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Altered Notes

Something New.

アイドルが「普通の青春も楽しみたい」という図々しさ

2025-03-27 12:34:56 | 芸能

坂道グループなどのアイドルや若い役者・タレント界隈から時おり聞こえてくる「本音の吐露」とでも言うべき言葉がある。

「普通の青春が送れない」

「普通の恋愛ができない」

「一般の学生が楽しんでいるような生活が出来ない」

・・・等々という不平不満である。

だが、これらの不満は「図々しい」と言わざるを得ない。以前、別の記事でも書いた事だが、アイドルを含めた芸能人はそもそも一般庶民とは比較にならないほど恵まれた環境に置かれており、数々の特権を有し、普通の人々では考えられない高給を取り、一般人とは隔絶された上級世界の住人である。もちろん、その世界には厳しさもある(一般の世界だって厳しい)が、しかし一般庶民には手の届かないリッチで全てが優遇され恵まれた世界が確約されているのである。

例えば、坂道グループのメンバーは、そもそも眩しいほどのスポットライトを浴びてスターとしての羨望を受ける立場だ。これは一般人には逆立ちしても無理な世界である。その上、坂道アイドルはしばしば「この間の休暇に海外旅行に行ってきた」「1日だけ休みが取れたから海外に弾丸旅行に行ってきた」などと当たり前のように話すのだが、海外旅行など、一般の社会人にはそう簡単に実現できないものだ。芸能人は自分たちが置かれている境遇がいかに恵まれていて、経済的にも一般人とは次元が違う潤いがあるからそれが実現できるのだ、という相対的なポジションの格差について自覚が無いのであろう。平易に言い換えれば、一般の人にはお金も時間も無いのであり、ちょっと休みができたから海外に気軽に飛んでいけるような芸当は不可能なのだ。それが若年層の芸能人には意識もできないし理解もできてないのである。

「上級国民」という言葉が近年使われ始めているが、その意味で言えば、芸能人は一種の「上級国民」に該当すると言えよう。一般人には手の届かないリッチで豊かな暮らしと楽しみを享受することが当たり前…な生活・人生が芸能人には与えられ、そうして醸成された価値観が芸能人の無意識に定着しているのだ。一般国民とは異なる別世界である。

その一方で・・・

上述したように、「私たちは(芸能人故に)普通の学校生活が送れない」と宣う。芸能人故に一般的な生活や普通の友人関係はなかなか構築できないのが普通かもしれない。なぜなら芸能人であり、一般人とは別世界の人間だからだ。ところが、アイドルは一般人の人生に於いて得られるささやかな楽しみすら「私たちもそれを得たい」と言うのである。

平易に言い換えれば、「芸能人のメリットも寄越せ。一般人の楽しみも寄越せ」と言っているのである。(もちろん全ての芸能人・アイドルがこの姿勢を持っている訳ではないが)

ここが「気持ちは分かる」としながらも「ちょっと違うのではないか」と手放しで賛同できかねるモヤモヤ感が払拭できないところなのである。

どうしてそうなるのか?

アイドル等の芸能人とファンを含む一般人との関係は

 

モラルエコノミー(経済道徳論)

 

の考え方で把握するのが正しい捉え方であると言えよう。芸能人は選ばれた立場であるが故に一般人よりもはるかに上級なポジションに鎮座しており、一種の特権的な存在と言える。

モラルエコノミーに於いては

「特権というものはそれを持たない人への義務に依って釣り合いが保たれるべきである」

…と解釈されるものである。

すなわち、「芸能人は社会の規範となるように振る舞うべき存在」、つまり「社会的責任を負う立場である」、ということだ。ここで言っている「社会の規範」とは「社会一般の常識的な規範」は当然だが、それに加えて、「自分たちのファンの心を傷つけたりしない」、「夢を壊さない振る舞い」なども含まれるのである。

タレント・アイドルといった職掌を持つ人々は「社会に於いて人気者として君臨しており、世間一般の好感度によって支えられている」のが実態である。こうした人々は「社会の規範に対してこれを強く遵守することでその存在をより純化するような役割」がある。これがモラルエコノミーの考え方なのである。

