成長と分配の関係を理解しよう:3
前回は「労働分配率」を中心に「成長と分配」の問題を見て来ました。
今回は「格差化の問題」を中心に成長と分配の問題を考えてみたいと思います。
勿論ここでの格差は経済的な格差ですが、人間社会には格差は常に存在します。しかしそれが人々の認識として納得性がある程度のものであれば、それは人々への刺激や動機づけになって、社会は健全に機能します。
しかし限度を超えれば、社会が不安定になり、正常な経済活動は阻害され、経済成長はなくなります。(格差の許容範囲はそれぞれの国、社会、時代によって違うようです)
ところで、格差の問題は、国レベル、企業レベル、社会階層レベル、個人レベルなどと多様ですが、格差と成長の関係は基本的には同じです。
前回の労働分配率の問題は、資本家階級と労働者階級の所得格差の問題で、経済学的には、労働者がお金を持たなければ、ものを作っても売れませんから経済成長につながりません。
結局資本主義の方が柔軟に変化し、ヘンリー・フォードのように、量産するT型フォーを、労働者が買えることが必要と気づき、労働者への分配を増やして、T型フォードは飛ぶように売れ、自動車産業の高成長を実現したわけです。
国レベルではソビエト連邦の失敗例があります。資本家の搾取を廃して平等を実現しようと社会主義革命を起こしたわけですが、結局は共産主義の一党独裁ですから、巨大な富と権力を握る支配者と平等に貧しい国民を生んだようです。
あまつさえ、連邦内の衛星国の富がロシアに集まるような為替レートを設定(ツーブル高)衛星国の富を吸い上げて、ソ連邦内の国レベルの格差(ロシアと衛星国)を大きくしました。結果は革命後70年でソ連は崩壊しました。ルーブルの価値は大きく下がりました。
覇権国という立場でも似たようなことが起きます。イギリスは植民地の富を集めて覇権を維持しましたが、アメリカ産の紅茶を安く買いたたいたことから、ボストン湾がアメリカ向けの紅茶の投棄て紅茶の海になる「ボストン・ティーパーティ」などが起きています。
今は、アメリカが覇権国ですが、アメリカの行動は如何でしょうか。
ピケティーは新しい資本論を書いて、資本主義は1960年代を例外に、常に格差を作り出すシステムと断じています。
これは言い換えれば、世界が1960年代のような状態、行動パターン、国際関係になれば、格差はっ縮小する可能性もあるということを示唆しています。
日本について考えますと、日本は戦後従業員の身分制を廃止し、全員「社員」という人事制度が一般的でした。賃金は世界に稀な年功賃金ですが、私の記憶によれば、高度成長期に当時の日経連が「新入社員と社長の平均賃金の格差は、税込みで20倍、税引き後では7~8倍」という数字を発表しています。
マネー資本主義は日本にも入り、一部の経営者が巨大な所得を獲得、国際化の影響もあってでしょうか年収1億円以上のお経営者も年々増え、他方では非正規従業員が著増、社会の格差化が深刻に意識されるようになり、国民生活は過度に防衛的になり、為替レートの正常化にもかかわらず、経済は先の見えない停滞を続けています。
この問題は個別的には従来も頻繁に取り上げています。あまりしつこくなるので今回はここまでにしたいと思います。
前回は「労働分配率」を中心に「成長と分配」の問題を見て来ました。
今回は「格差化の問題」を中心に成長と分配の問題を考えてみたいと思います。
勿論ここでの格差は経済的な格差ですが、人間社会には格差は常に存在します。しかしそれが人々の認識として納得性がある程度のものであれば、それは人々への刺激や動機づけになって、社会は健全に機能します。
しかし限度を超えれば、社会が不安定になり、正常な経済活動は阻害され、経済成長はなくなります。(格差の許容範囲はそれぞれの国、社会、時代によって違うようです)
ところで、格差の問題は、国レベル、企業レベル、社会階層レベル、個人レベルなどと多様ですが、格差と成長の関係は基本的には同じです。
前回の労働分配率の問題は、資本家階級と労働者階級の所得格差の問題で、経済学的には、労働者がお金を持たなければ、ものを作っても売れませんから経済成長につながりません。
結局資本主義の方が柔軟に変化し、ヘンリー・フォードのように、量産するT型フォーを、労働者が買えることが必要と気づき、労働者への分配を増やして、T型フォードは飛ぶように売れ、自動車産業の高成長を実現したわけです。
国レベルではソビエト連邦の失敗例があります。資本家の搾取を廃して平等を実現しようと社会主義革命を起こしたわけですが、結局は共産主義の一党独裁ですから、巨大な富と権力を握る支配者と平等に貧しい国民を生んだようです。
あまつさえ、連邦内の衛星国の富がロシアに集まるような為替レートを設定(ツーブル高)衛星国の富を吸い上げて、ソ連邦内の国レベルの格差(ロシアと衛星国)を大きくしました。結果は革命後70年でソ連は崩壊しました。ルーブルの価値は大きく下がりました。
覇権国という立場でも似たようなことが起きます。イギリスは植民地の富を集めて覇権を維持しましたが、アメリカ産の紅茶を安く買いたたいたことから、ボストン湾がアメリカ向けの紅茶の投棄て紅茶の海になる「ボストン・ティーパーティ」などが起きています。
今は、アメリカが覇権国ですが、アメリカの行動は如何でしょうか。
ピケティーは新しい資本論を書いて、資本主義は1960年代を例外に、常に格差を作り出すシステムと断じています。
これは言い換えれば、世界が1960年代のような状態、行動パターン、国際関係になれば、格差はっ縮小する可能性もあるということを示唆しています。
日本について考えますと、日本は戦後従業員の身分制を廃止し、全員「社員」という人事制度が一般的でした。賃金は世界に稀な年功賃金ですが、私の記憶によれば、高度成長期に当時の日経連が「新入社員と社長の平均賃金の格差は、税込みで20倍、税引き後では7~8倍」という数字を発表しています。
マネー資本主義は日本にも入り、一部の経営者が巨大な所得を獲得、国際化の影響もあってでしょうか年収1億円以上のお経営者も年々増え、他方では非正規従業員が著増、社会の格差化が深刻に意識されるようになり、国民生活は過度に防衛的になり、為替レートの正常化にもかかわらず、経済は先の見えない停滞を続けています。
この問題は個別的には従来も頻繁に取り上げています。あまりしつこくなるので今回はここまでにしたいと思います。