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Altered Notes

Something New.

感動的な「THE END」

2025-03-13 16:45:00 | 音楽

ポールマッカートニーやビートルズ周辺の事情に詳しい方なら「何を今さら」、な内容ではあるが、敢えて記しておきたい。

1997年9月15日、イギリス・ロンドンにあるロイヤル・アルバート・ホールで、とある慈善コンサートが開催された。それは

モントセラト島救済コンサート

である。その詳細は上記リンク先の記事を参照されたい。

エリザベス女王陛下もご臨席されたこのコンサートには、ポップス・ロックの世界から超が付く有名なミュージシャンが参加して行われた。ただ、この夜のコンサートが特別に豪華だったのは、ジョージ・マーティン(ビートルズの音楽プロデューサーでもあった)による音楽面のプロデュース・セッティングが非常に良く、各ミュージシャンだけでなく、弦楽隊(ストリングス)・管楽器(ホーンセクション)とコーラス隊を多数入れることで全体としてリッチな音楽、リッチなサウンドを作り上げたのである。

コンサートのメインキャストはポール・マッカートニーをはじめ、エリック・クラプトン、フィル・コリンズ、エルトン・ジョン、スティング、マーク・ノップラー、カール・パーキンスやその他の有能なミュージシャンが多数参加している。各々のミュージシャンの持ち曲が次々と披露されてゆく中、コンサートの締めくくりとしてThe Beatles の往年の名盤にして実質的に最後のアルバムとなった「 Abbey Road 」、しかもそのB面(アナログレコードのB面)に登場する短い曲がメドレーで演奏される部分から「Golden Slumbers/ Carry that Weight/ The End」が演奏されたのである。この部分はポール・マッカートニーも色々な場面で好んで演奏しているが、この夜が凄かったのは、上述のようにジョージ・マーティンによるディレクションによってオーケストラが加わることで、ほぼ「Abbey Road」で聴かれたサウンドの完全再現が成された事だろう。何しろ「Abbey Road」の音楽プロデュースをした本人(ジョージ・マーティン)が自らプロデュースにあたっているのだ。

当日のコンサートから、上記の部分の映像があるのでご覧頂きたい。

Paul McCartney Golden Slumbers , Carry That Weight , The End

ポール自身の歌唱力に若干「あれ?」というフシもあるが、それはさておき、鳴らされている音楽全体のクォリティは非常に高く感動的なものとなった、と言えよう。非常に大編成のバンド+オーケストラではあるが、その全体を引き締めるドラムはフィル・コリンズである。「The End」で出てくるリンゴ・スターのシンプルなドラムソロ・パートも迫力のある音楽的な演奏に昇華させて緊張と弛緩が同時に成立するグルーヴ感を生み出す事に成功している。実に音楽的なドラム演奏である。

同じく「The End」の中で3人のギタリストが2小節ずつソロを取る(回す)パートがある。ここは元のレコード(Abbey Road)ではポール、ジョン、ジョージの3人がソロを回していったのだが、このコンサートではポール、マーク・ノップラー、エリック・クラプトンの3人が各々2小節ずつソロを回している。

そして「The End」の大団円ではオーケストラが盛り上げるサウンドも素晴らしく、ジョージ・マーティンの素晴らしい指揮もあって感動的なエンディングを迎えるのである。舞台上のミュージシャンたちは実に気持ち良かったであろう。まさに「Abbey Road」のあのサウンドが再現されたのであり、全体のお膳立てをしたジョージ・マーティンには最高の賛辞が贈られて然るべきである。

 

参考までに、コンサートで演奏された部分の元のレコード(Abbey Road)の演奏は下記のリンク先を参照されたい。

Beatles Remastered 2009 HIGH QUALITY SOUND - (Golden Slumbers/ Carry that Weight/ The End)

 

 

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フルートで発車メロディー 正源司陽子

2025-02-24 16:00:00 | 音楽

加入から2年以上経過した日向坂46の4期生だが、冠番組の「日向坂で会いましょう」(TX)に登場した最初期には4期生メンバー各々の紹介で得意なことを披露するコーナーがあった。その中で、2つ前の記事で紹介した五百城茉央さん(乃木坂46)の従姉妹でもある正源司陽子さんは、特技としてフルート演奏を番組で披露した。

正源司さんはその時に「街の音をフルートで再現する」というテーマで、スシロー店内の案内メロディーとJR東日本・品川駅の発車メロディーを演奏したのだが、ここでは品川駅の発車メロディーに着目する。下記のリンク先映像の中、0:54 から発車メロディーの演奏が始まるのでお聴き頂きたい。

