tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円レート・金利と実体経済、何が重要か?

2024年07月17日 16時38分23秒 | 経済

円レートが160円と158円の間で揺れ動いているようです。

マスコミは、政府が円高防止のために何兆円かの介入に踏み切ったらしいといった見方を書いています。介入のタイミングが上手いので2円も円高に動いたといった専門的な分析などもあります。

それと同時に、こうした介入による円安は一時的なもので、長続きするものではない、といった評論もあり、事実2~3日するとまた円高に戻ったりしています。

一方ではアメリカの景気が転機に入ったのではないかという意見が多くなり、消費の伸び悩みを指摘する声があります。テレビでは、アメリカの店頭で、買い物客が、物価がずいぶん高くなったので買い控えですと言っているところが映ったりしています。

アメリカが不況になればFRBは政策金利の引き下げに踏み切るだろうという事で、9月の引き下げを予測して円高ドル安という見方も増えています。

日本も物価上昇が2%に近づいたので、本格的な金利引き上げに動くのではないかという観測もあります。

実体経済とそれに即した金利政策から見れば,黙っていても円高になってくるという認識が一般的です。日銀短観によれば、今年度後半の円レートは141円というのが企業の平均的な予測のようですが、こうした実体経済面の認識と、何兆円使って一時的だが2円ほど円高にしたなどという為替介入のニュースがだれにどれほど重要なのかなどとついつい考えてしまいます。

確かに為替介入などのニュースの際に登場する専門家は証券・金融関係のチーフアナリストとかストラテジストといった方々で、マネー取引の分野の方々です。マネー取引は現金や現物を動かすわけではありませんから、実体経済の取引とは比較にならない巨額なカネ(信用)を瞬時に動かし値動きによるキャピタルゲインを中心に考えるのでしょう。

こうした動きは、当面の実体経済の動きを前提に予想されるカネの動きを予測し、短期的な投機心理を読みながら、それに伴うマネーの動きに由来する派生現象(デリバティブズ)を捉えてカネ(信用)そのものを売買するのでしょう。

信用経済(マネー経済)と実体経済では実体経済が、現実の人々の生活に関わる本来の経済で、マネー経済は実体経済がスムーズに動くように潤滑油としての役割といった関係にあるはずだったのです。

然し最近は、金融、証券、為替といったマネー経済の部分が、独自の発展を遂げ、実体経済と異なる基準で活動したり、実体経済をトラブルに巻き込むような存在になったりすることが多くなっています。

リーマンショックの際、その点が大いに反省され、実体経済こそが、人類社会の本来の経済という論調が見られましたが、このところまた、マネー経済の活動の活発化に拍車がかかってきているように感じられます。

マネー経済は基本的に付加価値を生まず、ともに配分の移転が主要な目的になるように設計されてきています。

今の日本経済を考えて見えれば、金利の正常化(引き上げ)が必須であり、併せてアメリカの金利引き下げの可能性が高くなっています。産業界は当面20円ほどの円高を想定しているのです。

アメリカは基軸通貨国ですが、多分に自国中心の政策をとるでしょう。日本は自らの、ここまで落ちた実体経済の状況を十分に弁え、政府、日銀は、産業労使が早期に健全な安定成長経済に戻すために役立つ金利水準、為替水準を、実体経済ベースで策定し、小手先の為替介入などに惑わされない実体経済中心の政策路線を進んでほしいと思っています。


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