Altered Notes

Something New.

節電のウソ

2011-07-21 02:46:43 | 社会・政治
震災発生以来、電力不足ということになっており「節電」が日本における国民一般のキーワードとして定着している昨今、「節電キャンペーンは嘘」である、と中部大学の武田教授が裏側の実態を語っている。

以下は、テレビ番組に武田教授が出演した際の武田氏の発言を中心とした内容の抄録である。

---------

 「ビートたけしのTVタックル」
 テレビ朝日
 2011年7月18日放送

番組ではまず「節電キャンペーン」に対して大阪の橋下知事が節電要請を拒否した件を紹介。
橋下知事は「”原発は必要だ”という世論喚起の為の15%削減としか感じられない」と発言。
ここに「節電キャンペーンは原発推進キャンペーンだったのか」という疑惑が提示される。

そこで武田邦彦氏の見解が披露される。

でんき予報

一日の電気使用状況を示す棒グラフが提示され、そこでは正午から午後にかけて電力使用のピークがきていることが読み取れる。
その量はおおよそ5000万キロワットでピーク時供給力に対する
約90%の量となる。

ピーク時供給力は東京電力が出している数字。
これは「ピーク時供給力」と名付けられているが本当は違う。
本当は「ピーク時の東電計画量」である。
つまり供給できるマキシマムの量ではなく、「ピーク時にこれだけ供給しましょう」という東電が決めた計画量に過ぎない。
決して最大供給量ではないのだ。

前述のピーク時供給力に対する90%という数字はあくまで東電が「計画した量」に対するパーセンテージであり、東電の最大供給量に対する率で言えば85%となる。
つまり東電はわざとハードルを下げていることになる。

東電はこの「供給電力量」を下げようと思えばもっと下げることもできる。
東電が言う「最大値」は「設備能力」ではなくてあくまで「計画量」なので、下げようと思ったらいくらでも下げることが出来る。
思い切り下げればたちまち需要電力量を超えてしまうだろう。
つまり需要者に対して「既に供給能力を超えたからもっと節電しろ」と言うこともできる。

もし電力使用量が100%になった場合、東電は「不特定の地域に停電発生の可能性」を示唆している。そうならないために計画停電を実施する、と言っている。

これはちょっと問題がある。
日本では高品質な電気を供給できるようになっていて現状と事情が合わない。世界的にはここまで高品質にやっている国は他に無い。
大抵の国では少し電圧が下がったりしながら不安定ながらも電力の供給を行っている。

この品質を少し下げるだけで不特定地域に停電が発生することもなくなる。それで東京全体が大停電になることは絶対に無い。
家電製品は設計に少し手を加えて多少の電圧変動に耐えられるようにしておけば対応の幅が広がる。

そこで・・・

「これさえあれば15%節電はいらない」

(1)放送等で「電気速報」(電力ピークが近いことを通知)を流す。
(2)「節電メール」を配信してリアルタイムに節電を呼びかける。

↑緊急時にはこれで対応が可能である。過度の節電は不要。

日本人は真面目なのでメールで呼びかけただけですぐに電力使用を控えてくれるのですぐに総使用量は下がる筈であり、それだけで電力は非常に余裕が出る。
だから東電は「不特定地域に停電が起こる」などと脅すことはやめてこのような前向き対策でやったほうが良い。

一般家庭は本当は節電する必要はない。

なぜか。
ピーク時節電というのは大口需要家の昼間だけが対象なのである。
一般家庭用も業務用も一日を通して使用電力量はほぼフラットである。
ただ、昼間にピークが来るのは一般事務所・会社等の使用電力がそこで多めに入ってくるからである。
問題なのはそこだけ。
今まで(震災前)は事務所等の業務用電力に対して充分に供給するようにやってきたのでそこの歪が出ているだけ。

「東電による今夏(7月末)の電量需要予想」
ピーク時の需要:5500万KW
最大供給力  :5680万KW

そして

「東電の発電設備能力」(他社受電分を含む2009年度実績)
原子力:1819万KW
水 力:1464万KW
火 力:4486万KW
-----------------
合 計:7769万KW