 

どんな音もフルートで再現するしょげこ

 

正源司さんはフルートで「water crown」と名付けられた品川駅の発車メロディーを演奏したのだが、1箇所だけ誤魔化して演奏した…と書くと語弊があるが、ディスっているのではない。

どういうことか。

当該メロディーはCメージャー(ハ長調)のキーで始まり、ラストに突然Aメージャー(イ長調)に転調する。このラストのAメージャー部分のメロディーは本来は

「A音と長三度上のC#音のトレモロ」

になる。トレモロとは前記の2つの音を高速で繰り返し演奏する形式を言う。平易に言えば、このメロディーのラストに鳴らされる「♪ピロピロピロピロ……」の部分である。そして「A音とC#音」は長三度の関係にあって、ハ長調で言えば「ドとミ」の関係に相当する。

だがしかし、フルートで前述の「A音とC#音のトレモロ」は物理的に演奏がちょっと難しくなるのだ。これはもう、フルートという楽器のハードウェア特性に由来する部分なので仕方がない。

そこで正源司さんは上記トレモロの代わりに

「C♮音とC#音のトリル」

を演奏したのである。トリルとは隣り合った音を高速で繰り返し鳴らす技法である。「C♮音とC#音」は半音音程の関係にある。この半音でトリルをやれば 作曲者など、このメロディーをよく知る人なら「あれ?」と気がつくところだが、一般の人には気づかれないであろう程度の改変になる。(*1)

前述のように「C♮音とC#音」は半音音程であり、これをフルートでトリルで演奏するのは容易なのである。

 

 

・・・ともあれ、正源司陽子さんのフルート演奏は音色もよく、聴いていて楽しめるものなので、今後もフルート演奏は機会があれば続けて頂きたい、と願っている。

 

 

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(*1)

事実、番組収録中であるスタジオに居た他のメンバーもMC(オードリー)の二人も気づいていない。

 

 

 

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五百城茉央(乃木坂46)に聴く「ブルーノート」

2025-02-19 17:17:17 | 音楽

「ブルーノート」と言っても、ニューヨーク・東京など世界各地にある、あの有名なジャズクラブについて語ろうという事ではなく、その名前のルーツである音楽上の音程ならびにスケール(音列)に関する話しである。

当ブログでは以前に星野源氏がこのブルーノート音程を使って、あの有名な「恋」を歌っている実例を紹介したことがある。

今度は乃木坂46である。しかも歌っているのは5期生の五百城茉央さんだ。この五百城さんが原曲の正規のメロディーから音程が少し下がったブルーノートを駆使して歌唱している実例があるので、それを紹介したい。

曲は日向坂46の「ソンナコトナイヨ」である。

今から9ヶ月前に五百城茉央さんと従姉妹である日向坂46・4期生の正源司陽子さんが二人で古民家でくつろぐ、という企画が乃木坂と日向坂の各々のYouTubeチャンネルで前編・後編として配信された。前編は乃木坂配信中チャンネルで公開され、後半が日向坂チャンネルで公開されている。

五百城茉央さんが「ソンナコトナイヨ」を歌唱するシーンが登場するのは日向坂チャンネル版動画の後半部分である。正源司陽子さんと二人で鍋物を作って食べた後でくつろいでいる時間に五百城茉央さんが持参した彼女のアコースティックギターでコードを弾きながら日向坂46の「ソンナコトナイヨ」を歌唱し、正源司陽子さんがそのメロディーにハーモニーを付けて歌う、というシーンがあった。

筆者が喫驚したのは、このセッションで五百城茉央さんはこの曲のある部分に「ブルーノート音程」を当てはめて歌唱した事だ。それは星野源氏の「恋」の場合と同様に「長調の第3音をナチュラルではなく、ややフラット気味」の音程にして歌ったのだ・・・と言うより、無意識的に音程が若干下がってしまった、と言えよう。しかし、これは 間違い にも聞こえず、なんとも味のある音程に受け取れるものだった。この「ややフラット」というのがミソで、半音下げて短三度までは下がらない程度に低い音程になっているのだ。まさにこれが「ブルーノート」らしいブルーノートになっているのだ。

ちなみに、その部分を日向坂46版の「ソンナコトナイヨ」で聴いてみると、ちゃんと長調の第3音(ナチュラル)の音程で歌われているのである。これが原型になるのだが、五百城茉央さんはその音をやや下げてブルーノート音程で歌ってみせたのだ。意識的か無意識的かはともかく、そういうことになったのである。

