菅総理の所信表明演説について経済学者で大学教授の高橋洋一氏が解説しているので、その内容を中心に紹介する。
今回の所信表明演説は非常に菅氏らしい内容になっていた。この演説に対して、野党と一部マスコミはどのようにコメントして良いのか判らないのではないだろうか。
…というのは、中味が超具体的過ぎて対立軸が示しにくいからである。
「携帯電話料金の値下げ」・・・これの対立軸は「携帯電話料金の値上げ」になるが、これは言いにくい。
「不妊治療の助成」・・・これも対立軸は言いにくい。「助成なんかせずに勝手にやれ」とは言いにくい。
このようなパターンばかりである。一つ一つの項目を見ていくと反論がしにくい、ということがある。野党や一部マスコミは攻めにくいであろう。
では、マスコミはどのように攻めているかと言うと、「読み違いがあった」…こんなレベルである。(蔑笑)
読み違いくらいあるだろうに…人間だもの。(©みつを)
東京新聞の場合は菅総理の演説が全部終わる前に報道してしまった。もちろん新聞社には事前に原稿を渡してあるのが普通だ。東京新聞は演説終了する前に出してしまったのである。批判することもできず、やることがないのでフライングで報道するくらいしかなかったのであろうか。
野党も同様だ。
立憲民主党の福山哲郎幹事長などは「中身がない」と言うのだが、中身のない人に「中身がない」と言われましても…なところだ。そんなことより「質問しろ」ってことである。要するに質問できないから「中身がない」といった意味のない批判の文言しか言えないのである。なぜなら、前述のように「対立軸が示しにくい」からである。「逆のこと」が言えないのだ。「デジタル庁を作ります」に対して「作るな」とは言えないからである。
こうした具体的な話ばかりなのは菅氏らしい、と言える。具体的な話であっても、すぐにできない案件に対しては「遅い」と文句も付けられるが、もうほとんど出来ているような話ばかりなので文句も付けられないのだ。
環境問題(温室効果ガス等々)に関しては、唯一具体性が無かったと言える。それは将来の話だからである。温室効果ガスの件についてはパリ協定があって、2030年までは世界各国約束して終わっていることだ。もちろんアメリカは抜けてしまったのだが…。それで、そこから以降の話が何の取り決めもない状態にあるのだ。なので世界各国それぞれが勝手に発言しているのが現状である。ヨーロッパの方は「2050年までになくしましょう」とか、そういう話をしているところである。これも「欧州側の勝手な話としてはそうなっている」というエクスキューズ付きの話だ。この件では中国も(勝手な国なので)同じようなことを言い出している。2050年というのは随分先の話であり、そういう意味では具体性と言うよりは「気合い」の話でもある。中国は「2060年までにゼロにしましょう」と国連で発言した。それに対してトランプ大統領は(既に枠組みからは抜けているので)何も言わない。一方、日本は何も(新しい事は)言わないまま残っているのである。現状では日本は「2050年までになくしましょう」とヨーロッパと同じようなことを言っている。なので、それぞれパリ協定以降の話は色々なことを適当に言っているので、そこに合わせただけ、ということである。「具体性がない」とか言われるかもしれないが、それは世界どこでも皆同じで「具体性はない」のである。2050年の話だからだ。要は「合わせて言っている」ということだ。逆に合わせて言わないと国際会議で叩かれるかもしれないのである。それを踏まえると賢明な言い方であると言えるだろう。
上述のように、実際の所信表明演説をする前に新聞社等に先に原稿を渡しているのは、新聞社が後で記事原稿の作成をしやすいように、という配慮である。今回のような原稿の場合は「演説後解禁」と書かれていて、演説が終了した後から記事にして報道できる事になる。そうしないと新聞社の人が原稿を作れないからであり、このような慣行は多い。今の時代なら、はっきり言えば「演説後にインターネットに流せばそれで終わり」にできる筈である。デジタル化が進めばそういう形も実現できるだろうが、現状のこれは「紙の時代の名残り」と言えよう。
ついでに言うと、内閣の組閣時にも早く報道が出てしまうことがあるが、これは多くの場合、大臣に指名してもらった人物がつい嬉しくて自分でリークしてしまうケースがほとんどである。マスコミは組閣時の内閣の布陣をできるだけ早く発表したがるが、その早さにほぼ意味はない。どのみち判ることであり、少しばかり早く判ったところで何の意味もないし、正直言って「誰得?」なことである。要はマスコミの自己満足、ということだ。
