目標はますます遠退きそうです。
 ダボス会議で発言するなら「日本は財政赤字で国債残高の負担は世界でもトップクラスです。プライマリーバランスの達成も可能性が見えていません。これからが大変です」ぐらい言えば、場合によっては円安になって、インフレ目標により近づいたでしょう。

 ところで、この財政のプライマリーバランス(PB)達成は、すでに皆様ご存知のように2020年達成という政府の公約は反故になり、現実に何時になるかわからない状態のようです。
 安倍さんは「財政再建の旗は下しません」と言い換えました。そんことは当たり前でしょう。

 実際には、政府も新しい目標年次を掲げるべく計算をしているようですが、漏れ聞くところではこんなことのようです。

 結論から言うと、例え2%のインフレ目標が達成されても2020年時点ではPB達成にはまだ6兆円以上税収が足りないという事になるそうで、2023年になっても、まだPB達成には届かないという事のようです。

 前回の消費増税先延ばしのツケも大きいのでしょうが、子育て、介護など歳出増加の圧力も強いのが現状です。
 こうした中での政府への最大の援軍はインフレなのです。インフレになれば、借金は目減りします。

 インフレ率2%というのが上の試算の根拠のようですが、もし現状のような0.5~1%のインフレでは、PBラインとのギャップは大きくなっていくようです。つまり財政再建の旗を降ろしたことになるのです。

 こう見て来ますと、政府の財政再建は、結果的に「インフレ頼み」という事になるようで、政府・日銀が2%インフレの固執するのも「そういう事だったの」といった感じです。
 インフレ目標2%達成にはまだ時間がかかりそうですし、年金や銀行預金の金利が今のままで、インフレだけ2%になったのでは国民はたまりません。

 しかし、政権がポピュリズムに堕して、国民もそれを善しとするのは、近年多くの国に見られるところです。そうして口に苦い良薬の服用を先延ばしにしてくると、結局それは国全体の問題として、きちんとわが身に「襲いかかってくる」のでしょう。
 日本の財政再建問題もその典型の1つと言えそうです。