具体的な箇所を提示する。

 

まずは、原曲である日向坂46版の「ソンナコトナイヨ」は下記の通りだ。

 

日向坂46 「ソンナコトナイヨ」

 

問題の箇所は下記に示す場所である。(数字は動画内の時間(分秒)の位置)

1:05 ときめいてしまうよー の 「しま」の部分
1:16 君が可愛いよ の 「わい」の部分
1:28 チャーミングだろう の 「ミン」の部分

以下、同じメロディーはこの後も出てくるが、音程的には同じなので最初に出てきた上記部分で説明する。

問題のパートはイ長調で(F#m)と(A)を行ったり来たりするところである。イ長調(Aキー)であり、6度マイナーコードであるF#mと交互に出てくるような部分だ。問題箇所のコードはAメージャーのドミナント7にあたる「E7」である。上記の歌詞の問題箇所のメロディーの音程は「C#」(イ長調の第3音)である。ここの音程を覚えておいて頂きたい。

 

 

次は五百城茉央さん&正源司陽子さんペアのセッション版である。


【正源司×五百城 いとこ同士】囲炉裏で思い出トーク&弾き語り【乃木坂配信中コラボ後編

 

五百城さんがギターでコードを弾きながらメインメロディーを歌唱するが、時々特定の箇所でブルーノート音程が出てくる。
上述の日向坂46版で示した箇所に該当する部分は下記の通りである。

18:14 ときめいてしまうよー の 「しま」の部分
18:27 君が可愛いよ の 「わい」の部分
18:40 チャーミングだろう の 「ミン」の部分


問題箇所の五百城さんの歌唱は日向坂版に比べて若干音程が下がっている。本来はイ長調の第3音である「C#」まで上がらなくてはならないが、五百城さんの歌唱では「C#」(長三度)よりは低く、「C♮」(短三度)よりは若干高い…というまさに五線譜に記譜できない微妙な音程で歌っているのだ。(*1) これがブルーノートと呼ばれる微妙な音程なのである。微妙ではあるが、不思議と「音程を間違えている」感じはしない。むしろある種のブルージーな魅力をそこに感じる・・・これがブルーノート音程が音楽にもたらす魅力であり色合いなのだ。

星野源氏の「恋」の時もそうだったが、ブルージーではない曲調の中にシレっと自然にブルーノートを出せるセンスは良きもの、と言えよう。クレイジーケンバンドの横山険氏なら「いーーね!」と言うところだろう。

まさか乃木坂の、しかも5期生の五百城茉央さんからブルーノート音程が聴けるとは思ってもいなかっただけに喫驚したが、この曲の演奏・歌唱に新しい魅力を付け加えたと言っても過言ではないだろう。(*2) その意味でこの二人によるセッションは音楽としてデリシャスージーであり うまいおき と言えよう。

 

 

 

最後に余談だが・・・

それにしても「秋元康氏は突然の転調が好きなようだ」と改めて感じた。彼はプロデューサーという立場であり、数多の作曲家から上がってくる素材となる原曲を選択する人間だが、坂道グループだけでも突然転調して曲の雰囲気や色合いを変える手法が多用されている事を感じる。突然の転調でムードをガラッと変えるのは作編曲手法の一つだが、秋元氏はよほどこれがお好きらしい。「ソンナコトナイヨ」もイントロや歌本編内にいくつもの突如転調が多用されている。上述した「ソンナコトナイヨ」のイ長調(Aキー)部分もいくつかの転調を経てたどり着くパートだが、ここがこの曲の最も印象的な部分にもなっている。

 

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(*1)

イ長調の長三度(C#)よりは低く、短三度(C♮)よりはやや高い、といった音程である。まさにこれぞブルーノート、と呼べる音程である。

(*2)

但し、今回のようなソロに近い弾き語りのスタイルの場合に限るものだ。坂道グループのような大きな編成で、決められたアレンジで演奏する場合はこの限りではない。

 

 

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隠れた名プレーヤー ピート・クリストリーブ

2025-01-13 15:00:00 | 音楽

どの分野にでもしっかりした腕前とセンスを持っているのに、今ひとつ有名ではないプレーヤーは居るものだ。ジャズの世界でもそうだ。これから紹介する人物だけでなく、他にも知られているべき凄腕のミュージシャンは沢山居るのだが、今回はこの人、ピート・クリストリーブ を紹介したい。

