Altered Notes

Something New.

日経ヨクヨム◯◯になる

2022-02-27 08:32:32 | 社会・政治
「日経ヨクヨム◯◯になる」(◯◯内の文字は(*1)を参照)というフレーズを聞くようになったのは経済評論家の某氏が言い始めてからだが、実際に日経新聞には的はずれな記事や偏向的な記事が掲載される事が多く、その実態が社会に周知されるようになってから自然に広がったようである。今回は、この日本経済新聞の「程度」について数量政策学者の高橋洋一氏の解説をベースに記してゆく事にする。


日本経済新聞が2022年2月20日に次の記事を掲載した。

「円の実力、なぜ50年ぶり低水準に 再浮上はあるか」

有料記事だが、日経はここで

『通貨の実力は「実質実効為替レート」と呼ぶ指標で測る。』

と記しており、この難しそうな指標をベースに「円の実力が低水準に落ちている」という趣旨で記事を展開している。

高橋氏はこの記事について「日経クォリティの典型」と言う。ここで掲げられた「実質実効為替レート」という言葉・・・。この言葉を知る人は実はほとんどいないのである。マーケットの人間に聞いても恐らく誰も知らないであろう、という言葉なのだ。

なぜか。

こんな言葉は使わないからである。(笑)

ここで日経がやろうとしたのは「最初にちょっとむずかしい言葉を提示して読者を怯ませる、または煙に巻く」…である。読者はこんな言葉を知らないのだから日経としてはいかようにも記事を展開できるのだ。

実はこの手法は官僚がメディアの記者に説明をする時にもよく使われるものなのである。高橋氏も財務省官僚だった時には使ったそうだ。(*2)
まずはちょっと小難しい話を記者に投げかける。記者は全然理解できず頭の中が真っ白になってしまうので「なんですか?」「それは何なのですか?」ばかりになってしまう。そこを教えてあげてレクチャーする側が優位に立つのである。その後の記者たちは全部言う通りに受け止めて、その通りに記事を書くことになるのだ。これが狙いであり、日経もまたその手法を使った、ということだ。

日経が「実質実効為替レート」という言葉を使い、それを聞いた人がマーケットの人に「これって何ですか?」と聞いてまわれば、それがどのような言葉であるかはすぐに判る。誰も答えられないからである。(笑)普段、そんな言葉は誰も使ってないのだ。さらに言えば、世界のマーケットでもこんな言葉は使わないのである。実質実効為替レートが上がった下がったでどうのこうのという議論が記されたマスコミ記事は無い。

「実質実効為替レート」という言葉があるのは事実であり、そういう概念も存在する。(*3)
各国の中央銀行の集まりのような組織で国際決済銀行(BIS)というのがあるが、そこでこのレートの統計を作っているのも事実である。
・・・しかし、「だから何なの?」というレベルの話なのだ。

どういうことか?

その指標をマスコミは「その国の通貨の実力」として紹介するのだが、実は「誰もそんなものを頼りにしていない」のだし、「そんな指標を意識していない」のである。これが実態だ。

説明しよう。

為替レートで、円高になると「100円でどれだけ買えるか」という時に、現在は120円だが、これが円高になると100円で1ドルが買える。従って、円高になるということはより多くのドルが得られるという意味であり、そこは間違いない。

ただ、「より多くのドルが得られるか」という事と「通貨の実力が高いか低いか」は全然別の話である。

どういうことか。

輸入業者から見れば円高はありがたいことである。しかし輸出業者から見れば円高は困る事態である。つまりこれは「どちらもある」ということなのだ。通貨が動いたからと言って実力とは関係ない話なのだ。←この認識がベースになっていなければならない。ここが基本である。

このような実質実効為替レートで円高になろうが円安になろうが「円の実力」と言ったところで輸入業者にとってはありがたいことだが、輸出業者にとっては全然逆なので、その意味ではあまり関係ない指標なのである。繰り返すがこの認識がベースになるのだ。

・・・にも関わらず、日経は「円の実力」という表現をすることによって「なんとなく円高が良いように思わせる」という一種の印象操作をしている…ということだ。それだけのことなのである。これによって「良い」と思うのは輸入業者だけであり輸出業者にとっては全く違う、ということになる。

それだけで終わる事をわざわざ「実力」という仰々しい言葉を使うことで「為替が安くなったのは悪いこと」であるかのように説明したいだけ、なのである。本当にその程度の記事なのである。

日経は「円の実力」と言ってBISの記事を引用しているのだが、実はBISの統計は25~26ヶ国の1960年以降のデータが蓄積されている。そのデータの日本以外の各国のデータを見れば一目瞭然なのだ。日経は「日本は50年ぶりぐらいに円安になって低水準だ」という言い方をするのだが、その50年間で同じ変化で他の国を調べればどうなっているかすぐに判る。

