tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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企業に3000億円要請:子育て、教育無償化で

2017年10月29日 16時54分55秒 | 政治
企業に3000億円要請:子育て、教育無償化で
 政府は2019年に消費税を10%に増税したら、そのうち2兆円を借金返済ではなく、子育てや教育費の無償化に充てると言っていたように記憶しますが、それは1兆7000億円で、足りない3000億円は企業負担に頼ろうという事のようです。

 安倍総理は「人生100年時代構想会議」で経団連の榊原会長に、3000億円の拠出をお願いしたいと言い、榊原会長も、「従業員が活用できる保育所など、応分の協力はすべきだろう」と受諾の方向を示したと報道されています。

 消費者が1.7兆円、企業が0.3兆円で2兆円ですから、それで何処までできるかですが、当面貯蓄超過の日本経済ですから、政府がそれを吸い上げて、使うというのは、理論的には肯定されるところでしょう。

 前回消費増税を延ばした時「2020年の、プライマリー・バランスの目標には関係ない」と言っていた安倍さんの発言は、ただの言い逃れだったわけですが、今回は消費増税、きちんとやるのでしょうね。

 ところで、企業に、3000億円拠出要請という事は、具体的には、厚生年金の保険料の企業負担部分を3000億円分増やすという事で、(厚生年金の労使折半拠出分は今後の年金支払いのための積立金ですが)この部分は「事業主拠出金」(もともと児童手当の財源)と呼ばれ、政府の収入になります。

 ここで、2つほど問題があるように思います。
 1つは 、いまこの事業主拠出金は標準報酬の2.3/1000、つまり0.23%が料率ですが、この料率は次第に上っています。現在は0.23%(27年度は0.15%)で4000弱程度の金額かと思いますが、3000億円拠出となると0.2%ほど引き上げでしょうか。

 そんなこんなで、事業主拠出金の引き上げが加速して本来の政府の在り方とは些か違うのではないかといったことにならないでしょうか。
 安倍さんは、法人税の減税も言っていますが、その辺りとの関係はどうなのでしょうか。

 もう1つは一度政府の懐に入ってしまうと、コスト高と無駄遣いの可能性が大きくなるような気がすることです。
 旧厚生省の大規模年金保養基地は巨大な無駄を生みましたし、「こどもの城」は廃館になりました。旧労働省の、「スパウザ小田原」や「中野サンプラザ」は雇用保険会計の企業だけに上乗せされた負担部分を活用したものですが、結末は悲惨でした(ネット検索で知られます)。

 総理のご意向ですから、そんな無駄はないと言いたいところですが、いわゆる「モリ・カケ問題」の帰趨はどうなるのでしょうか。

 企業拠出を受諾する方向の経団連ですが、よほど確りした監視体制を取らないと、折角出したお金が、十分に生きてこない可能性が出てくるかもしれません。