Altered Notes

Something New.

「暑さ」って実は「湿度」のことだったりする

2023-08-01 01:30:00 | 気象・地震
「暑さ寒さも胃癌まで」・・・そんな切ない話はさておき、我々が「暑さ」を感じる時というのは往々にして「湿度」が高い時であり、暖かい空気が肌にモワ~っとまつまり付く・・・そんな時だ、つまり、我々一般国民にとって暑さというのは(肌感覚をメインにするならば)「温度」よりも「湿度」の方が悪さをしている…そう捉えられるし考えられるのだ。これは日本を含む東アジアで一様に見られる傾向である。

もちろん科学的には「温度」「気温」は純粋に暑さ寒さを数値化したものであり、そこでは湿度は無関係だ。だが、不思議なもので、人間は例えば気温が34度の場所であっても、湿度が十分に低ければ、肌感覚としての「暑さ(蒸し暑さ)」はあまり感じないのだ。汗はすぐに乾燥してしまうからである。つまり思わず「あちぃ~」と言ってしまう感覚にはならない…そういうことである。

そうした前提を考慮した上でテレビ等のマスコミが(気象情報等で)報じる「暑さ」はあくまで「気温」でしかない。彼らは専門家であり、ある意味で科学者でもある訳で、そこは譲れない。しかし、彼らがいくら「今日は◯◯度なので過ごし易いでしょう」などと言ったところで、それは「気温」ベースでの話でしかなく、湿度を全く考慮していない点でほぼ無意味なのである。気温が多少低くても湿度が高ければ我々はそれを「暑い」と感じるのだ。


くり返すが、テレビの気象情報等を見ていると、『◯◯度だから暑い』『△△度だから過ごしやすい』などと「暑さ」基準を「気温」でしか判断していない。だが、それは往々にして我々の肌感覚とは程遠く、TVの言い分とは違って「ちっとも過ごしやすくなかったりする」のである。

気象予報士という資格を持つ人々はあくまで気温の高低だけで屋外での過ごしやすさ/にくさを判断して伝えてくるが、どうもその辺に我々が気象情報に求めるものといわゆる専門家たる気象予報士との埋めがたいギャップを感じずにはおられない。

よりわかりやすく言えば、今日が気温何度であることよりも湿度が何%であることの方が意味が大きかったりするのである。


当ブログでも以前に気象専門家のと一般国民の感覚の差異と専門家の姿勢について批判的な記事を掲載した。下記がそれである。

『気象専門家の驕りに思う』


たしかに「湿度」の感覚をもって「気温」も含めた判断や意見を持つことはやや科学的アプローチから外れるとは思うのだが、しかしその一方で気象予報士の山岸愛梨さんが言う

『「やっぱり専門家の人はどうしても『定義はこうだから』とか『専門的にはこうだから』となりがちだけど、(そもそも)「誰のための天気予報か」というところは(我々は)忘れちゃいけないと思っていて、・・・』

という見解と姿勢は非常に大切な部分と思われる。別に専門家同士の議論をやってるわけではなく、我々一般国民に直接立つ表現で伝えるべきであることはとても大切なことである、という事を山岸氏は言っているのだ。


山岸氏がそのように言う一方で、タモリ倶楽部に出演した木原実気象予報士はタモリ氏の発言に対して「ほら、すぐ素人はそんな言い方をするからダメなんです」などと発言して上から目線が感じられた。半分冗談だったとしても根っこが専門バカ(一種のIYI)になっており、相変わらず一般人(気象を詳しく知らない人)を見下して偉そうに振る舞っている姿勢に変わりはないようである。(蔑笑)




そういうことを改めて考える夏の一日…なのである。









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「阪神・淡路大震災」は「南海トラフ巨大地震」の前兆か

2023-02-13 12:35:35 | 気象・地震
今年は1995年に発生した阪神淡路大震災から28年になる年である。また、「南海トラフ地震」という超巨大規模の地震が起きる可能性が取り沙汰されているが、阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震が南海トラフ地震の前兆なのではないか、と言われている。その根拠と可能性はどの程度なのであろうか。これについてウェザーニューズ社の気象・地震解説担当の山口剛久氏が詳しい解説をしているのでそのビデオを紹介したい。

『「阪神・淡路大震災」は「南海トラフ巨大地震」の前兆なのか』




山口氏は下記のように説明している。


そもそも「南海トラフ」の「トラフ」というのは、「海溝よりは浅くて幅の広い、海底の溝状の地形」を表す言葉である。日本近辺には例えば「日本海溝」という非常に深い海溝があるが、それと違って「トラフ」というのは海溝ほど深くないものを指しているのである。

