tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

RCEPの重要性と日本の役割

2019年11月03日 10時56分20秒 | 国際経済
RCEPの重要性と日本の役割
 RCEP(東アジア地域包括的経済連携)は確か2013年から構想の実現についての話合いが始まり、今年で何とか決着したいという参加各国の合意があり、明日11月4日に、今回のバンコクでの閣僚会議だ何とかまとめにこぎつけ共同声明を出そうという点で一致を見ているという報道です。

 このブログでも2017年、 RCEPの会合が神戸であった時、日本の役割に重要性を指摘していますが、今回はいよいよ大詰め、経産大臣の交代などもありますが、それはそれとして、日本の大事な役割はしっかり果たしてほしいと思う所です。

 問題は8割がた纏まっているといことで、論点の詳細は報道されていませんが、難関と思われるのはやはり二大大国、中国とインドの意見がなかなか一致しないという事のようです。

 いまや中国は世界の工場、モノの生産能力は巨大で、製品のレベルも目覚ましく上がっています。
 一方、インドはIT大国などといわれ、IT技術の面では急速に発展してきていますが、モノの生産という面では、中国にはちょっと太刀打ちできないようです。

 折しも対米貿易問題を抱える中国は、13億の人口を擁するインドへの輸出の積極化は至上命題でもあるのでしょうが、インドの方は、すでに対中国で大幅な輸入超過・貿易赤字を抱えるという状態のようで、RCEPの目的である、貿易の自由化を、あまり急速に進められない事情にあるという事でしょう。

 この辺りは、恐らく「日本の出番」と頼りにしている国も多いのではないでしょうか。
 中国が対米貿易問題で「自由貿易促進」の立場を強めているというのは大変結構なことですから、自由貿易の理念と現実を十分に考慮しつつ、東アジア経済圏の30年、50年先のバランスのとれた経済発展という世界経済史の変化でもあろう過程で、いかなる長・短期の政策バランスがより良い選択かを、参加国全員に理解してもらうような行動が必要でしょう。

 特に中国に対しては、途上国においての経済支配を強めるような拡大政策は長い目で見れば、決して良い結果を齎さないという現実を十分理解してもらう必要があるでしょう。
 さらにこれからの覇権国は、いずれの国がなるにしても、名誉や権威はあっても、経済的には持ち出しの多いものにならざるをえないというのが、これからの国際関係だろうという事を理解するような話し合いが必要のように思います。

 残念ながら、日本の現政権は覇権国追随といった選択に終始しているようですが、アジアの中では、これからアジアの役割が地球社会で、ますます重要な地域にならざるを得ないことを前提に、新しい、あるべき世界秩序に向けて、確りと行動することが必要でしょう。

縄文時代から日本が築いてきた「多様の共生による平和と安定そして発展」の実現という 日本の伝統文化は、そのために大いに役に立つ指針を提供してくれるのではないかと思っています。