BIS資料より(クリックで拡大画像表示)


上記画像のグラフを見ると、イギリス、スウェーデン、フィンランド、フランス、メキシコなどは日本よりもはるかに通貨安になっている。しかし、それらの国で「これが大変だ」とする記事など全く無いのである。

すなわち、日経の記事は全く意味がない、ということだ。こうした記事を掲載する時に、あたかも日本だけが酷かったかのように書くのだが、BISデータを見るならば、25~26ヶ国全部のデータがあるので、他国のデータと比較すれば問題ない事が自ずと判るのである。
日本はこの50年間を見ると上がったり下がったりはあったが、BISのデータに依れば50年前と比較して円安でも円高でもないのである。これが事実だ。逆に言えば、上述の各国ははるかに自国通貨安になっているのである。それ以外の国も半分くらいはあるのだ。日本は、と言えば中間くらいの水準である。

つまり・・・

これは別に大した話ではないのだ。にも関わらず、日経はさも大きな問題であるかのように何ページにも渡って書き連ねるのである。(笑)高橋氏は「(このネタで)よく何ページも書けるね」と呆れている。記者の頭の中の創作のような話になっているから…である。


日経はなぜ「円高に誘導したい記事」を書いたのだろうか?
それは今までそういう趣旨の記事を書きまくってきたからである。
実を言えば政府も「円高は悪くなかった。良かった」というイメージを若干は言っていたのだ。新聞はずっとその方向で報道をしてきたのでこうなってしまったのかもしれない。

BISのデータを見てみると、これの日本の数字だけにスポットを当てると見えてくるものがある。1960年代から70年代は円安だったのだが、その後はずっと1990年代まで高くなっているのだ。それはちょうど成長と軌を一にしているように見えるのである。そして、その後でまた円安になっているので「日本経済新聞はなんとなく成長と円高が一緒であるかのように勘違いしている」ということが読み取れるのである。これははっきり言うと「たまたまそうなった」だけなのだが。(笑)為替と経済成長は関係ないのである。為替が高くなったら輸入業者は良いが輸出業者は不利になる…それだけの話しなのだ。

では、どうして高度成長の時代に円高になったのだろうか?

それは簡単な話である。

その昔、固定相場だった時代には1ドルは360円だった。あのレートは実は適当に決めた数字なのだ。(笑)本当のところは1ドル150円くらいにするべきだったのだが、360円に決めてしまったので、戦後はだんだんあるべき数字(1ドル150円くらい)に収束していくような過程になったのである。そこに近づいていくというモーメントばかりだったので、それで円高になっているのである。ただそれだけなのだ。

ちなみになぜ最初に1ドル360円に決まったのだろうか?
実は適当な経緯があった。

どういうことか。

360円という数字。「(丸い)円」というのは360度だから360円にした…という、そういう説もあるくらいに適当に決めてしまった、というのが本当のところなのだ。本来のあるべきレートで言うなら百数十円程度にすべきところを非常に円安になるよう有利に決めてもらった…というのが実態である。だから当時の輸出産業はとても儲かったのである。それに依って高度成長が決まってきたという側面もあるのだ。

とても変わった為替レートにしてそれに意味をもたせる場合というのはあるのだが、今や変動相場制になっているので実はそれほど為替レートに意味はないのである。意味はないのだが、変な水準に決めて、それをキャッチアップする過程で高度成長が一緒に起こったという経緯から「円高が良い」と思い込んでしまったのだろう、日経は。はっきり言えばそれは違うのだが・・・。

円高と円安。立場に依って良かったり悪かったりするものである。立場に依って異なるのだから「全部に良い」というものはなかなか無いのが実情だ。これが真実である。
要するに日本経済新聞はこれが未だに理解できていないのである。だからこんな記事を書いてしまうのだ。


だから・・・日経ヨクヨム◯◯になる…のである。



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(*1)
1つ目の◯には動物の「馬」が該当する。そして、2つ目の◯には同じく動物の「鹿」が当てはまる。

(*2)
政策には様々なものがあり、たまには一般に馴染みのない言葉を出すことがある。それは仕方がない。

(*3)
「実質実効為替レート」は通貨本来の強さを表す指標。 この指標は約60カ国・地域の通貨を比較し、各々の国の物価や貿易量を加味した上で算出したものである。 ドル円やユーロ円のような2国間のレートよりも、通貨の総合力が分かる、とされるのが実質実効為替レートである。