「南海トラフ」は2つのプレート境界面であり、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込む場所である。また、過去に何度も発生している大地震であり、その周期は100年から150年ほどで、地震の強さを表すマグニチュードで言うとマグニチュード8以上のパワーを持つ地震である。



さて、阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震が南海トラフ地震の”前兆”とされる理由について記してゆく。

南海トラフ地震はいわゆるプレート型の地震であり、これが起きれば巨大な力が発生して大きな被害がもたらされる可能性がある。近年では東日本大震災が代表的な事例だ。

このプレート型地震は海側プレートが陸側プレートの下に潜り込んでゆく事で発生するメカニズムであるが、陸側プレートが海側プレートからの強い圧力を受け受け続けていると、陸側プレート内部の浅い場所にごく狭い範囲だが、地盤にひび割れが生じて、時に局所的な崩壊が発生することがある。当然その場所では地震が発生する。

↑このメカニズムで発生した地震の一つが1995年に阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震であるが、同様の地震を箇条書きにすると下記のようになる。


西日本のM6.5以上の内陸地震(1995年~)

1995年 兵庫県南部地震
2000年 鳥取県西部地震
2005年 福岡県西方沖地震
2016年 熊本地震



このように、M7クラスの地震がいくつも起きているのだ。



上述のように、南海トラフ地震は過去に何度も発生している。

前回は1944年と1946年であった。この時も本体地震が起きる前の数十年前から内陸地震が活発になっていたのである。


1944年と1946年の南海トラフ地震の場合に前兆となった内陸地震をリストアップすると下記のようになる。

1943年 鳥取地震
1909年 姉川地震
1925年~1927年 北丹後地震、北但馬地震



このような内陸地震が立て続けに起きていて本体地震に繋がった、という事例があるのだ。



さらにもう一つ前の1854年の南海トラフ地震の時にも同様の傾向があった事が確認されている。

それらを考慮すると、この28年間で起きている各地の内陸地震もまた次の南海トラフ地震の前兆と言える可能性があるのだ。



南海トラフ地震は、向こう20年以内で約60%程度の確率があるとされている。30年以内では70~80%にもなるのだ。次の本体地震(南海トラフ地震)の前に、もう少し西日本の内陸部でM7クラスの地震(*1)が起きる可能性もある、と山口氏は述べている。







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(*1)
もちろん阪神淡路大震災クラスの地震である。











気象専門家の驕りに思う

2021-08-27 02:50:05 | 気象・地震
一つの道を極めた専門家というのは、その道を深く知らない一般人をついつい下に見てマウンティングしたがるものである。だが、そもそもそのような人は専門家以前に人として至らない、と認識せざるを得ないものだが。

何のことか?

つい先日(8月24日)のテレビ番組「林修の今でしょ講座」(EX)に於いて各局で活躍する気象予報士が集って、気象情報のあれこれについて一般人にわかりやすく講釈する、という企画があった。TBSに出演している森田正光氏、日テレに出演中の木原実氏や他の局に出ている予報士、そして俳優・タレントで気象予報士でもある石原良純氏などであり、比較的ベテランというか、気象の道を極めたような人たちが中心になるキャスティングであった。

番組はほぼこの予報士たちを中心に進行していったのだが、後半になってもう一人の気象予報士が登場した。ウェザーニューズ社の山岸愛梨氏である。



山岸愛梨氏


ご存じない方の為に簡単に説明するが、ウェザーニューズ社は民間としては最大規模の気象予報会社である。一般人が視聴できる気象情報は24時間放送されていて、YouTubeかニコニコ動画にて視聴可能である。ウェザーニューズのアプリケーションソフトからも視聴可能だ。前述の山岸愛梨氏も気象予報士であると同時に、この気象情報番組のキャスターの一人である。

ウェザーニューズでは気象情報・予報の素材データとなる観測機器を設置した場所が全国に約13,000箇所あり、これは気象庁が持つ観測ポイント数の10倍になる。また、ウェザーニューズには一般人がサポーターとして参加しており、その人達が毎日日本全国各地の気象状況について画像や映像付きでウェザーリポートと呼ばれる報告をウェザーニューズに送っている。

気象状況の把握・認識・今後の予想については、もちろん気象庁からの情報や正規の観測機器から得られるデータは重要だが、それだけでは把握しきれない詳細かつ具体的な情報、例えば現地の肌感覚も含めた情報は普通の観測機器では得られないものであり、気象の予測をする上でサポーターからの情報はかなり重要なポジションを占めているのが実態である。

