Altered Notes

Something New.

アメリカとイラン ニュースが報道しない真実

2020-01-18 17:25:00 | 国際
2020年1月17日の虎ノ門ニュースにて国際政治学者の藤井厳喜氏とYoutuberのKAZUYA氏が出演し、最近のアメリカとイランの緊張関係について驚くべき内容の解説があったので、抄録の形でここに掲載する。解説の大部分は藤井厳喜氏に依るものでラストの部分のみKAZUYA氏に依るものである。


新年に入ってすぐの1月3日。イランの革命防衛隊のコッズ部隊の司令官であるソレイマニをアメリカが暗殺した。アメリカは彼をテロリストとして以前から名前を挙げており、ISのバグダディなどと一緒の扱いだったので正当性はある、と言えるだろう。

これでアメリカとイランの関係は短期的にはエスカレートするであろうが、長期的には良くなっていくであろう、と推測される。

実際の「その後」を見てみると、イランはイラクにある米軍基地にミサイルを打ち込んだがアメリカ側の発表では死者はゼロとのこと。そしてこれ以上の報復はしない、とイランは発表している。イランにしてはかなり大人な対応と言える。

トランプ大統領も「これ以上はそれに対するさらなる報復はしない」と発言している。両国が非常に非常に自制的だったところが印象的である。

ソレイマニを殺すのはアメリカとしてはかなり危険な賭けであった事は間違いない。イランが本格的に報復してくれば全面戦争になってしまっただろう。それはアメリカとしては今は一番望ましくないことである。

馬鹿な評論家が地上波のTVで「トランプは選挙のために戦争をやりたがっている」などと言っているが、それはとんでもな間違いである。今、イランのような大国と戦争を始めてしまったら大統領選挙までに終わる筈がないのは必定だ。そうしたら死者の数はどんどん増えていくだろうし、それに比例して大統領の支持率はどんどん落ちていくに決まっている。

最近はアメリカの世論も気が短くなっていて、ベトナム戦争の時ほどの我慢もできないので、アフガン戦争やイラク戦争とか、死者が3千人超えたらもうアウトであろう。

大統領直前に気運を盛り上げるためにやるのなら、少しは効果もあっただろうが、2020年1月のこの段階でやる馬鹿はいない。トランプ大統領側は今回のことでイランがエスカレートしないという絶対的な確信があったのである。だからこそソレイマニを殺ったのだ。

・・・ということは、イランのトップリーダーシップが実は分裂していて、ソレイマニの力が大きくなり過ぎていたことで彼を排除したい勢力があった、と考えられる。

ISのバグダディを殺った時も、アルカイダのビンラディンを殺った時も、これはその本人に近い筋からのヒューミント、つまり内通者がいたのである。ターゲットの本人が「この日のこの時間に何処に居る」という情報が確定できたからこそ暗殺が可能になったのだ。こうした内通者の情報がないと暗殺は難しいのである。

上述の2つの例は内通者ありきで三殺された事がはっきりしているので、今回のソレイマニ案件も同様であろう。つまりイランのトップレベル(イランの上層部の中)からアメリカ側に情報リークがあった、ということである。

イランでは、ソレイマニ司令官はハメネイ師の子飼いの部下だと言われていたのだが、どうも実態は異なるようだ。実はソレイマニがハメネイ師すら操っていたフシがあって、革命防衛隊自体がイランという国の中のさらに独立王国のようになっていたのである。その王様がソレイマニということだ。宗教最高指導者ですら鼻先で使うようなところがあったようである。

そして、ロウハニ大統領からすると、ソレイマニ司令官が生きている限りアメリカやヨーロッパとの妥協点が見つからない、という困った事情があったのである。落とし所が見つけられない、ということだ。

親衛隊が強くなりすぎて王様を操っているような逆転現象というのであろうか・・・そういう状況があったので、誰とは言わないがイランのトップリーダーシップがアメリカに情報をリークして、さらに阿吽の呼吸で作戦を進めたのである。

イランとしてはどこかで欧米との妥協点を作る事が必要であり大切なことである。そのためにはソレイマニ司令官は邪魔なのである。アメリカの手を借りてでもソレイマニを消したかったのだ。だからこそお互いの報復合戦も極めてリーズナブルというか抑制の効いたものになったのではないか…ということである。

イランはその後、ウクライナの民間機を誤って撃墜してしまった。最初は否定していたが、ミサイルの誤射である事は明らかである。こうしたこともあって革命防衛隊の威信は急速に低下しているのだ。こうなるとイランとしては革命防衛隊を抑えてアメリカとの妥協はしやすくなるのだ。

