GoogleやApple、AmazonやMeta(Facebook)などの世界市場を制覇する革新的製品・サービスを提供するIT企業がもてはやされるが、多くの日本人は
「なぜ日本からGAFAのような企業が生まれないのか?」
という疑問を抱いている。
それでもかつては日本にも真にイノベイティブな企業はあった。ソニーである。東京通信工業(通称;東通工)として東京は品川に誕生したこのメーカーは5人の創業者達が存命であった時代には素晴らしい革新的製品を生み出して日本にSONYあり、と世界にその名を轟かせたものである。当時のソニー製品はそれまでの誰も発想し得ないものが多く、その製品がヒットすると後から真似をした製品が他社から出てきて新しい市場が生まれる…といった流れになることが多かった。当時の松下電器(今のパナソニック)はソニーが開発した新しい製品を真似して後発製品を作ることが多く、それを自社の強力な販売力で売りまくって利益を上げる…このパターンが多かった。ソニーが開発してヒットすると松下が真似して売りまくる…「マネシタ電器」と揶揄されたのもこの頃だ。
そのソニーも残念ながら創業者グループの人たちがいなくなってすっかり様変わりしてしまった。故・スティーブ・ジョブズはソニーをリスペクトしていた。創業者の一人である盛田昭夫氏を慕って製品開発から企業経営まで様々な事を学んでいたようだ。ある時はジョブズから製品の共同開発を持ちかけたこともあったほどだが・・・。
話を戻すが、今の日本から真に革新的な製品を生み出す事ができない理由について、オタキングこと岡田斗司夫氏に依れば「日本の経営者はSFを読まないから」という説明をしている。「ホリエモンですらSFを読んでない」、ということである。
どういうことか。
日本のメーカーなどの企業が成功する時の要因というのは既出の技術や発想を組み合わせて作ることが多く、ほとんどの場合はイノベーティブとは言えないものであり、旧来型製品の発想の枠を超えないものになっている場合が多い。新しいものへの評価基準も旧来の価値観に縛られている事が多く「飛んだ発想」を持つことがない。
逆にアメリカのシリコンバレーに集うような人々はどうだろうか。シリコンバレーでIT企業の経営者になるような人々は日本の経営者達とはかなり色合いが違う。アメリカの中でもいわゆるウォール街でバリバリのビジネスマンをやっていたような人たちではない、のである。(例外はあるが)
シリコンバレーの場合はむしろオタク系の色合いが濃い人たちが多く、アメリカ国内でもギークとかナードと言われるタイプの人たちだ。彼らはパソコン文化に早くから親しんでおり、その流れの中にあるSF小説を沢山読んでいる。
この2つのタイプは何が異なるのか?
SFに親しんでいるタイプならば、あるモノを作った時にそのモノによって世界がどのように変革されてゆくのかが見通せるのである。
岡田斗司夫氏に依ればソフトバンクの孫正義氏は「SFを読んでないな」と思えた、ということだ。
なぜか。
孫氏が「ソフトバンクこれからの三十年」というテーマで講演した時に語った将来のテーマが技術屋に依るハードウェアだけの発想だったから、である。未来の携帯電話は脳の中に埋め込まれて脳波だけで操作できるようになる、とか、そういった調子である。(*1) これは技術屋の発想なのだ。仮にそれが実現したとして、その世界の家族関係や恋人との関係はどうなるのか、脳だけで気持ちを送れるならその次代の恋愛はどういった形になるのか、なぜ人は家族を必要とするのか、等々といった諸問題と密接に関わってくるのだが、こうした技術に依って世界観・価値観が否応なく変化する事で社会の有り様も大きく変わってくる筈だ。
かつてのイギリス。産業革命で蒸気機関が発明されただけでキリスト教文化が支配的であった中世がいきなり終わってしまって、ビジネスと発明と現実世界での成功…神の世界へ行くためのお祈りの日々ではなく「労働に勤しむ」というプロテスタントの世界がやってきた、と。それほど技術の進歩というのは人間の社会や我々の価値観そのものを変革してしまう力があるのである。しかし、ソフトバンク・孫氏の発想にはそこが全然入っていないのだ。
なぜか。
「孫正義氏がSFを全然読んでないから」である…と岡田斗司夫氏は結論づけている。
岡田氏は続けて、「SF読んでない人と話したら、目線がせいぜい一年半しか先を見ていない」と語る。20代でSFを読んでいるか否かというのは大きな差になることがわかる…ということだ。
技術自体の進歩の大事だが、それだけでなく、その技術に依って世界は人間はどのように変わってゆくのか、どのように幸福になったり不幸になったりするのか、そこまでのビジョンが描けないし、そもそもそういった自由な発想ができないから、だから現代の日本から革新的な企業は生まれないのである。
参考記事:
「ドラスティックな技術革新の裏にはSFがあった」
--------------------------
(*1)
反日姿勢も顕な孫氏ならば、ケータイが(日本人の)脳に埋め込まれれば「洗脳しやすくなる」という目論見はあるのかもしれないが…。
◇