そうなると、中には「嘘の情報を送ってくる不埒な一般人も居るのではないか?」という疑問を持たれる方も居るかもしれない。実はサポーターの皆さんは有料会員であり、ウェザーニューズ社にわざわざ会費を払って参加している人たちなのである。気象については人一倍意識の高い民間人たちなのだ。虚偽のリポートを送る動機などそもそも無いし、仮に嘘の情報を送ったとしても、そんなものはすぐにバレるのであり、ナンセンスであることを理解している人々なのだ。


話を戻す。

番組で、山岸愛梨氏が登場してからはウェザーニューズの活動などを紹介していったのだが、その途中で日テレ news every. で長年に渡って天気予報を担当している木原実氏が上述のウェザーリポートについて次のような発言をした。



木原実氏


木原氏は自身も
「視聴者からのウェザーリポートを時々覗いて参考にしている」
とのことで、
「レーダー観測では本当に地面に雨が降っているかどうかはわからない」
「雨雲を電波で捉えて降水強度に換算している。なので本当に雨が降っているかどうかは(現場を)見てみないとわからない。それを(一般の)サポーターが代わりに見てくれているのは助かる」
などと好意的な感想を述べた。

木原氏は続けて
「ただ、文章が『土砂降りだー!』という投稿だと実際に何mm降ったのかは、ちゃんと計測していないのでわからない」
「意外と民間の人って凄く過剰に表現するんですよ」
「『ゲリラ雷雨だ!』と言っても実際はそれほど強い雨じゃないケースもあるので、そこをちゃんと読み解かないとミスリードされちゃうかな、ということもある」
などと述べた。

木原氏の言葉は丁寧だが、これは一般人サポーターに対して失礼な物言いであろう。一種のマウンティングと捉えて間違いないと思う。言葉にそこはかとない悪意が感じられたからである。長年気象で飯を食ってきた専門家としてのプライド(と言うより過剰な自意識か)が民間人のリポートを下に見ているような印象…上から目線、というやつだ。この発言に筆者は「棘」を感じた。ここで木原氏は明らかに民間人を見下した感情を言葉に込めたのだと筆者は思ったのである。(*1)

この発言に対して特に山岸愛梨氏からの反論としての補足説明は無く、番組はこの直後に林修氏の「(木原氏は)ちゃんと他社を牽制することも忘れないのですね」という言葉でこの場面を締めた。


木原発言を受けての山岸愛梨氏からの補足解説が無かったのには理由がある。


山岸愛梨氏は自身のTwitterで「(昨日の放送について)私は1点めちゃくちゃ反省した点がありぜんぜん眠れませんでした。悔しい。今日の番組で補足させてくださいー」
と記している。

どういうことであろうか。

その説明は山岸愛梨氏自身がキャスターとして出演した8月25日放送のウェザーニュースLIVE(気象情報放送)の中で為された。その内容をベースに記していく。


番組を収録したスタジオは広く、他の気象予報士たちはひな壇型の座席に座っていたのだが、途中から出演した山岸氏だけは少し離れた位置に立った。そして、ここが重要なポイントだが、他の予報士たちと山岸氏の間にはコロナ対策用の大きなアクリル板が立っており、姿は見えるが声は聞き取りにくい、という状況になっていたのである。あのアクリル板は思いの外、人の声を遮断してしまうものなのだ。

山岸氏は番組放送を視聴して初めてあの時に木原氏が何を言っていたのか把握し理解したのだ。「こんなこと言われてたのか!」と衝撃を受けた、ということである。
木原氏が「ウェザーリポートを見て参考にしている」と言ったことで、あたかもウェザーリポートを高く評価しているのかと思いきや、続けて「ウェザーリポートは素人さんが報告しているので信憑性が低い」という趣旨の話になっていたので喫驚したのである。

山岸氏は正にその発言の時に、アクリル板のせいでうまく聞き取れずに内容を聞き逃していたのだ。なので、放送を視聴した山岸氏は「あー、ちょっと補足すれば良かった、と思った」そうである。

山岸氏が最も引っかかった部分は木原氏の「それほど大した雨ではないのに”土砂降りです”ってリポートされちゃうので、素人さんだからミスリードされる可能性があるので気をつけなくてはいけないんです」という部分であり、筆者が引っかかった部分と同じである。