一般的にありがちな一例として、「アイドルの恋愛が発覚した」等の事態で問題発生となるのは、単純に「倫理や道徳の問題」というよりも「モラルエコノミーの問題」として捉えた方がより正確と言えるだろう。ここをきちんと踏まえないから「アイドルにも恋愛する人権はある」などという的外れな議論が湧き出てくるのだ。

このように

「アイドル・芸能人という一般人よりもはるかに上級なポジションに位置しつつ特権を振りかざす人間が高いレベルの社会規範遵守を求められる」

という考え方は

「ノブレス・オブリージュ」

というフランス語でも既に説明されている。「ノブレス・オブリージュ」とは「高貴なる義務」である。

歴史的事実として、昔の欧州で戦争に参加するのは貴族の子弟だけだった。平民は後方支援することはあっても戦争自体に参加することはなかった。

なぜか。

上位の地位にある者は、より血を流し苦労する責務が求められたからだ。それは前述のように特権を持つ者がそれを持たない人たちへの義務によってバランスが保たれるからである。
アイドル・芸能人には特に高いモラルが求められる理由はここにあるのだ。

この観点から、アイドルの世界で暗黙のルールとして有名な「恋愛禁止」も前述の「高貴なる義務」として捉えることができるのだし、「(一般人として)普通の青春を楽しみたい」という欲望がいかに「的外れ」であるかも理解できるだろう。「芸能人の特権も得たいし、一般人の楽しみも得たい。どっちも欲しい」・・・それはいささか「図々しい」と言わざるを得ないだろう。

上述したように一般人の中には「アイドルにも人権はある。だから恋愛も自由だ」と主張して止まない人々も居る。しかし実際には「アイドルに人権は無い」と言い切れる。(*1)

アイドルはポピュリズム・人気によって支えられている職業なのだから、「高いレベルで社会の規範を遵守し、かつ顧客たるファン層が抱くイメージを保つ事が強く求められる」・・・そういうことなのである。

坂道グループでアイドルを務めるメンバー達は若年層であり、なかなか上述したような概念は理解しにくいかもしれないが、それでも理解させる努力をするのは運営会社の責務の一つと言えよう。

 

 

 

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(*1)

もちろん「法律的な人権」とは別の話である。

 

 

 

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「普通」とは・・・

2024-12-12 12:50:00 | 芸能

乃木坂46の5期生の誰かが、5期生メンバーのキャラクターを評して次のように語っていた事がある。

「5期生は普通じゃないです。みんな変なところがある」

これを聞いた番組MCの設楽統氏はこう返した。

「そうだよな、”変”て言うか、”クレイジーだよな」

 

人の人間性について、「変」とか「クレイジー」というのは一種の個性の評価であり、ついで言うと芸術界やパフォーマンスの世界では褒め言葉でもある。もちろん、本来的な意味のクレイジー(マジの狂気)ではないことは言うまでもない。逆に「普通」って何だ?、と思うところである。

人の個性というのは他人から見て「個性」「キャラクター」と認識される時には、ある種の「狂気」とまでは言わないが、風変わりな性質を持っている時に「個性」として認識されて「あの人は個性的だね」などという評価になる、ような気がしている。池田瑛紗などはその代表格の一人だろう。一ノ瀬美空も、菅原咲月も、その他のメンバーもだ。

テレパン(池田)の場合、乃木坂(アイドル)という職掌を持ち、その仕事を全うしながら、同時に東京芸大を受けて合格する、というのは「普通」から大きく外れたものがあり、ほとんど「クレイジー」な領域に近い才能を持っていると言えよう。まさに「天才とキ○ガ○は紙一重」なのである。この偉業については、東京MXの番組でもアートディレクターの中谷日出氏が「(芸大受験は)本っ当に大変だったろうと思う」と真面目に労っていたのが印象的だった。だが、だが、テレパンの凄さは、その「大変さ」を一切外に見せないところにもある。もちろん、芸大合格だけなら「超が付くほどの努力の結果」となるだろうが、池田さんの凄いところは、普段のパフォーマンスや自身のキャラクターのあり方などにも「普通じゃない」面白さ、または「時に狂気じみた凄さ」、が垣間見えるのだ。そうした強烈な個性があるから、だから彼女は高く評価されるのである。