これからの時代は、デジタル化が進むことで「リークからの速報/特ダネ」というマスコミ伝統の手法もなくなるのではないだろうか。
このような所信表明演説を受けて今後の国会論戦になるのだが、国会は実際にどのような情勢・状況になるのだろうか。野党にしてみれば「日本学術会議」しかやることがないので大変かもしれない。(蔑笑)
「学問の自由」で走り出してしまったので余計に大変かもしれないのだ。ちなみに学術会議のメンバーであってもなくても日本の学者にはいつでもどこでも「学問の自由」はある。厳然として「ある」。これはほとんどの人の共通する見解であろう事は間違いない。
野党は「学問の自由ガー」と喚くのだが、日本学術会議は左翼系の学者が居て、その人たちが今回「任命されなかった」事で大騒ぎしているのである。選ばれなかった彼らは共産党など左翼系の政党にとってはお抱え学者なので「任命されないと大変だ」と騒いでいるだけである。
だが、しかし。
そう騒ぐ人たちには「公務員(*1)になれないと学問の自由はないのですか?」と逆質問したら文句を言っている学者の皆さんは困ってしまうだろう。本来ならば欧米並みに「国家機関ではなく民間組織にして、公務員ではなくしておいて補助金を与えれば良い」で終わってしまう問題でもあるのだ。その程度の話を、野党とマスコミはさも大問題ででもあるかのようにギャースカピースカ騒いでいるのだが、もはや滑稽としか言いようがない。
話は戻るが、所信表明演説に際してマスコミは「字を読み間違った」とか「菅氏が6ヶ所間違った」とか色々言っているのだが、もはやこんなレベルのことしか言うことが無くなってしまったのである。(蔑笑)・・・だからそのために「先に原稿を配布してるだろ?」ということである。日本のマスコミは結局この程度・・・ということなのであった。
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(*1)
日本学術会議会員は国からのお金が出てるので公務員という立場になる。
今回の所信表明演説は非常に菅氏らしい内容になっていた。この演説に対して、野党と一部マスコミはどのようにコメントして良いのか判らないのではないだろうか。
…というのは、中味が超具体的過ぎて対立軸が示しにくいからである。
「携帯電話料金の値下げ」・・・これの対立軸は「携帯電話料金の値上げ」になるが、これは言いにくい。
「不妊治療の助成」・・・これも対立軸は言いにくい。「助成なんかせずに勝手にやれ」とは言いにくい。
このようなパターンばかりである。一つ一つの項目を見ていくと反論がしにくい、ということがある。野党や一部マスコミは攻めにくいであろう。
では、マスコミはどのように攻めているかと言うと、「読み違いがあった」…こんなレベルである。(蔑笑)
読み違いくらいあるだろうに…人間だもの。(©みつを)
東京新聞の場合は菅総理の演説が全部終わる前に報道してしまった。もちろん新聞社には事前に原稿を渡してあるのが普通だ。東京新聞は演説終了する前に出してしまったのである。批判することもできず、やることがないのでフライングで報道するくらいしかなかったのであろうか。
野党も同様だ。
立憲民主党の福山哲郎幹事長などは「中身がない」と言うのだが、中身のない人に「中身がない」と言われましても…なところだ。そんなことより「質問しろ」ってことである。要するに質問できないから「中身がない」といった意味のない批判の文言しか言えないのである。なぜなら、前述のように「対立軸が示しにくい」からである。「逆のこと」が言えないのだ。「デジタル庁を作ります」に対して「作るな」とは言えないからである。
こうした具体的な話ばかりなのは菅氏らしい、と言える。具体的な話であっても、すぐにできない案件に対しては「遅い」と文句も付けられるが、もうほとんど出来ているような話ばかりなので文句も付けられないのだ。
