tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金融政策、財政政策で経済は立ち直るか?

2019年11月27日 23時22分47秒 | 国際経済
金融政策、財政政策で経済は立ち直るか?
 アメリカ経済は、トランプさんに言わせれば史上最高だという事のようです。確かに株価(NYダウ)は史上最高ですが、経常赤字は容易に減りそうにもなく、借金しながらの、借金による繁栄という状態は全く変わっていません。
 
 ヨーロッパも大変なようです。米中貿易摩擦の影響とブレクジットのダブルパンチでECBはさらなる金融緩和という事になるようです。量的緩和(国債購入など)とマイナス金利の更なる引き下げ(-0.4%→-0.5)という事のようですが、同時に、加盟各国の財政出動も必要という見方を示しているようです。 
 
 日本も、景気の減速はかなりはっきりしてきている状態で、オリンピックを控え下支え要因はあるものの、対中貿易の減速が長引けば、日本産業自体の技術革新力にも一部翳りが見え始めていいるといった様相もあるようです。
金余りとは言いながら、JDIも海外資金頼みのようですし、有機ELなどの巨大投資も資金不足で進められないといった状況が報道されています。

 もともとは、アメリカが何とか中国を抑え込もうとしていることが原因なのでしょうが中国の場合は日本と違って、簡単には抑え込めないのが実情でしょう。
 日本はプラザ合意以降30年ほど結果的には経済成長せず、アメリカに大きく水を空けられましたが、中国は成長減速といってもアメリカの2倍ほどの実質成長率を維持しています。

 このままいけばGDPでアメリカを追い越すのはまさに時間の問題(あと10年ほどか)でしょう。
 アメリカの焦りは解りますが、今のような方法で中国を抑え込もうとすれば、世界中が迷惑をこうむるという結果がひどくなるだけでしょう。
 
 例えば、中国の拡大する消費市場と製造工場としての役割を活用しながら、アメリカ経済を健全なものに立て直すといったウルトラC的な方法でも編み出さない限り、結果は見えているように思います。

 トランプさんは国内的には金融緩和(ドル安誘導)で、対中国は関税障壁でと考えたのでしょうが、株価は上げられるかもしれませんが、実体経済の健全化はそんなことでは、とても期待できないでしょう。

 アメリカが覇権国としての地位を維持するためには、経済規模ではなく、国家の「質」での勝負でなければならないという時代になっているのではないでしょうか。
 来年の選挙もあり、アメリカの行方は我々には見当もつきませんが、アメリカが賢明な政策を取ってくれれば、世界中が「金融政策」と「財政政策」で、経済をなんとしようなどといった、無理な努力をしなくてもよくなるのではないかと思うところです。

 今のグローバル化した経済は、一国の経済政策より、世界経済社会を、旧態依然の地政学的分析などを超えた、世界人類の平和と安定を軸にしたものに変えてくことが最も有効な経済政策であるという事になると、多くの人たちがは理解しているのだと思いますが、そういうリーダーを選ぶことに失敗しているもが現実のようです。
 民主主義がポピュリズム化した事が原因という説もあるようですが ・・・。