tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

これからの経済政策、本当に必要なことは

2017年10月24日 14時41分23秒 | 経済
これからの経済政策、本当に必要なことは
 思わざる圧勝(多分)に気をよくし、改めて自信を持つことになった安倍政権のようですが、その割に低姿勢で、今後本当に動き出したらどうなのだろうと思わせるような態度です。

 経済政策には力を入れるとのことですが、日本経済は民間の頑張りで、すでに健全な成長の入り口に辿りつき、元気で動いています。
 その中でも株価は仇花といってなんですが、15営業日連騰と記録を作っています。

 株価は日銀の異次元緩和継続などいろいろな思惑があってのことでしょうが、本当に重要なのは実体経済です。
 実体経済の総合指標であるGDPを見ますと、我が国のGDPは、昨年、2016年が537兆円で、前年が530兆円、この水準を遡って見ますと、1997年の534兆円というのがあります。日本経済は、実に、19年前の経済規模を昨年やっと回復したのです。

 戦後の日本経済は、常に成長していて、オイルショックでゼロ成長になった時は大混乱でした。それなのに、足掛け20年もGDPが過去の実績以下のマイナス状態に低迷したなどというのは、考えられない事です。
 この原因は基本的には「プラザ合意」の受け入れという、 外交上、経済政策上の大失敗ですから、これからは政府にはこんな大失敗をしないように願う以外ありません。

 というわけで、安倍新政権が経済に力を入れるというのなら、政策の失敗で日本経済を台無しにするようなことは間違ってもしないように願うわけです。
 もちろんこうした重大な失敗は、あとになって気づくことです。そして、失敗の原因は常に多様で、同じものはありません。

 そうした意味で、これまでの安倍政権の経済政策を見てみますと、黒田日銀総裁を任命して、 不合理な円高の是正を実現し、竹下蔵相のプラザ合意受け入れという大失敗を30何年ぶりに幾分取り返したことは評価できますが、それ以外は見るべきものはありません。

 最大の問題は、「格差社会化の進行」でしょう。今の日本経済は世界でもかなり豊かな経済です。それなのに国民の多くが窮乏感を持っているというのは、格差社会化の進行が大きな原因でしょう。

 日経平均の15営業日連騰も結構なことですが(16に伸びそう)、今の状態ではこれも格差社会化進行の原因になってしまうのでしょう。これに影響しているだろう日銀のとめどない金融緩和を政府はどう見ているのでしょうか。

 同じようなことは財政にも言えます。財政の健全化と言いながらやっていることは目標の先延ばし。当面の経済指標が良くなればという政策では、平均は上がっても、ピケティの言うように少数者の富の増大と多数者の貧困という格差社会化が進行するのが常です。

 格差社会の進行は中間層の減少で、将来に対する不安感を齎し、(特に日本では) 消費過少社会を招くのです。これは現状、日本経済の成長が鈍い最大の原因でしょう。

 もう1つ、働き方改革につてですが、長時間労働是正は結構でしょう。しかし安倍流の同一労働同一賃金は、日本の経済社会の伝統的に優れた特質を希薄化させ、欧米流の困った労働経済への移行を強制するものです。

 未だいろいろあるでしょうが、少なくともこの2つ「格差社会化」と「 同一労働・同一賃金信仰」は、日本経済の成長を阻害します。
 政府が、民間の頑張りの邪魔をしないように願いますと繰り返しておきたいと思います。

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