一例としてテレパンを挙げたが、もちろん他の5期生も負けず劣らず個性的であり、見ていて飽きないキャラクターを身に付けている、または生まれながらに持っている。

 

逆に、だ。

そうした「個性」の無い「THE」が付くような「普通」の子が居たら、これは「全然面白くないだろうな」と推測できる。「真面目だけど不通」「誠実だけど普通」「常識的で普通」「言動・行動が普通」・・・これはこれで立派かもしれないが、アイドルとして「人前で何かする人」としては若干「?」が付く、かもしれない。

社会の中で生きていくためには「普通」であることは大切だが、その人の生き様、個性としては「普通」であることは「面白くない」「つまらない」「退屈」として受け取られてしまいかねない。

現在、「面白い個性を持つ」「普通じゃない」若しくは「クレイジー」と認識される子たちは、外から見ているよりももっと「凄いものを内に持っている」のであろう、と推察するところである。だから注目されているのであり、引き合いがあるのだ。

 

 

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夢の国の踊り手たち

2024-02-18 11:20:00 | 芸能

最近、「夢の国」ことTDLやTDSのダンサーが話題になっている。しかも特定のショーステージに出演するダンサーさんのみ、と言ってもいいくらいピンポイントのようだ。

TDLの入口から入ってワールドバザールを抜けて左折して進むと、間もなくアドベンチャーランドに入る。すぐに見えてくるのが今で言う「シアターオーリンズ」というショーステージの会場だ。昔(2000年まで)は「アドベンチャーランドステージ」と呼ばれた所である。ここで開催されているショーは2024年2月現在で「ジャンボリミッキー!」だ。

この「ジャンボリミッキー!」に出演する男女各一人ずつのダンサーが人気のようである。元々のターゲットは幼い子どもたちだが、実際に集っている多くはダンサー目当ての大人が多いようだ。お母さん世代はお兄さんダンサー目当て、お父さん世代はお姉さんダンサー目当て、という具合である。最近だと特に 林祐衣さん という女性ダンサーがSNS上で話題になっているようだ。TDLのダンサーは本来全員が名前を出さない扱い(主役はミッキー等のキャラクターだから)であり、ここまでダンサーの名前が一般に知れ渡る現象はまさにネット社会故なのであろう。

筆者がTDLに行っていたのは30年以上前で、まだTDSが無かった時代(インターネットも無かった。せいぜいパソコン通信(*1)くらいで、携帯電話が普及し始めた頃)だが、それ以来はご無沙汰である。(*1a) だが、ダンサーのTDL内での扱いやシステムについては基本的には変わっていないであろうという前提で記してゆく。なお、当時から「ダンサーオタク」なゲスト(客)たちは一定数居た。結局魅力的な人(ダンサー)は多くの人々を引き寄せる力がある、ということであり、これは人間の本能的な機能故であろう。(*2)

当時も今の林祐衣さんのようにダンサーオタク界隈では顔も名前もよく知られたダンサーさんは複数居た。だが、当時は今のようなインターネットが無かったので、その情報が社会に広く知られる機会が無かったのである。

30年前、今のシアターオーリンズはアドベンチャーランドステージと呼ばれており、上演されていたショーは「アドベンチャーランドレビュー」である。ダンサーの人数も多かった。この「~レビュー」の時代は長かった。筆者が見ていた期間は、「レビュー」に始まり、それが終了した後に上演された「セバスチャンのカリビアンカーニバル」迄である。

