Altered Notes

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ケチャと16ビート音楽の親和性

2024-01-04 07:50:30 | 音楽
インドネシア・バリ島は、インドネシアでの主要な宗教であるイスラム教とは異なり、ヒンズー教の文化を持つ島である。しかも独自のバリ・ヒンズーと呼ぶべき文化圏を構成しており、そこに様々な芸術もある。その民俗芸能の一つに「ケチャ」がある。音楽的には上半身裸の男たちによる呪術的とも思える合唱であり、視覚的には呪術的な舞踊を組み込んだ舞踏劇でもある。ここでは舞踏劇は横において合唱の部分にスポットをあてる。

ちなみに、実際のケチャは、例えば下記の映像に記録されたようなものである。

『インドネシア・バリ島・ウブドゥのケチャ』

『Kecak Dance / Uluwatu, Bali』


舞踏劇である為、その合唱には旋律的な要素もあるのだが、音楽的には圧倒的に「リズムを刻む合唱」としての役割が多い。しかも1970年代以降にジャズ・フュージョン界で広まった16ビート音楽との親和性が極めて高い。

ケチャは日本でも以前「芸能山城組」が実践的に見せて(聴かせて)くれたこともあったので、実際に見た(聴いた)方々もいるかもしれない。また、バリ島の舞踊団「プリアタン歌舞団」なども日本公演を行ったりしているので、それで鑑賞された方々も居るだろう。

実際にケチャで使われるリズムは実は非常に細かく、合唱と言っても各々パートによって異なるリズム…基本は四拍子でメトロノームのようにベースリズムを刻む歌唱者が居て、その上に5連符や7連符といった複雑な譜割りを含めたいくつかのリズムが乗せられていく。それらの総合されたものとして観客に聴こえてくるのは重厚な16ビートのリズムなのである。この迫力はなかなか凄いものがある。


そして、西洋音楽の世界で創造的なミュージシャン達がこのケチャのリズムに着目しない訳がない。その一例を下記に示す。日本のジャズミュージシャン(ピアニスト)である菊地雅章がアメリカで結成したAAOBB(ALL NIGHT ALL RIGHT OFF WHITE BOOGIE BAND)の"ASIAN HOWL"という曲ではベースになるリズムにケチャの16ビートリズムが起用されている。

『Kikuchi Masabumi & A.A.O.B.B. LIVE 5』

この曲でケチャは基本リズムの要として使われているが、菊地雅章はそのリズムを基調にしてグルーヴ・ミュージックを構築している。





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