Altered Notes

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「ただしイケメンに限る」を否定する人を否定する

2017-12-20 22:07:07 | 社会・政治
劇作家の鴻上尚史氏が週刊誌に書いた『「ただしイケメンに限る」という嘘』という記事が元で炎上したのは約3年前のことである。そしてその続編として「「ただし、イケメンに限る」は嘘、と書いた文章がネットで燃えた理由」なる記事で「ただしイケメンに限る」を嘘と規定した元記事が社会にもたらした影響を語っている。
遅まきながら当ブログでも同主題について書くのだが、ここでは鴻上尚史氏の主張と現実との乖離について説明してゆくことにする。

鴻上氏はまず子ども(女の子)たちに好みの男子のタイプを聞くところから始めた。すると女子たちは男性の外見以外の魅力(格好いい、面白い、頼りがいがある、楽しい、等々)を答えたという。
鴻上氏はこれを根拠に女子が男子に対して外見の良さを(第一の条件としては)求めていないとする。しかし、ここには落とし穴があることを鴻上氏はご存じない。
女子たちがあげた好きな男子のタイプにはことごとく「ただしイケメンに限る」が裏に(前提条件として)潜んでいるのだ。


楽しい人(ただしイケメンに限る)
面白い人(ただしイケメンに限る)
頼りがいがある人(ただしイケメンに限る)


といった具合だ。
「イケメンに限る」のは女性にとっていわずもがなの前提条件なのでわざわざ言ったりしないのである。そもそも女性/女子がこと恋愛に関する質問に馬鹿正直に答えるはずがないのだ。鴻上氏はそこが判っていない。(*1)
もう実はこの段階で鴻上氏の主張は全て否定されてしまっているのだが、せっかくだからその先も見ていこう。

同じ質問を男の子たちにしたところ、こちらは正直に「かわいい子」と全員が答えたそうだ。男性は素直な生き物なのである。

記事が掲載された当時、鴻上氏の主張には世の男性陣から激しい反発・反論が寄せられたそうである。当然であろう。
鴻上氏いわく「信者の信仰を砕いた異教徒に対する憎しみと混乱のようだ」と大袈裟な表現をされるのだが、何の事はない、鴻上氏が非モテ男性の実際的な境涯を把握できず理解もできてない…それだけのことである。

鴻上氏は続けて、モテない男性は「外見の問題だけで恋愛を諦めている」と決めつけるのだが、ここもおかしい。
非モテでブサイクな男性は決して自らの顔面の自己評価だけで諦観を持つに至った訳ではなく、既に女性に対する多くのアタックを試行錯誤し、それに対する女性側からの反発・完膚無きまでの侮辱・暴力的な言動(時に暴力的な行動も伴う)を受けているのである。場合によっては通報されて官憲が介入する、という事態も起こりうる。今の時代は女性本位で動いており、女性が認めない男性(ブサイク等)が女性にアプローチしただけでそれをセクシャルハラスメントだとして通報されてしまう事例が少なくない。(*2)鴻上氏はこうした厳然たる事実に目をつぶっているか、または知らないのである。

さらに鴻上氏は、「ただしイケメンに限る」と本気で思っている女性はとても愚かだ、として、内面を見て評価することの大切さを説いている。ここでも鴻上氏は非モテ男性が直面する現実を見ようとしないし知ろうとしない。非モテ男性はその「内面を見て評価」してもらう段階に至る前に排除されてしまうという事実をご存じないのだ。すなわち、内面評価を二次選考とするなら一次選考の顔面偏差値評価の段階でブサメンはことごとく落とされて排除されてしまうのである。従って彼らが二次選考に進む(内面が評価される)日は永遠に来ないのだ。

鴻上氏は前述の子どもたちへの質問において男の子たちは好きな女子のタイプについて異口同音に「かわいい子」と答えているその単純さを上から目線で見下しているのだが、女性と違ってむしろ男性の方が女性の「心・精神性」を重要視しているのは間違いない所である。それは男性がこと恋愛においては非常に傷つきやすくナイーブな生き物であるという事実からも判ることだ。
そもそも男子が好みの女性タイプを「かわいい子」と述べる時、その中には「やさしさ」や相手に対する豊かな思いやりの心情といった精神性が含まれているのは当然なのだが、鴻上氏はそこには目をつぶっているか気がついていないのである。

