最高裁令和4年4月12日第1小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91095
【判示事項】
権利能力のない社団であるXが提起した建物の共有持分権確認請求訴訟において控訴審がXの請求につき共有持分権の構成員全員への総有的帰属の確認を求める趣旨か否かについて釈明権を行使することなく棄却したことに違法があるとされた事例
「しかしながら、本件の第1審及び原審において、当事者双方は、専ら本件合意の存否に関して主張をし、これを立証の対象としてきたものであって、上告人が所有権等の主体となり得るか否かが問題とされることはなかった。権利能力のない社団がその名において取得した資産は、その構成員全員に総有的に帰属するものであるところ(最高裁昭和35年(オ)第1029号同39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁参照)、当事者双方とも上記判例と異なる見解に立っていたものとはうかがわれない。
そうすると、本件請求については、本件建物の共有持分権が上告人の構成員全員に総有的に帰属することの確認を求める趣旨に出るものであると解する余地が十分にあり、原審は、上記共有持分権が上告人自体に帰属することの確認を求めるものであるとしてこれを直ちに棄却するのではなく、上告人に対し、本件請求が上記趣旨に出るものであるか否かについて釈明権を行使する必要があったといわなければならない。」
事案の概要
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2022/jiangaiyou_03_919.pdf
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91095
【判示事項】
権利能力のない社団であるXが提起した建物の共有持分権確認請求訴訟において控訴審がXの請求につき共有持分権の構成員全員への総有的帰属の確認を求める趣旨か否かについて釈明権を行使することなく棄却したことに違法があるとされた事例
「しかしながら、本件の第1審及び原審において、当事者双方は、専ら本件合意の存否に関して主張をし、これを立証の対象としてきたものであって、上告人が所有権等の主体となり得るか否かが問題とされることはなかった。権利能力のない社団がその名において取得した資産は、その構成員全員に総有的に帰属するものであるところ(最高裁昭和35年(オ)第1029号同39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁参照)、当事者双方とも上記判例と異なる見解に立っていたものとはうかがわれない。
そうすると、本件請求については、本件建物の共有持分権が上告人の構成員全員に総有的に帰属することの確認を求める趣旨に出るものであると解する余地が十分にあり、原審は、上記共有持分権が上告人自体に帰属することの確認を求めるものであるとしてこれを直ちに棄却するのではなく、上告人に対し、本件請求が上記趣旨に出るものであるか否かについて釈明権を行使する必要があったといわなければならない。」
事案の概要
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2022/jiangaiyou_03_919.pdf