山岸氏は「仮にスタジオでこの(木原氏の)発言をちゃんと聞き取れていたら、私は絶対(相手と)戦ったのに」と思い、「(一般人の)リポーターのみんなを地上波で守れなかった…と思ったら悔しくなった」と述べている。山岸氏は一般利用者からのウェザーリポートにはいつも感謝しており、「そんな皆さんの為に私は戦いたかったのに…なんか悔しいな」と述べ、落涙しそうなほど悔しさの感情がこみ上げる表情で率直な気持ちを吐露したのであった。



上で説明したように、ウェザーニューズの一般サポーターの人々は進んで会費を払ってでも自ら参加し、気象状況等の報告を送っているのであり、その気象に対する意識の高さは普通の市井の人々とは明らかに異なるであろう。その人達が専門家のプライドに依って見下された(馬鹿にされた)事に山岸氏は憤りを感じたのだ。

山岸愛梨氏は言う。
「やっぱり専門家の人はどうしても『定義はこうだから』とか『専門的にはこうだから』となりがちだけど、(そもそも)「誰のための天気予報か」というところは(我々は)忘れちゃいけないと思っていて、天気を見る人ってほとんどの方が気象予報士ではないですし、お天気のことを知らない方も見ていますし、そういう方が『今、雨強いです』と言ったら、『いやいや、アメダスは(それを)全然観測してないよ』…じゃなくて、やはりその方にとっての捉え方や感じ方があるんだな…という、そういう情報をちゃんと伝えることも大事だし、天気の感じ方も気温の感じ方も人それぞれあるのは当然だから、そこが一緒じゃなくてもいいわけです。伝える側はリポートしてくれた人の貴重な情報を届けなくてはいけない使命感を持っていないといけない。その意味で『素人だから駄目』ということではなくて、そのような捉え方・感じ方もあるんだ、という事を理解した上で情報を伝える事は凄く大事なことだと思う。一方通行の天気予報になってしまうのは良くないので、私達は毎日皆さんからいただくコメントやレポートなどをたくさん見て、皆さんに今必要な情報とは何か、を考えながらお届けしている。専門家になればなるほど、情報を受け取る側を想像するのが難しくなったり認識のズレが生じる事もあると思いますが、やはり私達は皆で一緒に天気予報を作っているので、ひとりひとりに合った情報、皆さんが必要とする情報を届けたいと思って毎日24時間頑張っているのです」

そして山岸氏は続けて
「もちろん(木原氏は)リポートを毎日見ている人ではないので、実態をご存知ではないと思う」と述べて、一般のサポーターのレベルや意識の持ち方を知らないが故の誤解がそこにはあった、という事を示唆しているのである。

さらに続けて
「そのような誤解を持つ人も多いと思う。だから、私は皆さん(一般サポーター)を守れなかったな、と思って悔しかったし悲しくなった」と述べている。専門家に依る一般サポーターへの見下し(マウント)に対して戦えなかった(訂正できなかった)事を山岸氏は深く後悔しているのであった。


要するに一般人が「土砂降りだー!」と報告したならば、それは日本全国各地で実際に生活している人々に依る現地の気象に対する肌感覚も含めた真摯な報告なのであって、そうした主観的な部分も大いに参考情報として評価に耐えうるものなのである。確かに一般人サポーターは木原氏のような専門家ではないので、使う言葉は一般的な口語を使ったものになるだろうが、元々気象に対して意識の高い人々であるが故に的外れな表現はしないであろう。しかも、そのリポートには情報を補強する画像やビデオ映像が付加されている場合がほとんどだ。また、市井のリポーターの報告だけでなく、ウェザーニューズが収集している各種の情報と照らし合わせて最終的に判断してゆくのであり、ミスリードされる余地は無いと言っても過言ではないだろう。
様々な情報を参考にしてウェザーニューズの気象情報は作成されていくのだが、最終的にアウトプットされる気象情報の精度の高さは既に各方面で実証済みなのである。そこを木原氏に代表される専門家たちは理解しようともせず、一般人の報告を軽んじた上で無意識的に自分自身を一種の権威と見做して上から目線の姿勢になってしまうのであろう。仏教で言うところの『増上慢』ということであり、実に残念である。木原氏には「謙虚」という言葉を思い起こしていただきたいものである。



筆者は気象予報士である山岸愛梨氏の気象情報に賭ける情熱と一般サポーターの皆さんへの信頼の高さをひしひしと感じることが出来て感動している。山岸氏には今後より一層のご活躍を期待するものである。



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(*1)
百歩譲って木原氏の言わんとすることは理解できなくはないが、それならば、あのように言うべきではなかったのは確かだ。表現方法が間違っていたと言えよう。