今のアメリカはかつて(パーレビ王政時代)のようにイランの内政に手を突っ込んで民衆に暴動を起こさせて政権を転覆させる…とまでは考えていないようである。ただ相当な揺さぶりをかけているのは間違いない。

長期的に見るとアメリカ・イラン戦争にはならない、と言える。現在の緊張状態は徐々に軽くなっていくであろう。ただ、核合意がうまくいくかは不明である。

核合意の話で言えば、イランはなぜウランの濃縮度を高めているのか、と言えば「核兵器を作りたいからです」と自分で世界にアピールしているようなものである。濃縮度合いも低ければ他の科学用途という言い訳も可能だが、イランがやっているのは核兵器にしか使えないような高い濃縮度なので言い逃れはできないのだ。これはもうやめた方がよろしい。


ソレイマニは個人として度々香港に行っていた事実がある。香港に相当な個人資産を持っているのだ。それは革命防衛隊・コッズ部隊の資金ということらしい。

イランは石油を中国に売っていたのでその利権を持っている。この資金を香港に貯めていたのではないか、と見られる。石油代金を人民元で払われてもそれ自体は使いようがないので、香港でマネーロンダリングして、そして表に出せる金(ドルやユーロ)にして使おう、ということをやっていたのではないかと推測される。

先日中東のあの海域でイラン・中国・ロシア三ヶ国が海軍合同演習をしたが、これで三悪人が顔を揃えた、という感じである。

そして、中国とイランを繋いでいる一つの太いパイプを形作っていたのがソレイマニだったのである。

中国とすれば、中東でアメリカが足を取られている限りプレッシャーは中国の方にはこないので助かる、という事情がある。

実際、過去のイラク戦争時には中国はプレッシャーから解放されたのだ。中国共産党がウイグル人のイスラム教徒をテロリストだといって弾圧した時もアメリカは片目をつぶって見ていたのだが抗議はしなかったのである。当時は中東で忙しい状態だったからである。

中国としては自分達にアメリカの圧力がかかってこないようにする為には、アメリカが中東で足元をすくわれているのは望ましいことである。その意味でもこの事案の背後には中国が存在していることは間違いないだろう。その両国を取り持つソレイマニをアメリカは排除したのである。



最後に日本のマスメディアに関連する解説を。

地上波テレビでのコメンテーターの論調は、むしろ戦争を煽っているかのような内容がほとんどである。そして常にアメリカ・トランプを悪とするのが前提の論理となる。戦争反対を叫ぶ彼らコメンテーターがむしろ戦争させたがっているような印象すら受ける。

アメリカ・イランが戦争すれば誰が得をするのか、と考えるべきだ。この両国が戦争で疲弊すれば両国とも得はしない。それで得をするのは2つの大国、つまりロシアであり中国だ。地上波テレビ番組のコメンテーターの背後には中国やロシアの影が見えると言っても過言ではない。テレビのニュース報道や情報番組コメンテーターの話にはくれぐれも騙されないことが重要である。







「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」の面白さ

2020-01-11 18:37:00 | 放送
名車再生!クラシックカー・ディーラーズというテレビ番組がある。簡単に紹介すると、「中古車を入手してきちんと整備した上で転売して利益を出すプロセスをお見せする番組」である。

もちろん車好きな方々ならば既知の情報であろうが、ご存じない方なら「そんなもの、面白いのか?」と疑問に思われる向きもあろう。しかしこれが面白いのだ。

まず番組名だが、英国本国での原題は『Wheeler Dealers』である。ホイーラーとは車輪だがディーラーと合わせると自動車の販売店・業者といった意味になる。

扱う車種はおおよそ1950年代~2000年代まで幅広い。日本でクラシックカーというと古色蒼然としたそれこそT型フォードのような車を連想するかもしれないが、そこまで年代を遡るものではない。欧米の車が中心ではあるが、日本車の扱い回数も少なくない。日産フェアレディZ、スズキ・ジムニー、ホンダ・シビック、マツダ・RX7、レクサスなど我々にも馴染みのある車種も少なからず登場する。

「面白い」と前述したが、その面白さとは車の売買担当のマイク・ブルーワーとメカニック担当のエド・チャイナ(シーズン1~13)またはアント・アンステッド(シーズン14~)たちの発言や振る舞いが自然なエンターテインメントとして成立しているからであり、それを支える番組スタッフの演出と編集のセンスに依るところが大きい。雰囲気は常にポジティブで自動車への愛情が根底にある事が実感でき、番組全体が軽快なリズムで流れてゆく。(前掲の画像はマイク・ブルーワーとアント・アンステッド)