となっている。

これを見て判るように需要電力量に対して供給量は充分すぎる余裕がある。火力+水力だけで5950万KWもあるのが実態。

これは前掲の「今夏最大供給力:5680万KW」よりも多い数字。
既に余力があるということ。

合計電力においては、福島原発(約910万KW)分を差し引いても6859万KWある。
なので前掲の「ピーク時需要:5500万KW」くらいは軽くクリアできるのである。

東電が発表した「2009年度末実績 7月末 最大供給力」
原子力:1819→490
水力 :1464→960
火力 :4486→4270
東北電力へ受け渡し:-40
合計 :7769→5680
 (単位:万KW)

によれば、震災や点検で止まっている原発や計画停止の影響で使えない火力・水力発電所もあり、合計で5680万KWしか供給できない、と言っている。

東電によれば「火力は既に限界だ」と言うが、嘘つきが標準仕様となっている東電の言い分なので発言の信憑性はゼロに等しい。

結局、「節電キャンペーン」は大嘘であり、国民に対して「原発がなくて大丈夫と思わせたくない」が為の仕掛けであると言える。

節電だけでなく、東電は3月の震災発生時からウソばかり発表してきた実績がある。

電力使用制限令はオカシイ

現在、15%節電しないと罰金となるが、これはオカシイ。
現状では大口需要家は15%以上節電の制限令に違反すると100万円以下の罰金になる。

なぜこんなことになっているのか。
電力使用制限令は元々昭和47年の石油ショックの時にできた。
これは石油輸入が厳しくなった時に皆で節約しよう、という趣旨のもとにできた法律である。

しかしこれを今回の事例に摘要するのはおかしい。
今回の事態は元々「東電のミス」が原因である。
東電がミスして原発が壊れたら国民は暑さに耐えて我慢しなさい、我慢しないと罰金を取るぞ、と。こんなふざけた話はない。

本来はミスしたほうがペナルティを与えられるのが筋である。
なので今現在この法律を持ち出してくることはあまりに見当違いも甚だしいのである。

下請けの中小企業にも大きな影響がある

こうして大手企業が15%節電するために下請企業が影響を受ける。
下請けが大手に合わせるために土日も動いて休みなく電気を使わざるを得ないような事態になっている。本末転倒である。
休みは無くなり景気は悪くなり解雇も発生するしで酷い状況となっている。

自家発電を買い取れ

「東電の発電設備能力」に追加補足する。

原子力・火力・水力の他に「自家発電」による電力がある。

東電管内の自家発電 出力 約1656万KW
(そのほとんどが火力)
稼働率 約50%
推計 500~600万KWはある

ところが東電は電力比を下げて自家発電分を抑えていた。
自家発電されるとそれだけ自分たちの電力が売れなくなるからである。
狡い話である。

だから、本来あるべき形としては・・・
15%節電不可で罰金を取るくらいなら、自家発電分をさっさと購入すべきである。そうすれば600万KWが得られるのである。
それでも足りなかった場合のみ企業に対して少し節電のお願いをする、というのが本来の筋である。
もし罰金を払うようなことがあるならば、それは東電が払うべきであって企業が払うようなものではない。

東電(電力会社)以外の日本企業は節電に対して非常に協力してきている。節電の為のあらゆる方策をし努力をしてきている。
東電は企業に対して罰金どころかむしろ感謝して褒美を差し上げるくらいすべきなのである。

--------

ここまでが番組内で紹介された武田教授の見解である。

参考までにこのテーマで書かれた武田教授のブログにおける関連ページへのリンクを貼っておくので参照されたい。


「節電」は本当に必要なのか?(1)  電気代はなぜ高い?

「節電」は本当に必要なの?(2) 本当は津波ではなかった!

「節電」は本当に必要なの?(3) 電力消費の基礎知識を2,3

「節電」は本当に必要なの?(4) 日本人は劣っている?!