現在ではショーステージを鑑賞するにもスマホでいちいち予約を取らねばならず、しかもTDL側が座席を指定してしまうので自分が陣取りたい希望の場所が取れる訳ではない。しかし、「~レビュー」の当時は客席に関する規定はあまり無く、見たい人は開園時刻前に会場へ行って、開場したら客席に入って好きな場所に座る、というそれだけだったのである。なので、ビデオや写真を撮影したい人々は概ね好きな場所に陣取ることができたのだ。撮影となると、どうしても「この場所から撮りたい」「このアングルから撮りたい」、という希望が出てくるのは当然のことである。ダンサー中心に撮りたい人は最前列で撮影し、ショー全体を撮影したい場合は最後列の一段高い場所に腰掛けて撮る、という具合だった。

昔は年間パスポートも今ほど高価ではなかったので、頻繁に「インパーク」、つまりTDLに行く(入る)人は皆、年パスを持っており、それで足繁くショーステージに通ったものである。だいたいダンサーオタクな人は、いわゆるアトラクション等への関心は低く、パーク内にあるいくつかのショーステージやパレード(昼のデイパレード(Dパレ)と夜のEパレ)を連続的に鑑賞し、それで満足して帰途につく…概ねそんな感じだったのではなかろうか。

余談だが、筆者は音楽に関心が強いので、パークのショーを鑑賞して最初に感心したのは音楽のレベルの高さである。例えば、ショーベース2000(トゥモローランド)で上演されていた「ワンマンズドリーム」のオーケストラのアレンジやサウンドは、どこか日本人離れした洗練さが感じられ、最初に聴いた時には感激したものだ。調べてみると、当時のTDLの音楽監督は 新井”チャンピオン”英治氏(チャンピオンはニックネーム) である。彼はジャズのトロンボーン奏者で作曲・編曲もこなす。スタジオミュージシャンとしても有名な人である。それでTDLのショー音楽のレベルの高さに納得がいったものである。

ダンサーの話に戻る。

そもそもTDLダンサーと言ってもカテゴリーがある。現在はどうか知らないが、30年ほど前は最も上位に位置するダンサーはSED(エス・イー・ディー)と呼ばれていた。Special Event Dancer(スペシャル・イベント・ダンサー)」という位置づけである。白雪姫やシンデレラ等を演じる外国人ダンサーもこれに含まれる。それに加えて特にパフォーマンスに優れた日本人ダンサーが数名居た。中央の円形部分をプラザと呼ぶが、そこから東側(キャッスルに向かって左)にちょこっと入った場所に小さなステージがあり、毎晩20時過ぎにジャズのビッグバンド演奏(スイングジャズ)とダンサーの舞踊が鑑賞できたのだが、ここで踊るダンサーがSEDの日本人メンバーだった。ちなみにこのショーの開始時刻はパーク名物であるライトショー(当時は「スターライトファンタジー」)+花火(20:30開始)が終了した直後であり、花火が終わったな、と思った瞬間に指揮者がカウントを出してベニー・グッドマンの名曲「レッツダンス」がスタートする…という塩梅であった。

SEDはもう一つ担当部署がある。上述のショーベース2000で上演されていた「ワンマンズ・ドリーム」である。ここでも多数のダンサーが出演するが、メインで登場するのがSEDであった。もちろんパレードにも出演する。

ショーステージはいくつかあり、上述のウェスタンランドのステージ以外にもファンタジーランドステージでは「イッツ・ア・ミュージカル・ワールド」という各国のミュージカルやダンスを集めてお見せするエンターテインメントがあったし、ウェスタンランドにはビッグサンダーマウンテンの横でマークトウェイン号が浮かぶ大きな川のそばでもあった場所にラッキーナゲットカフェというウェスタン風のカフェがあり、そこのステージでは「ラッキーナゲット・ホーダウン」だったと思うが、西部劇的なモチーフをベースにしたダンスショーが上演されていたように記憶している。また、アドベンチャーランドに近い場所には「ダイヤモンドホースシューレビュー」というアメリカ西部の昔を感じさせるショーもあった。このステージ会場では確か飲食もできたと記憶している。建屋自体が昔の西部劇に出てくるようなデザインだった。このステージで昼間にやっていたショーは名称は忘れたが、ボードビリアンのような専任の人がメインのコメディ的なショーであった。ダンサーも出ていたと思う。