ウクライナ問題 マスコミはロシアに加担する

2022-02-25 05:50:00 | 国際
ロシア軍の攻撃・侵攻が始まったウクライナだが、この問題をワイドショーや情報番組などで訳知り顔で解説する専門家の多くが薄い知識、間違った情報、知ったかぶりでウクライナ問題を語っている。しかもロシア寄りのバイアスがかかった発言が多く、真実を知る人から見れば耐え難い程酷い実態に強い憤りを感じているとのことだ。専門家だけでなく、マスコミの報道それ自体がロシア寄りバイアスを感じることが多い。そうした無神経で無責任な報道や専門家発言について在日ウクライナ人のナザレンコ・アンドリー氏が批判・説明しているので、それらを中心にして述べていこうと思う。



最もよく聞かれる間違った情報は

「ウクライナ東部は歴史的にロシア寄り」

というものだが、これは実は真実ではない。本当は

「1932-3年にスターリンがウクライナ東部で人為的大飢饉(ホロドモール)を起こし、600万人のウクライナ人を死に追いやった代わりに多くのロシア人を入植させた」

である。住民はそもそも入植してきたロシア人だ、ということである。


また、ロシア侵攻の是非について

「ウクライナ国内の世論が二極化している」

という説明がされることが多いが、これも真実ではない。本当は

「ウクライナ国内で何度も行われた選挙に於いて親ロシア派政党の支持率は10%以下である。ハト派は居ても併合派はいない」

ということだ。


現在、既にロシア軍に依る侵攻は始まっているが「侵攻開始はない」とする発言も多く聞かれた。そのような人たちは「侵略するつもりはない。兵力の6割を国境に集結させているだけ」と言うのだが、これはつまり「貴方の家を放火するつもりはない。ガソリンとライターを持ってきて貴方の家の玄関前で立っているだけ」と言うのと同じである。前者を信じる人は、後者の場面に遭っても「そうか、なら安心した」となるだろうか?常識ある人なら警察を呼ぶであろう。

日本でテレビ番組に出演している外国人タレントなども「ウクライナ侵攻はない!米国が煽っているだけ!ロシアは軍を撤収している!」と発言していたそうだが、実際に侵攻は開始されており、既に戦闘で亡くなった人も少なくない。ナザレンコ・アンドリー氏はこうした無神経で無責任な発言に怒りを顕にしている。


ロシア軍は「ロシア語を話す人々を守るために」云々と言いながら、ロシア語話者が圧倒的に多い東南部と首都を攻撃している。これは明らかに矛盾だ。ロシアがやっているのは「君たちを守るために君たちの町を破壊する」であり、これはすなわちロシアの狙いが「ロシア語を話す人の保護ではない」事を意味している。これは戦争を仕掛ける側が他国を侵略する時の理由として挙げる常套句(嘘の理由)の一つなのである。

ロシアはウクライナ侵攻を否定しながら実際に侵攻したのだし、ウクライナ東部住民の保護と言いながら東部にミサイル攻撃をしている。ロシアの言い分をこれでも信用する人は居るのだろうか?


ウクライナ人女性のソフィヤ・カタオカ氏がフェイスブックで実情を語っているのだが、それに依ると・・・
日本でもウクライナの状況について関心が向けられていることに感謝するが、しかし日本での報道はあまりにも表面的で実態を捉えていないものが多く、とても残念に思う。一部のメディアに登場する専門家と称する人たちは堂々とロシアのプロパガンダを広めようとしており、強く怒りを感じる。また不必要に不安を煽る報道も目立つ。メディアの多くは”ロシアは本当にウクライナを侵略するのか”というヘッドラインが目につくが、ロシアとウクライナの戦争は実際には既に8年前から始まっている。
・・・概ねこのような内容を訴求している。

専門家と称する人たちはテレビ番組で「ロシアのウクライナ侵攻はない」と断言していたが、実際に侵攻は始まった。本来なら専門家は「私の見立てが間違ってました」「すみません」と率直に謝罪すべきところだが、彼らは謝罪しないどころか開き直って「ウクライナが悪い」と言い張るのだ。呆れるばかりだが、飽くまでロシア側バイアスがかかった見方しかできないのであり、こんな人々がテレビ番組で一般視聴者を洗脳するのである。

テレビ局のマスメディアは元から左派系の姿勢を持っている人たちで構成されている。要するに親中で親露なのである。従って、報道内容でも情報番組でも基本的にロシア寄りのバイアスがかかった報道しかしないのが実情だ。テレビ番組等マスメディアが報じる内容はそれを念頭に置いて受け取る必要がある。上記のように、実際は8年前から戦争が始まっているにも関わらず、それを伝えないのはマスコミがロシア側に配慮して事実や歴史を捻じ曲げているからである。


