tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

微妙に変化する?アメリカのドル政策

2018年01月25日 11時41分05秒 | 国際関係
微妙に変化する?アメリカのドル政策
 アメリカ政府のドル政策はレーガン政権以来「高いドル」を標榜してきたという事になっています。

 アメリカは覇権国、基軸通貨国ですから「強いドルを目指す」という事は、世界各国を安心させ、通貨引き下げ競争などは良くないことという大事な考え方を国際的なベースにするという意味でも望ましいことだったと思います。

 しかし、現実には、プラザ合意で日本に円高を押し付けたり、中国には人民元の切り上げを要請したり、リーマンショックの際には、ゼロ金利政策で、アメリカ発の世界金融恐慌を防止するというウルトラⅭの中で、結果的にはドルの切り下げをして凌ぐといったいろいろな策を講じてきています。

 しかし、表面的にはドル高を掲げ続けてきました。そかしトランプ政権になって、ドル高標榜は変わってきたようです。

 トランプさんは「ドルは強すぎる」といった言い方でドル安を認める発言をしてきていますが、「強すぎる」というのは単なる主観的な言い回しで、客観的に言えば、明らかにアメリカの競争力は落ち出るのでしょうから、頑張って競争力を回復し、ドル高を維持できるようにすることが必要なのです。

確かに、マイクロソフトウやインテル、ボーイングの航空機といった優れたものは沢山ありますが、製品や部品は外国製が多く、アメリカ製のものは昔の様に魅力的ではありません。
  最近では、シェールオイルもガスも出て、世界有数の産油国となっていますが、経常収支赤字垂れ流しは止まりません。

 そうした中で、ムニューシン財務長官は「ドル安はアメリカにとっていいことだ」と世界の政治家、経済人が集まるダボス会議で発言したとのことです。まさに本音でしょうか。

 勿論それだけではなくて、短期的にはドル安は貿易などに関わるからと言いながら、より長期的には、ドルは主要通貨であり、アメリカの強さを示すものだといった趣旨の発言をし、ドル高が基本姿勢という原則を否定しているのではないことを示したようです。

 トランプ大統領も、ダボス会議で演説をすることになっているそうですが、どんな発言をするのでしょうか。

 短期的でもドル安はアメリカにとって有利といった発言をすれば、アメリカの発言ですから、国際投機資本は、忽ちそれを忖度した行動をとり、ドルはすぐに下落します。
 勿論国際投機資本の動きは即時ですが、ごく短期的な動きですが、もしこうした発言が続けば、アメリカには簡単に為替操作をする力は備わっているのです。

 「アメリカ・ファースト」から始まって、次第にアメリカ中心の損得勘定の世界が、いろいろな面で色濃く打ち出されて来そうな景色ですが、アメリカが起こしたリーマンショックから漸く立ち直り、折角安定してきた世界経済に問題を引き起こす様なことが無いよう、アメリカの「健全な努力」を期待したいと思います。