従って、総合的な結論として鴻上尚史氏が書かれたコラム『「ただしイケメンに限る」という嘘』は嘘であり否定されなければならない、ということになるのである。

さらに加えるなら、鴻上尚史氏の言説は物事のごく表面だけを見た評論であり、極めて皮相的なものであることがわかるのである。また、鴻上尚史氏はあの記事を結論先にありきで半ば面白半分(非モテ男性への侮蔑的感情を含む)に書いている印象もある。そして苦悩する男性一般への悪意ある決めつけがそこに見られるという意味で鴻上尚史氏の罪は深いとも思えるのだ。なにより、そうして女性に忌避された男性が圧倒的多数に到達しているという厳然たる事実があるからこその「彼女いない男性の増加」「生涯未婚率急上昇」「深刻な少子化」なのである。

女性がイケメンを追いかける一方で男性の非モテ拗らせの度合いはますます激化しているのだが、この「女性のイケメンへのこだわり」と「男性の非モテ拗らせ」は実は密接に関係している…と述べるのは評論家の岡田斗司夫氏である。岡田氏は次のように言う。
「イケメンが好き」と言っている女性は「胸が大きければ何でもいい」と言っている男性と変わらないのである。女性は男性が「女性は若ければ何でも良い」と言っている事を批判するのだが、その批判の一方で女性は「イケメンが好き」と言っているのは実は男性の場合と全く同じなのである。どちらも低次元な視点でなんともはや、だが…。


最後に書いておきたいことがある。
非モテ男性はただでさえ女性から酷い扱いを受け侮辱もされて惨めな人生を歩んでおり精神的にも疲弊している。しかしそうした弱者たる非モテ男性に対して社会は上述の鴻上尚史氏のように「うまくいかないのは男性が悪い」とまるで追い打ちをかけるように男性を叩きまくるのだ。「卑屈だ」とさえ言うのである。卑屈だとしても卑屈にならざるをえないのは相応の理由があり、それが想像できない社会一般の無神経と想像力の欠如は深刻であるとも言える。(*3)
こうしてあっちで叩かれこっちでも叩かれした非モテ男性が深く傷つき、やがて恋愛や結婚に対して一切の積極性を失ってしまい全ての動きを止めたとしてもそれは必然であり誰も責めることはできない。それは非モテ男性達が「身の程を知った」とも言えるし、謙虚な悟りに辿り着いたとも言えるのだが、しかしこうした実態が無神経・無頓着な人々には一生かかっても判らないのだ。非モテ男性の「自尊感情の低さ」「自己肯定感の欠如」には確かな理由・根拠があるのである。

もうひとつだけ。
イケメンについて前出の岡田斗司夫氏は次のように語っている。
「実は女性はイケメンについて何も理解していない」
「貴女が知っている”モテモテで一番嫌な女”の男版がイケメンである」
とのことだ。意見は色々あるだろうが、概ねこのような解釈で間違いない、ということである。







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(*1)
女性は他者に対しては当然のように見栄を張る。流行りの「インスタ映え」という言葉は女性の見栄張りの心理を端的に表すものである。
恋愛や異性についてのアンケートに対してもその見栄張りの心理は無意識的に働いており、それが「顔の良し悪しは関係ない」という態度として表面に出てくるのだ。しかし実際はその意見の陰に「ただしイケメンに限る」という絶対条件が厳然と存在している。繰り返して言うが、女性はこの本音を決して前面には出してこない。だから鴻上氏は騙されてしまったのである。

(*2)
女性に対するアプローチもイケメンがやると無問題だが、ブサメンがやるとセクシャルハラスメントと受け止められてしまう。有名な「壁ドン」などイケメンなら歓迎されるがブサメンがそれをやったら即行で殴られる上に通報されるだろう。「アゴクイ」などはもってのほかだ。同じアクションをしてもこの格差である。このため、非モテ男性は女性に対して迂闊に行動を起こせない状況に陥っている。

(*3)
成人男性が普通に街を歩いていても、それが非イケメンならば女性は当然のように不審者扱い・容疑者扱いをする。何の罪もない男性が街で知らない女性からいきなりそんな扱いを受ければショックを受けるのだが一般女性はそれを何とも思っていない。「非イケメン=不審者」という決めつけは当たり前で、それが男性の心を傷つけている事にも気づいていない。とんでもないことである。



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<2019年12月31日:追記>
2019年8月11日に女優の新川優愛さんがロケバス運転手の男性との結婚を発表した事が話題になった。世間一般に於いてはそれが格差婚であるとかロケバス運転手という職業についてスポットライトがあたるといういささかピントのずれた議論ばかりが目立つ格好となっていた。ここで最も重要なポイントは「そのロケバス運転手がイケメンだった」という事である。職業じゃないのだ。イケメンであることがポイントなのである。これは正に「但しイケメンに限る」というポリシーを貫いた結果の話であり、新川優愛さんは身を持ってこれを証明されたのである。