今回のロシア軍に依る侵攻の脅威を受けてウクライナは民間人の自動小銃保有を合法化する。たとえウクライナの民間人が銃を所持していなくてもロシアは「銃があった」としてウクライナ人を殺害するからである。ロシア軍の非道・残虐性はよく知られているのだ。ロシアがウクライナを占領した場合に殺害すべき人物のリストまで作られているのだ。この期に及んで「国際法が云々」などと言う人々は、ロシアをどこの文明国家と勘違いしているのだろうか?共産主義国・社会主義国・独裁国家のやり方は極端に残虐で非道の極致である。現在、ロシアが言う侵攻の理由は完全なでっちあげであり明らかな国際法違反なのだが、そこで迷うようなロシア兵もロシア政治家もいないのである。


タレントで大学客員教授の伊藤聡子氏はTBSの情報番組「ひるおび」にて「なぜ、ウクライナはロシアになりたくないのか」と発言している。これなど無神経の極致のような発言であり呆れるばかりだが、この人物が所属する事務所が三桂であることを知るならある意味で納得である。株式会社三桂はあの極左姿勢丸出しの関口宏氏が会長を務める事務所だ。「最低サンデーモーニング」での左に傾いた司会ぶりは多くの人の知るところとなっている。
この伊藤聡子氏の発言に対してナザレンコ・アンドリー氏は次のように返す。
『「その発言に脅威を感じたので、先制攻撃で彼女の自宅を占領しとく。もちろん冷蔵庫を勝手に使うし、収入の一部を「税」として納めてもらう。言うこと聞かなければ力で鎮圧。えっ、何でそんな状態になりたくないの?!」という単純な例え話にすれば、伊藤聡子にでも通じるかね?』


また、ナザレンコ・アンドリー氏は次のように言う。
「メディアの問題は、親露派として出る人はロシアの歪んだ歴史観に詳しくて、デタラメではあるが、捏造「歴史」に訴える主張ができる。洗脳のプロ。他方、対抗する人は常識人で親欧米であっても、東欧の歴史は第一の感心事ではないので、簡単に論破できる親露派の主張への反論もわからなかったりする。」
マスコミに登場するロシアよりの人物は概ねプロパガンダを語ってロシアの立場に正当性を持たせようとする。しかも洗脳工作的にそれを行うので、コロッと騙される人も多いのである。


ナザレンコ・アンドリー氏は東部のハリコフ市出身だが、そのハリコフ市が戦場になっている。アンドリー市に依れば「ハリコフは、市内から4キロ以内の距離で激戦。南部ヘルソン州(クリミア前の州)で露軍の攻撃が続き、厳しい状況」ということだ。ナザレンコ氏は「実家から戦場の音が聞こえる」とツイートしている。また、ナザレンコ氏がロシアから攻撃を受けている都市の地図を氏のツイッターに掲示しているが、それを見ると、戦場は東部だけなく、既にウクライナ全土に戦火が広がっている事が確認できる。




ロシア軍の侵攻に対して、そのロシア国内に於いてもモスクワで反戦でもが行われている模様がツイッターなどで発信されている。だが、ロシア内務省に依ればデモ参加者600人を逮捕したとのことである。プーチン大統領の強権的で独裁的な権力は都合の悪いことは全て武力で抑え込もうとする。これは中国でも同じだ。憂慮されるのは、今回のロシアのやり方を見ているであろう中国が台湾や尖閣諸島に対してこの手で侵攻を開始する可能性が高いことである。ウクライナの後は台湾・尖閣が危ない。次は台湾と日本の番…かもしれないのだ。




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参考記事:

「ウクライナ問題 マスコミの偏向報道」

ウクライナを支持•支援している国(青)とロシアを支持している国(赤)の地図。
見事に自由世界と独裁国家の対立が浮かび上がっている。
「ナザレンコ・アンドリー氏のツイート」






ウクライナ情勢と稀代の無能外相

2022-02-24 06:55:00 | 国際
ウクライナ情勢が正に瀬戸際である。外交的な解決ができるのか、それとも武力侵攻で無理やり解決するのか…な状況だが、こんな緊迫した状況下で我が国の林外務大臣は信じがたい考えなしな行動をして世界中の冷たい視線を浴びている。今回はこの件について数量経済学者の高橋洋一氏の解説を紹介する。


ウクライナ問題は外交的解決をするならミンスク合意に基づくことになる。2014~2015年くらいにウクライナの東部2州とロシアとウクライナの間で停戦協定を締結しているのだ。