環境問題(温室効果ガス等々)に関しては、唯一具体性が無かったと言える。それは将来の話だからである。温室効果ガスの件についてはパリ協定があって、2030年までは世界各国約束して終わっていることだ。もちろんアメリカは抜けてしまったのだが…。それで、そこから以降の話が何の取り決めもない状態にあるのだ。なので世界各国それぞれが勝手に発言しているのが現状である。ヨーロッパの方は「2050年までになくしましょう」とか、そういう話をしているところである。これも「欧州側の勝手な話としてはそうなっている」というエクスキューズ付きの話だ。この件では中国も(勝手な国なので)同じようなことを言い出している。2050年というのは随分先の話であり、そういう意味では具体性と言うよりは「気合い」の話でもある。中国は「2060年までにゼロにしましょう」と国連で発言した。それに対してトランプ大統領は(既に枠組みからは抜けているので)何も言わない。一方、日本は何も(新しい事は)言わないまま残っているのである。現状では日本は「2050年までになくしましょう」とヨーロッパと同じようなことを言っている。なので、それぞれパリ協定以降の話は色々なことを適当に言っているので、そこに合わせただけ、ということである。「具体性がない」とか言われるかもしれないが、それは世界どこでも皆同じで「具体性はない」のである。2050年の話だからだ。要は「合わせて言っている」ということだ。逆に合わせて言わないと国際会議で叩かれるかもしれないのである。それを踏まえると賢明な言い方であると言えるだろう。
上述のように、実際の所信表明演説をする前に新聞社等に先に原稿を渡しているのは、新聞社が後で記事原稿の作成をしやすいように、という配慮である。今回のような原稿の場合は「演説後解禁」と書かれていて、演説が終了した後から記事にして報道できる事になる。そうしないと新聞社の人が原稿を作れないからであり、このような慣行は多い。今の時代なら、はっきり言えば「演説後にインターネットに流せばそれで終わり」にできる筈である。デジタル化が進めばそういう形も実現できるだろうが、現状のこれは「紙の時代の名残り」と言えよう。
ついでに言うと、内閣の組閣時にも早く報道が出てしまうことがあるが、これは多くの場合、大臣に指名してもらった人物がつい嬉しくて自分でリークしてしまうケースがほとんどである。マスコミは組閣時の内閣の布陣をできるだけ早く発表したがるが、その早さにほぼ意味はない。どのみち判ることであり、少しばかり早く判ったところで何の意味もないし、正直言って「誰得?」なことである。要はマスコミの自己満足、ということだ。
これからの時代は、デジタル化が進むことで「リークからの速報/特ダネ」というマスコミ伝統の手法もなくなるのではないだろうか。
このような所信表明演説を受けて今後の国会論戦になるのだが、国会は実際にどのような情勢・状況になるのだろうか。野党にしてみれば「日本学術会議」しかやることがないので大変かもしれない。(蔑笑)
「学問の自由」で走り出してしまったので余計に大変かもしれないのだ。ちなみに学術会議のメンバーであってもなくても日本の学者にはいつでもどこでも「学問の自由」はある。厳然として「ある」。これはほとんどの人の共通する見解であろう事は間違いない。
野党は「学問の自由ガー」と喚くのだが、日本学術会議は左翼系の学者が居て、その人たちが今回「任命されなかった」事で大騒ぎしているのである。選ばれなかった彼らは共産党など左翼系の政党にとってはお抱え学者なので「任命されないと大変だ」と騒いでいるだけである。
だが、しかし。
そう騒ぐ人たちには「公務員(*1)になれないと学問の自由はないのですか?」と逆質問したら文句を言っている学者の皆さんは困ってしまうだろう。本来ならば欧米並みに「国家機関ではなく民間組織にして、公務員ではなくしておいて補助金を与えれば良い」で終わってしまう問題でもあるのだ。その程度の話を、野党とマスコミはさも大問題ででもあるかのようにギャースカピースカ騒いでいるのだが、もはや滑稽としか言いようがない。
話は戻るが、所信表明演説に際してマスコミは「字を読み間違った」とか「菅氏が6ヶ所間違った」とか色々言っているのだが、もはやこんなレベルのことしか言うことが無くなってしまったのである。(蔑笑)・・・だからそのために「先に原稿を配布してるだろ?」ということである。日本のマスコミは結局この程度・・・ということなのであった。
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(*1)
日本学術会議会員は国からのお金が出てるので公務員という立場になる。