<2021年3月2日:追記>
少し前のTV番組で鉄道やハンバーグ等多趣味でインテリ系タレント市川紗椰さんがある番組に出演していた。出演者の中で女性は市川さんのみ。筆者は、群を抜いた美貌の持ち主である市川さんが数名居た男性出演者陣各々に対する接し方に差があることを感じた。大御所とイケメンに対しては明るく丁寧に接していたのだが、明らかにブサメンに対してだけ冷たい態度を取ったのだ。僅かな違いではあったが、そこに「※但しイケメンに限る」の原則が存在している事が如実に感じられたのであった。

<2022年1月18日:追記>
YouTubeには「カップル・ユーチューバー」という暗黙のジャンルがある。その多くはイケメンと美女の組み合わせであり、一種の惚気とモテ属性を持つ人々のパートナーが居る生活を垣間見せることで非モテの一般人へのマウンティングにも等しい内容になっているのだが、これが結構な人気を博している。「おたひかチャンネル」の二人や「家庭教師とボク」「もちょぺ」などはその典型例と言えよう。これらのコンテンツに登場する女性達もまた「但しイケメンに限る」の原則に忠実であることがよく判る。彼らは恋愛強者であり、それが当たり前であるかのように振る舞い発言するが、彼らが描くカップルの世界は恋愛弱者たる非モテには永遠に手の届かないファンタジーの世界なのである。






つぶやき集 [1]

2017-12-20 04:19:35 | つぶやき
<自殺防止運動の欺瞞>
年間3万人以上が自殺する日本という国。
SNSへの対応も含めて自殺者の増加を食い止めようとする動きがあるが、そういった人々には根本的な勘違いがある。
自殺の阻止者たちは「自殺を企てる人」を変えさせて世の中との折り合いをつけさせようとするのだが、実際は世の中のあり方が間違っており、その誤った社会の中でいたしかたなく居場所を失った人が辞世に動いているのが実態なのである。従って自殺防止運動は当事者にとっては余計な苦痛でしかない。
もちろん真剣に自殺志向者を救いたいと考えて行動している人々の意志や熱情は十分尊敬に値する。
しかし、だ。
人が自らの命を捨てるというのは「余程のこと」なのである。余程の覚悟をもって死に臨む彼らのリアルにとって自殺防止を叫ぶ人々の言葉は相対的に軽く響いてしまう、というのが偽らざる実情なのである、残念だが。



<非モテの発奮を促すネット記事>

世の中の非モテ男性を慰めたりおだてたりして恋愛市場への参入を促すネット記事が少なくない。それらは生涯未婚率の上昇を背景にして少子化の危機感を持った人々が婚姻率を増やすべく非モテ男性を煽る内容なのだが、実に薄っぺらい記事であり、いかにも無理やりな屁理屈ばかりで説得力皆無なのが実態である。また、理解できる内容のように見えて実は「但しイケメンに限る」な条件付きだったりするので非モテ男に対する応援としての訴求力はゼロである。そうした薄っぺらな煽り記事を書くような連中は非モテ男性が抱える途方もない深さの絶望感を知らないのだし、そもそも今実際に起きている実態を捉える為の想像力も皆無なのだ。



<イケメンとブサメンは別の世界に生きている>
2017年1月17日放送のTX「家、ついていってイイですか?」に元フィギュアスケーターの高橋大輔氏が出演した際に恋愛について「振られたことはない」と発言。恋愛は自分から勢いをつけて突進し、(最後は)自分から振る」との見解を発表した。
世の中の多くの男性が女性から酷い振られ方をしたり、そもそも相手にされなかったりする中で、やはりイケメンはその他大勢の男性とは違う世界に棲んでいることを事実として強く実感させる発言であった。ここから言えることは、常に振られる事で恋愛が強制終了する立場だったり、そもそも恋愛をスタートさせることすら叶わない立場の男性たちが見ている世界と高橋大輔氏が見ている世界は全く異なるであろう、ということ。有り体に言うならば、女性を追いかける立場の一般男性と女性の方から近寄ってくるポジションに居る高橋大輔氏は全く別の世界・別の次元に棲んでいる、と言える。ここには永遠に超えられない高い壁が厳然と存在しているのである。ここでも「但しイケメンに限る」の原則は間違いなく真理であることが確認できるのだ。



<童顔男は駄目>
一般的に女性が男性に求める魅力は野性味を含めた「男らしさ」であって可愛らしさではない。
「いや、童顔で可愛いのにモテる男性はいる」という声もあるが、それらは全てイケメンである場合に限られる。男性アイドルにはよくあるパターンであるが、童顔なのに女性からの引き合いが多いケースというのは例外なくイケメンだからである。
ここでも「ただしイケメンに限る」は真理であることが確認できるのである。