現在、東部の2州で戦闘行為が行われているが、これは2014~15年あたりから続いているものである。そこで停戦合意をしようというのがミンスク合意だ。それはロシアとウクライナと東部2州の間で形の上ではまとまっているものだが、実態は全然実行されていないのだ。

従って、普通の外交決着の場合はこのミンスク合意をベースにして停戦合意を取るのが普通の手順となる。これが可能か否かがポイントになる。ミンスク合意に乗ることが出来るなら、取りあえずの停戦協定は出来るかもしれない。これが外交的解決の唯一の手段である。


この数日の動勢を見ていると、フランスのマクロン大統領が仲介してバイデン大統領とプーチン大統領で話し合いをやろう、としたのだが、その時にアメリカが「ウクライナに侵入しないという条件」の上で話し合おう、と提案したが、これに対してプーチンがキレて逆上した状態で「(ウクライナ)東部2州の独立を承認する」と言ってしまったのである。この発言はミンスク合意を根底から覆すものであり、非常にまずい。

ミンスク合意とは、独立するかしないかではなく「とりあえず停戦しましょう」というものである。だからこれはアメリカ・ロシア共にミンスク合意を完全に崩したことになるのだ。外交的解決の唯一の希望であったミンスク合意が崩れているとしたら、状況は正に危機的である。

なので、この数日の間にミンスク合意をベースにしてもう一回やるのか、それとも破棄して侵攻するのか、を詰める事になろう。ミンスク合意を破棄して何が出来るかと言えば、ロシアから見たら東部の2州は既に独立承認しているので、そこの治安維持活動として、平和維持という名目でロシア軍が入れる
という状況である。ロシア側は侵攻の為の口実を作った、ということである。従ってプーチン大統領の「独立承認」発言は一線を超えている可能性が高いと言えよう。


ここまでの展開が世界の常識としてまずあって、プーチン大統領が一線を超えてしまったかもしれない、という危機的状況下で、少し前に林外務大臣が経済協力ということでロシアの全然関係ない大臣(経済発展相)に会ってしまった。

高橋氏は「あれはないな」と批判する。

普通の外交的な常識からしてみると、現状では経済協力の名目で会うというのはふさわしくないから、だからこのような場合にはリスケ(リスケジュール)…つまり延期するのが普通の判断なのである。リスケして延期という事にすれば何も問題はないのだ。だが、林外相はロシア側と会ってしまった。そこでウクライナ問題について「意見を言った」と言うのだが、ロシア側の閣僚は経済発展相であって、ウクライナ問題は自分の担当ではない。従って、日本の言い分など何も聞いちゃいないのである。全く意味がない。意味がないどころかロシア側から見れば「日本と経済協力の話をした」と言うだけである。この方がきついのだ。日本側は「経済協力の話はしたかもしれないが、ウクライナ問題についてもちゃんと意見を言いました」とアリバイのように言い訳したところで意味がないのだ。阿呆である。

これはそもそも「会ってはいけない」というのがセオリーなのである。・・・それなのに、会ってしまった林外相…。


高橋氏だって役人だった頃には国際会議などに行く時は外交の常識といったものは一通り理解してから行っていた。そうした常識を踏まえるなら「普通は会わない」が正解なのである。現在のような緊迫した時にわざわざ会う必要もないし、会って「経済協力しました」とロシアから言われたら言い返すこともできないのだ。こちらの方が問題である。ロシアの経済発展相に対して「(ウクライナ問題は)自重しよう」と言ったところで、そんなものは当たり前のように消されるだけである。それがミエミエだから会わないのが普通であり常識的判断なのである。

だが、林外相は会ってしまった。

これはもう、最後は大臣の資質の問題である。この状況下で、それでも会って「経済協力する」と言ってしまう林外相。外務省では事務方から「こういう予定がありますがどうしますか?」と事前に聞かれた筈である。そして実際に会ってしまったのだから、これは林外相が「会おう」と言ったものと推測される。本人が「会おう」と言わない限りは会談の予定は設定されないからである。事務方役人としては一応予定が入っているので大臣にお伺いを立てるのだが、大臣は「やろう」と言った筈だ。まさかこの状況で会うとは思っていなかった事務方は「え?」と目が点になった筈である。だが、大臣が「やる」と言ったら仕方がないので会談をセットすることになるのだ。


林外相側を擁護する人は高橋氏に対して「外務大臣のプレスリリースは見たんですか?」と言ってつっかかってくるそうだ。高橋氏はもちろんプレスリリースは見ている。だが、そんなものに意味は無いのだ。それは外務省が書いた話であり、ロシア側は全く違う説明をするに決まっているからである。これくらいはすぐに判る事だ。