この他にもクリスマス等の季節や節目の時(年に2~3回ほど)に、シンデレラ城前に特設ステージを組んで行う大規模なショー(「キャッスル・ショー」と呼ばれていた)があり、そこにSEDをはじめ、多数のダンサーが出演していた。

各ショーステージに出演するダンサーはDパレ(デイパレード / 昼のパレード)にも出演する。これらのシフトは様々で、ステージに出演しているその日のパレード兼任の場合もあれば、パレードに出演する日はステージは休みとなるなど、各種のシフトが存在する。だから、ショーステージで馴染みになったダンサーをパレードの中に発見する場合も多々あるのである。

ディズニーダンサーのヒエラルキーで最も下に位置するのがパレードにのみ出演するパレードダンサーである。これは特定のショーステージ等には出演せず、パレードのみを担当する。

また、ステージ以外でもパーク内の色々な場所に突如出現してゲスト(客)と同じ場所でパフォーマンスするグループもいくつかあった。大体は吹奏楽のバンド+ダンサーの組み合わせであり、ウェスタンランド、トゥモローランドなどでよく見られた。ダンサーが伴わない「サックス5」というビッグバンドのサックスセクションだけ抜き出してきたような5人組のグループもあった。ファンタジーランドでは贅沢なことに日本ジャズ界の至宝である外山喜雄氏のディキシーランドセインツが演奏(TDLでの名称はパーリーバンド)していた。外山喜雄氏は日本のサッチモ(ルイ・アームストロング)とも呼ばれる有名なトランペット奏者でありヴォーカリスト(サッチモそっくりに歌える)でもある。


一般にTDLで踊っていたダンサー達はオリエンタルランドのエンターテインメント部所属だが、大元は東宝芸能(株)のようであった。東宝芸能から派遣で来ていたようなイメージだろうか。東宝芸能からは多摩市にあるサンリオピューロランドにもダンサーを出しているので、TDLを辞めたダンサーが、その後ピューロランドのショーやパレードで踊っていた、などということもある。ピューロランドのパレードを見ていて、「なんか見覚えのあるダンサーだな」と思ったら、元TDLに居たダンサーで、お互い(筆者とダンサー)に「え?あれ?あーっ!」という表情になったこともあった。

TDLのショーに出演するダンサーはTDLでは無名の存在として登場する。主役はミッキー等のキャラクター達だからであろうし、そういう契約になっているものと思われる。現在「ジャンボリミッキー!」で人気の林祐衣さんも自己の経歴を紹介する際にはTDLの仕事(「ジャンボリミッキー!」等)は一切言わないし記していない。(*3)

また、これは若干センシティブな内容になるが、30年前の当時、TDLダンサーは一般的なダンサーに比較してダンサーとしての評価があまり高くなかったので、その意味でもTDLダンサーであることを積極的に言わないダンサーが多かったのも事実である。これはもちろん総合的に見た時の平均しての話であり、中には高い技術とセンスを持つ優れたダンサーも居た。「ジャンボリミッキー!」の林祐衣さんも高く評価される1人であろう。林さんばかり名前を挙げているが、「ジャンボリミッキー!」を担当するダンサーは数名おり、ローテーションでシフトが組まれている。林さんだけでなく、他のダンサーさんも技術が高い人が多いようだ。いわゆる「キレッキレ」のダンス(*4)が出来て、素人目にも「上手い」「凄い」と感じさせる人、である。

TDLダンサーは無名で出演、と書いたが、名前が判ればオリエンタルランドのエンターテインメント部経由で手紙や物品(ビデオテープ等)の送付はできるようになっていた。少なくとも初期の頃(30年前)はそうだった。このあたりが現在はどうなっているかは筆者は把握していない。(当時のエンターテインメント部の担当者さんには大変お世話になった。改めて感謝・御礼申し上げたい)

また、上述のジャズのビッグバンドも同じ東宝芸能所属だと推測される。パークのビッグバンドで演奏していたプレイヤーが日比谷の宝塚劇場(東宝直営)の専属オーケストラの中で演奏しているのを発見したこともある。