彼の楽器はテナー・サックスである。Wikiの解説をお読み頂ければおよそのところは判るだろうが、一流どころのミュージシャンに招かれる事の多い人である。筆者がこのプレーヤーを知ったのはクインシー・ジョーンズの日本武道館でのライブである。この時、クインシーはリズムセクションと数名のソロイストだけ連れてきて、後のホーンセクションは原信夫とシャープス・アンド・フラッツにまかせている。時期で言うと、「愛のコリーダ」のテーマ曲が有名になった少し後の時代だ。筆者はこのコンサート現場には行っていないが、後でレーザーディスクで発売されたライブ映像を見て(聴いて)「行けば良かった」と後悔したものである。リズムセクションにはチョッパーベースで当時有名だったルイス・ジョンソンもいる。

で、ピート・クリストリーブだが、このコンサートではディジー・ガレスピー作曲の「マンテカ」で後半~エンディングにかけて長いソロをとる。まずはその映像からご覧いただきたい。↓

 

Quincy Jones / Reflections Live At Budokan 1981-07-09

 

「マンテカ」は 39分11秒 から始まる。ピートのソロは 43分24秒 から始まる。

お聴き頂ければ判ると思うが、彼のソロはアメリカの大地を感じさせるおおらかさがあり、ノリが大きくゆったり感がある。まずそれが心地よい。そして、彼独特の歌心が感じられて、それが説得力を増す大きな要因となって聴く者の心を揺り動かすのである。その時にブルージーな歌心がモダンテイストと相俟って彼らしい魅力の音楽を作り上げていると言えるだろう。クインシーも彼の魅力は十分に分かっているので、だからこの大役を任せたのだと思われる。

スティーリー・ダンの「彩(エイジャ)」でも歌心溢れるソロを披露しているので、こちらも是非お聴き頂きたい。

 

Deacon Blues / Steely Dan

 

この曲の4分2秒から始まるテナーサックスのソロがピートによる演奏だ。特に4分24秒から始まる4小節のフレージングワークはブルースフィーリングに溢れる歌心が聴く者の心にダイレクトに刺さる。素晴らしいソロである。

 

 

 

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スティーブ・ハウのジャズ

2024-12-10 15:15:15 | 音楽

スティーブ・ハウと言えば、イエスやエイジアなどでの活躍が知られた有名かつ有能なギタリストだが、プログレッシブ・ロックバンドでの活動とは別にジャズトリオでの活動も行っている。編成はスティーブのギターの他にドラムとハモンド・オルガンである。ベースレスだが、ハモンドオルガンが入ったバンドではベースレスは珍しくない。なぜなら、オルガニストが足でベースを弾くからである。ハモンドオルガンにはフットペダルが装備されており、奏者は手で旋律・和音を引きながら足でベースラインを演奏するのである。ジャズの世界では特にジミー・スミスのトリオ演奏が有名だろう。ちなみにジミー・スミスが足で弾くベースは非常に優れてグルーヴ感があり、評価が高かった。ジャズ界隈では一般的なベーシストを馬鹿にする時の言葉に「おまえ、ジミー・スミスの足に負けてるぜ」というのがある。

それはさておき、スティーブ・ハウの話に戻す。

元よりスティーブ・ハウは単なるロックギタリストではなく、彼のバックグラウンドにはジャズ・クラシック・カントリー・フラメンコ・その他伝統音楽があり、実際に演奏を聴いてもそれは強く感じられるとところだ。今回紹介するジャズトリオは、敢えてジャズと言っているが、要するにスティーブのギターでより自由に演奏できる空間を作ろうとしたバンドなのであろう。よくあるジャズトリオなら、いわゆるジャズのスタンダード曲等にオリジナル曲を加えて演奏されることも多いが、このスティーブのトリオでは全編に渡ってスティーブの音楽が素材として供される。

その中でも興味深いのは、イエスの演奏でよく知られた曲をジャズ演奏のモチーフ、或いはテーマとして採用しているところだ。こんなジャズグループは世界広しと言えどもこのバンドだけだろう。YouTube上にその演奏がUPされているのでお聴き頂きたい。なお、ドラムはスティーブの長男であるディラン・ハウであり、オルガンはロス・スタンリーである。

 

The Steve Howe Trio A Venture Close to the Edge The Sage Newcastle 2010

Steve Howe Trio

Steve Howe Trio Heart of the Sunrise The Sage Newcastle 2010

Steve Howe Trio - Close to the Edge

 

イエスでよく知られた曲をテーマとして演奏しながらも、同時にそれをジャズ素材として扱って自由に演奏しているのは面白い。バンドアレンジも前述のコンセプトを実現した形となっている。他にも検索すれば、このトリオの演奏は多く聴くことができる。

 

 

 

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