ロシアに対する経済制裁を話し合っている最中に経済協力でロシアとつるもうとする日本は世界各国から見た場合に「日本は制裁抜けするかもしれない」と疑われるだろう。この状況で経済協力の話なんかしているのだから、そう思われても仕方がないのである。

林外相のあまりの”考えなし”さ加減には喫驚しかない。

平時に経済協力の話をするのは構わないが、今のような緊迫した情勢下でしてはいけないだろうことは何も政治家でなくても誰でも判る筈なのだが・・・林芳正氏には判らなかったようである。こんな常識以前の問題が林氏には判らなかったのだ。


せっかく安倍政権の時代に日本は世界のリーダークラスにまでその地位を上げることが出来たのに、岸田政権になってから外交音痴の岸田総理や林外相のせいで日本は国際社会からの信頼を全て失ってしまったのである。

こんな阿呆なことをやっていると、仮に中国が尖閣に侵攻してきた時に欧米をはじめ世界各国は助けてくれないだろう。


ウクライナの東部2州に対してプーチン大統領が国家承認してしまったが、これに続くロシア側の次の手筈は既に決まっている。今度は「治安維持・平和維持という名目でロシア軍がウクライナ国内に入る」つまり「侵攻する」ことになる。こうした情勢は少し前から既に見えていたのである。

ミンスク合意の話はギリギリの状況下で、これがないと外交的な解決は不可能であろう。それを破ったのがここ2~3日の話である。そのようなギリギリの情勢になっていた一方で経済協力の話をしているというのは信じがたい愚行なのだ。

上述したように、そういうスケジュール(ロシア経済発展相との会談)があったとしても、この状況下では絶対に延期するのが普通なのである。それをしなかった事で岸田総理は西側諸国の中でもG7などの機会に各国側から「え?この人、何を考えてんの?」と驚きの目で見られていたことだろう。

実際に岸田政権は世界各国から信頼されず相手にもされず、最も近い筈のアメリカからも敬遠されている。トランプ・安倍時代には双方は頻繁に連絡し合っていたようだが、現在のバイデン大統領は岸田総理に連絡はしていないようだ。

今の日本は世界各国からいわゆるコウモリ外交、つまり二股外交をやっていると見られているのであり、これはかなりまずい話である。相当まずい。ウクライナ問題だけでなく、今後の東アジア情勢や台湾の有事になった場合にどうなるのか非常に憂慮される事態になっているのだ。


林外相と岸田総理・・・彼らは日本の国益を毀損し続けて止むことがない。それは悪夢の民主党鳩山政権を想起させるほど酷いのだ。稀代の無能であり政治の素人と言えよう。彼らには志が何も無い。正に「丙丁つけがたい人たち」であり、一日も早く降板してもらいたい人たちである。






ヴィレッジ・ヴァンガードはNYのジャズクラブ

2022-02-21 05:55:00 | 音楽
近年、若年層に広く認知されているヴィレッジ・ヴァンガードといえばオシャレな書籍店/雑貨店だが、中高年世代でジャズが好きな人たちにとってはヴィレッジ・ヴァンガードと言えばニューヨークの老舗ジャズクラブである。


日本のヴィレッジ・ヴァンガードは設立が1998年(平成10年)だが、本家ニューヨークの方は1935年(昭和10年)であり、あの名門レーベルのブルーノート創業の4年前である。なお、日本のヴィレヴァン創業者の菊地敬一氏は元々ジャズ好きであり、自分の店(書籍店)でジャズのライブをやりたいという夢があった。音響の関係でライブこそ断念したものの、店名やBGMにジャズを流すなどすることでジャズ的な雰囲気を残すようにしたということだ。

前述の創業者菊地氏が好きなアルバムにヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤がいくつかあるそうだが、例えばテナーサックスの大御所であるソニー・ロリンズの名盤である「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」(1957年11月3日録音)もその一つだ。このライブはコード(和音)楽器がいないピアノレスのトリオ(サックス、ベース、ドラム)での演奏である。ジョン・コルトレーンのグループでの演奏で有名なエルヴィン・ジョーンズ(Ds)との初共演が聴ける。コード楽器がいない…つまり和音が奏されないということはサックスのアドリブにとってはイマジネーションがより自由になる、ということでもある。この日のロリンズもエルヴィンも素晴らしいプレイをしており、永遠に色褪せない素晴らしいライブレコードである。

また、名ピアニストのビル・エヴァンスの名盤である「Sunday at the Village Vanguard」(1961/06/25録音)も菊地氏が好きなアルバムとのことだ。このときのエヴァンスのトリオにはあの名ベーシストのスコット・ラファロが在籍している。ラファロは若くして交通事故で亡くなってしまうが、エヴァンスのトリオ在籍時には数々のモダンで美しく、しかもイノベーティブな演奏を残している。

