tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

雇用統計も景気減速を示す

2019年11月01日 15時48分30秒 | 労働
雇用統計も景気減速を示す
 今日、総務省統計局から2019年9月の「労働力調査」が発表になり失業率が上昇したとのことです。
 まず、季節調整済みの失業者数を見ますと今年の5月から162万人、6月161万人、7月154万人、8月154万人と減少傾向でしたが、9月は167万人という事で(季節の影響は除去していありますので)9月に至って少し増えました。

 同じく季節調整済みの失業率(正式名称は完全失業率)は、7月、8月と続いてきた2.2%から2.4%に0.2%ポイント上昇しています。
 失業率というのは、大きく変化することはあまりない数字で、0.2の上昇というのは、ある程度の変化が生きたことを示しているとみられます。

 同じ日に労働省から発表された9月の有効求人倍率は1.57倍で、こちらも前月の1.59倍から1.57倍に低下しています。
 こちらは、今年の4月から1.63倍程度の水準が続いていましたが、その後傾向的に下げています。

 確かに毎日曜日、新聞に折り込まれている求人広告の枚数、そのページ数も、夏ごろから大分少なくなったように感じていましたが、この所、大企業の雇用削減などの報道もあり、何となく雇用情勢にも変化が出てきたようです。

 もともと雇用情勢を示すこうした数字は、景気指標から言えば遅行指標で、景気の方向転換から何か月か遅れて出てくるのが一般的ですから、米中摩擦をはじめ、国際経済情勢の変化、すでにはっきりしている中国経済の減速、そのアジア諸国への影響が日本経済にも出てきているのは当然でしょう。

 政府・日銀は、景気は緩やかに拡大といい続けたいようですが、この、この国際経済情勢の中で、日本だけが好況を保つことが可能とはだれも思わないでしょう。
 アメリカそして日本の株価は、高値を維持してきていますが、国の景気政策で先行指標である株価が遅行指標になっているのかもしれません。

 いずれにしましても、当面の経済減速は避けられないでしょう。
 ただこの世界経済の不振は、経済事態に内在する現象として起きているというよりは、大きく見れば世界の覇権争いの始まりといった状況も含んだ、国際政治の結果としてのものという事も、ほぼ衆目の一致するところでしょう。

 という事であれば、今日、国際政治のメイン・プレイヤーとなっているような人たちが、自分や自国の都合だけを考えずに、世界人類社会の平穏と安定そして経済の発展を考える様な態度に変化をすれば、忽ち状況改善の可能性があるということでしょう。

 戦争や紛争を避け、人々の平和と安心への努力は、人類の知恵として続けられているはずですが、そうした世界の人々の本音が、国際政治の表にもぜひ出てきてほしいと思う所です。