tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

損益計算書と付加価値分析はどう違う

2019年11月23日 21時58分09秒 | 経営
損益計算書と付加価値分析はどう違う
 このところ経済もあまり芳しい動きはなく、すべてはアメリカ頼み、注目するような成長政策もなく、「まず改憲」(目的不明)だそうで、 喫緊の外交課題の日韓関係は、ただ突っ張っていれば、アメリカが何とかしてくれるだろうといった感じです。
また、国内社会に目を転じれば、何とも理解できないような嫌な事件が多発しています。
日本はこんなに問題解決能力のない国に、また日本人になってしまったのかとモノを書く気も失せるような日々です。

 そんな事で、今日は、全く実務的なことを取り上げてみました。
 この具ログは「付加価値」を中心にして回っていますが、付加価値の説明をしてよく質問を受けるものの中に、損益計算書のコスト利益分析とどう違うのですか」というのがあります。

 「付加価値は粗利益だと思えばいいです」などと答える方もおられるようですが、損益計算書と付加価値分析は、もともとそれを利用して達成しようとする目的が違うもので共通点を探していもあまり意味がありません。

 ただ、企業経営分析の場合にも、分析には貸借対照表と損益計算書、利益処分計算書(昔の名前)の資産・負債と損益計算の勘定科目が必要ですので、材料は同じです。

 経済分析の場合には、もともと経済分析は、利益分析ではなく、GDPなどの付加価値分析ですので、問題意識はほとんど付加価値分析としてのものです。

 簡単に言ってしまえば、損益計算書の場合は、「売上高」からいかにして当期純利益が生まれるかを、すべての収入項目を足し、すべての支出項目(コスト)を差し引いて、そのプロセスを分解し、分析検討するのが目的です。

 実績を分析し、直接部門(工場など)、間接部門(本社などの事務管理部門)営業以外の周囲者、金融関係の収支、その他特別な収支、更に税金関係など、何が原因で当期純利益が増えたか(減ったか)を詳細に分析して、「売上高に対する利益の比率を高めるため」に何ができるか(すべきか)を知ることが目的でしょう。

 さらにこれを、貸借対照表の勘定科目との関連で分析することによって、多様な「資本利益率(総資本営業利益率から資本金純利益率まで)で、利益額だけでなく資本効率などの利益率の把握も出来ます。

 いわば、利益を中心に、実績を分析して(時系列などにならべ)今後の指針を見つけるという作業が可能になるわけです。

 では付加価値分析の方はといいますとまず、利益の代わりに付加価値を増やすことを目的にする分析です。
 付加価値はその計測期間に付加された(創出した)経済価値ですから「人件費と資本費の合計」です。それだけ企業や経済が成長してことを示します。

 純利益は資本費の一部ですが、付加価値は資本費と人件費の合計で、つまり、計測期間に作り出され、新たに国や企業で利用可能になった経済価値のすべてを把握し、その増減がいかなる原因で起きたかを分析するための手法といえるでしょう。

 つまり、国民経済の場合にはGDPが付加価値そのものですから、経済成長の分析などには最適でしょう。
 企業の場合には、純利益の様に解りやすくなく、まず、コストである人件費が入ってきたリ、自分の所では使えない金融費用、賃借料、租税公課なども入ってきて、内容そのものが捕まえにくいので、利益中心の分析になるのでしょう。

 ただ、企業の将来も国の将来と同じように、府付加価値の配分のあり方如何で大きく影響を受けますので、経済や企業の成長分析や成長計画には、付加価値分析の方が適しているということが言えそうです。