車の買付~車のレストア~車の転売という一連の流れが一種のショーとして捉えられていて、出演者は自然に無理なく視聴者を楽しませながら一連の流れを進めてゆく。これが実によくできている。例えば車のメカニズムに詳しくない人が見ても飽きることはない。レストアの工程で難度の高い専門用語が出てきても、判らないなら判らないなりに楽しめるようにできているからだ。話の流れが理路整然としていてスムーズに進行するのである。また、マイクとエドまたはアントのやりとりも楽しいし、マイクに依る車の買付や転売の際の相手との駆け引き(価格交渉)も面白い。

ちなみに、日本にも自動車をレストアする番組はあるが、本当に車好きな人にしかアピールしないような内容で、出演者も視聴者を楽しませる意識はあまり見られないことが多い。演出も地味で下手な場合がほとんどである。出演者はただ車のレストア作業を淡々と進めるだけであって番組をショー(エンターテインメント)として捉えている感じはしない。根本的な意識のあり方がまるで異なるのである。番組製作者も出演者も視聴者にどう見せるのか・どう楽しませるのか、という意識は残念ながら見えない。また、仮にエンターテインメントを意識したとしても日本人がそれをやると過剰な盛り上げ等によってかえって視聴者が引いてしまいかねない。だいたい不自然な演出や振る舞いになってしまうケースがほとんどだからである。

話を戻そう。

マイク・ブルーワーは全話に一貫して出演しているが、初代メカニックのエド・チャイナはシーズン1から13までの出演となっている。(*1) エド・チャイナは車好きではない人には「走るソファー」の製作者としてご存じの方も居るのではないだろうか。TVニュースで紹介されたことも一度や二度ではない。シーズン14から参加しているメカニックはアント・アンステッドである。

英国の番組なので本拠地は英国だが、エド・チャイナ在籍時の末期に米国西海岸に本拠地を移した。現在のシリーズでも米国に本拠地を置いて活動している。

ご存じなかった方は是非一度ご覧になっていただきたい大人向けの楽しい番組である。




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<2022年10月21日:追記>
メカニックのアント・アンステッドはシーズン16で降板し、シーズン17からは元F1メカニックのマーク・エルヴィス・プリーストリー (Marc "Elvis" Priestley)が出演している。



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(*1)
このエドが出演していたシーズンは「エド時代」と呼ばれて…いるかどうかは定かではない。








女性差別は大問題・男性差別は無問題

2020-01-08 12:57:57 | 社会・政治
弁護士ドットコムに次のような記事が出た。

すれ違いざま「このブス!」と罵倒、被害の声多数「歩いていただけなのに…涙が出た」

記事は「女性が駅のホームで見知らぬ男性にいきなり汚い言葉で罵倒された」というものである。

まず前提として、もちろんこのような言葉の暴力や差別的な態度が許されないことは言うまでもない。

しかし、その一方で男性が街中で見知らぬ女性からいきなり不審者扱いをされるという差別はどうなのであろうか。
女性は街中で偶然近くに居た見知らぬ男性(特に非イケメンの男性)に対して何の根拠もなく突然不審者扱いをして忌避したりあからさまに逃走することがある。

前出記事のように書くなら「すれ違い時に不審者扱い、被害の声も無視「歩いていただけなのに…涙が出た」」となるだろう。

電車内で(非イケメンの)男性の隣の座席が空いていても座らずに避けたり、いったん座ってもすぐに立ち上がって逃げていったり、バス停で男性が普通にバス待ちしていたら同じくバス待ちの女性はその男性から遠ざかって離れた場所でバスを待つ。男性が街中の歩道を普通に歩いていただけなのに、反対側から来た女性はあからさまに歩道の端に寄って急に早足になって男性から逃げていく・・・こうした男性に対する失礼かつ侮辱的な行動を女性一般は日常的に行っている。男性は何の罪もない善良な市民であるにも関わらずこうした事態がそこかしこで起きている。これは厳然たる事実である。

しかしマスコミはこうした男性が女性から差別される事例は一切扱わないし社会も黙認してそんな問題など起きていないという態度をとる。男性はおとなしいので声を上げないからである。上述のような女性が被害を受けた場合は大問題になるしフェミニスト界隈からも大音声で非難の声が浴びせられて炎上する。マスコミも社会も女性にやさしく男性には厳しい。女尊男卑が底流にあり、男性に対してはいくら叩いてもいいのだ、という風潮があってそれが普通になっている。同じ差別被害でも性別によってこれだけ扱いに差が出るのだ・・・と言うよりも男性が被害者の場合はそもそも問題として取り上げられることすらないのである。

現代社会はまさしく女尊男卑の時代である。ますます一般男性にとって息苦しく被差別者としてのストレスを抱えて生きてゆくしかない状態になっている。