そして、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤と言えば、忘れてはいけないのがジョン・コルトレーンの2つのレコードだ。
一つは「Live At The Village Vanguard」(1961/11/2,3録音)であり、エリック・ドルフィーがバスクラリネットで参加したクインテットでの演奏である。1曲目の「Spiritual 」というタイトルにも表れているが、深い精神性を感じさせる演奏には普遍的な価値が感じられる。3曲目の「Chasin' The Trane」はずっと後の時代にチック・コリアのアコースティックバンドでも演奏されているが、曲自体はオーソドックスなブルース(キーはF)である。コルトレーンのアドリブもかなり自由に飛翔しているが、ここでマッコイ・タイナー(ピアノ)は故意に演奏(バッキング)をしていない。コードを鳴らさない方がサックスのアドリブがより遠くへ飛ぶことができるからである。ドラムでリズムを鼓舞するエルヴィン・ジョーンズの凄まじいグルーヴ感もあって曲の後半になると鳥肌が立つほどの盛り上がりを見せる。



ジョン・コルトレーンの傑作ライブアルバム「AT THE VILLAGE VANGUARD」ジャケット



もう一つは、「Live at the Village Vanguard Again!」(1966年5月28日録音)である。冒頭に掲げた画像がそのジャケットだ。メンバーはほとんど入れ替わっており、妻のアリス・コルトレーンがピアノ、もう一人のテナーサックスにファラオ・サンダースが入ったクインテットである。よりスピリチュアルな領域に入っている演奏になっている。なお、この時のヴィレッジ・ヴァンガード出演の2ヶ月後にコルトレーンはこのメンバーで最初で最後の来日を果たしている。コルトレーン自身は翌年(1967年)の7月に亡くなるが、その前年の演奏である。日本でもJR東海の「そうだ、京都へ行こう」CMで有名になった「My Favorite Things」も演奏している。ソプラノサックスで演奏されるが、コルトレーンが好んで演奏した曲の一つである。



もう一つのビレッジ・ヴァンガードでのライブ盤である「LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD AGAIN!」



このニューヨークの老舗ジャズクラブであるヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤は数多い。「Live at the Village Vanguard」で検索すればAmazonでもYouTubeでも多くのライブ盤がヒットする。名演奏が生まれるジャズクラブ、それがヴィレッジ・ヴァンガードなのである。




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ヴィレッジ・ヴァンガードの日曜日のマチネー(昼公演)を告知する新聞広告。時期的に1957~1958年頃と思われる。ジョン・コルトレーンがセロニアス・モンク・カルテットに加わって出演する、というものだが、今から見れば凄すぎて鳥肌が立つほどの組み合わせである。







林芳正外相 外交のド素人

2022-02-19 16:16:56 | 人物
親中派の岸田総理と同じく筋金入りの親中・媚中派である外務大臣林芳正氏は日中友好議員連盟会長を努めていた人物である。外相就任に伴って会長を退任したところで、骨の髄まで”中国大好き”な体質がそれで変わるとは誰も思っていない。茂木幹事長が「謝謝茂木(シェーシェー もてぎ)」ならこちらは「您好林(ニイハオ はやし)」といったところか。(笑)

この林外相、びっくりするほど外交センスが欠如している。

林氏は外相就任後に中国の王毅外相から訪中の打診を受けたことを明かしてしまった事で外交の素人であることを自ら暴露してしまった人物である。政治家として完全に素人だ。外国からのオファーは正式な決定までは公表しないことが鉄則である。林氏は中国からの招待がよほど嬉しかったのだろう、TV番組で嬉々として喋ってしまった。まるでキャンデーを与えられた幼い坊やである。

また、緊張状態にあるウクライナ情勢下でG7(先進7ヶ国)が対ロシアの経済制裁について話し合っているその時に、あろうことか林外相は2月15日にロシアの経済発展相とのテレビ電話形式の会議に出席してしまった。ここでは日露の経済協力などについて話し合われたが、最悪のタイミングと言えよう。ドル決済の停止などロシアへの罰を検討しているその時に「ロシアと経済協力しますよ」と話し合っているのだ。正に阿呆である。日米欧の団結を分断するかのようなアクションであり、逆にロシアや中国は喜んだであろう。
自民党の高市政調会長は「先進7カ国(G7)の結束を乱そうとするロシアの術中に見事に自分からはまっていった」と批判した。全くその通りだ。

林外相がロシアの経済発展相とのテレビ電話会議に出席した同じ日に岸田首相はウクライナ大統領と電話会談している。普通に考えれば、ウクライナのトップと会談しているその同じ日にロシアの経済発展相と会談するというチョイスはないだろう。(*1) 正に最悪のタイミングだ。案の定、ロシアは「日本と貿易経済協力について話し合った」として宣伝に利用しているのだ。林外相はまさにロシアの術中に自分からはまりにいったのである。”外交の素人”を通り越して”間抜け”という言葉が脳裏に浮かぶ。こんなポンコツ外務大臣を戴く日本・・・恥ずかしいとしか言いようがない。

しかも、だ。岸田総理とウクライナ大統領との会談の内容を平易に言うなら「ウクライナの立場を支持して重大な懸念を持って注視している」…ということだ。こんなことなら誰でも言える。岸田総理も林外相に劣るとも勝らないポンコツであることは周知の通りである。

『岸田総理の顕著な特徴は“やってる感”だけで実は何もしていない事。(*2) ウクライナ&ロシア大統領との電話会談も「動いているフリして実は何もやっていない。“皆仲良くしましょう~平和が大事~”。綺麗事言うだけなら小学生でもできる』と述べるのは在日ウクライナ人のナザレンコ・アンドリー氏である。全くその通りである。

林外相も岸田総理も外交音痴が過ぎる。並外れた外交音痴ぶりである。非常に怖いのは欧米が揃って対ロシアの対応策を検討しているのに日本だけがロシアに忖度していると、今度はいざ日本が中国に侵攻された時に欧米はもう助けてくれないだろう。せっかく安倍総理が日本を国際政治のリーダークラスにまで引き上げてくれたのに、岸田総理はそのステータスをぶち壊して全部台無しにしてしまったのだ。なんという愚かな政権であろうか。あまりにも酷すぎる。


ゴリゴリの親中派として、ただでさえアメリカ政府から警戒の目で見られている岸田政権だが、やることなすこといちいち外交のド素人ぶりが炸裂していることで、既に国際社会は日本を見限っているのが実情だ。全ての責任は岸田総理や林外相にある。

林芳正外務大臣と岸田文雄総理大臣…外交センスの無さは本当に素人レベルであり、どれだけ日本の国益を毀損すれば気が済むのか、と言いたいほどである。

この体たらくでベテラン政治家然としていられる厚顔無恥には呆れるばかりだ。…どこに出しても恥ずかしい二人である。




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(*1)
この判断は林外相だけでなく、外務省の中の官僚、それもロシア・スクールと呼ばれる親ロシアな外務官僚達に依る工作の結果でもあると思われる。獅子身中の虫と言えよう。もっとも、外務大臣がしっかりしていればロシア・スクールの官僚の進言など排除できる筈なのだ。それもできない林外相…果たして彼は自分の頭で考えているのだろうか?という疑問が浮かぶところだ。

(*2)
岸田政権はいつも既出の政策をさも自分が新しく出したかのようなフリをする。武漢コロナウィルス対応や経済政策にしても、既に安倍政権・菅政権で手を打った政策をちょっと手直しして、さも自分が新しく出したかのような顔をするのが岸田総理である。結局岸田総理自身は何もしていないのだ。



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<2022年2月22日:追記>
ドイツ・ミュンヘンで開催された先進7カ国(G7)外相会合後の記者会見で林芳正外務大臣は「中国と建設的で安定した関係を築こうとしている」と語った。しかしその一方で「台湾は日本の重要なパートナー。私達は基本的価値を共有している」とも語っている。欧州の記者たちは皆「この人、何を言っているのだ?」と喫驚している。林外相の発言内容は正にコウモリ外交のそれであり、こんなことを平気で言ってるから国際社会から軽蔑されるのである。この人、放っておくと日本の国益をどんどん毀損しまくるようで非常にまずい。林芳正氏…どこに出しても恥ずかしい人物だ。

<2022年6月3日:追記>
2022年5月22日に林芳正外相が新潟市での講演で新型コロナウイルス感染が拡大する北朝鮮への支援を検討したい意思を示して「あそこの国とは国交もない。だから放っておけばいいとはなかなかならない」と述べた。拉致問題やミサイル問題は放置したままなのにこの言い草である。先進国の外務大臣としては国際社会で全く存在感の無い林外相。案の定、北朝鮮は5月25日に弾道ミサイルを発射して林氏の忖度に応えた。林外相も岸田首相も完全に舐められているのである。やはり林氏は外交のど素人である、と断定して間違いない。林氏に近い政治家の誰でもいいから林氏に対して外交のやり方の基礎から教えてあげてほしい。林氏のおかげで日本は世界の笑い者だ。