ダンサー達もまた休日にはゲストとしてインパークする場合も多い。だから、パーク内でゲスト同士として鉢合わせする事もある。私服でくつろぐダンサー側の気分と時間が許せばお茶しながらの会話などという事も不可能ではない。普段はステージ上の存在であるダンサーから色々な話が聞けるのも楽しいレア体験になるであろう。



ダンサーのことばかり書いているが、ディズニーのキャラクターファンも少なからず居た。例えば、知り合いにグーフィーの熱烈なファンという女性が居たのだが、グーフィーを担当するエンターテイナー(グーフィーの衣装・被り物を着用してグーフィーらしく振る舞うパフォーマー)は数名(いずれも長身だった)居て、グーフィーとしての動き方を見るだけで「誰が着ぐるみの中に入っているかが分かった」、というから凄いものである。同じキャラクターの同じ動きを演じても、そこに個性が出てしまうのであり、それが見分けられるのは凄いことだ。
もっと面白いのは、キャラクター担当のエンターテイナーは普段の生活で外を歩いている時には当然素顔で歩いているので、その人がキャラクター担当であることはバレる筈はない。だがしかし、普通に外を歩行している時やバスに乗っている時など、日常のちょっとした振る舞い一つで、その人がキャラクター・パフォーマーであり、何のキャラクター担当なのかまで分かるそうだ。例えば、ミッキーマウスを担当するエンターテイナーは日常生活の中でも、ちょっと驚くようなことや嬉しいことがあった場合、パーの形にした手を口に当てて、まるでミッキーが「ハハッ」とおどけるような動きを(つい)してしまうのである。これは無意識に出てしまう動きであり、それだけその人がミッキーになりきって頑張っている演じている証左と言えよう。このような具合に各キャラクター毎の個性的な動きというものがあるので、そのアクションを見るだけで分かる人には分かる、ということらしい。



・・・等々、思いつくままに記してきた。ダンサーの雇用やシフトに関するシステムやルールが現在も同じかどうかは不明だが、ミッキー等のキャラクターだけでなく、ダンサーに注目してショーを鑑賞するのもTDL・TDSの楽しみ方の一つと言えよう。あのパークには色々な切り口・視点で楽しむ方法があるのだ。




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(*1)
特定の会社のサーバーに固定電話回線を利用して接続することで各種の情報を得たり、会員同士のコミュニケーションがはかれるクローズドなサービスである。ニフティサーブなどが有名だった。インターネットの規模とは雲泥の差がある。ちなみにWindows95を発売した時のマイクロソフトもMSN(マイクロソフトネットワーク)というパソコン通信をやっていた。ビル・ゲイツがインターネットの重要性に気づくのはもう少し後の話である。

(*1a)
余談だが、TDL5周年時代の年間パスポートの価格は25,000円だった。翌6周年でも27,000円である。

(*2)
かつて「会いに行けるアイドル」として売り出したAKB48(2005年~)だが、TDLのダンサーはそれよりもずっと早くから「会いに行けるアイドル」だったのである。

(*3)
林祐衣さんは2024年4月から鹿児島の女子ソフトボールチームであるMORI ALL WAVE KANOYA のスペシャルサポーターに就任する、と本人が発表しており、4月7日からスタートするTV番組でもメインダンサーとして出演するそうである。そう考えると、TDL「ジャンボリ~」の出演は3月迄、ということになるのかもしれない。これは筆者の推察だが、およそ真剣に舞踊を目指す人なら終着点はディズニーではないだろう。TDLのステージに出演していたのは一時的なものだったのであろう、と思われる。
また、本当に3月で「ジャンボリ~」出演が終了なら、最終日にはダンサー仲間が大勢ショーを見に来る(客席にやってくる)筈である。それもまた一つの目安となるだろう。

(*4)
「キレッキレ」だけでも実は良くないのだ。それに加えて表現としてのしなやかさ等々の美的要素が無いとダンサーとして「上手い」とはならない。正直な話、「キレッキレ」だけのダンサーの踊りは見ていて痛々しい印象があった。




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<2024年8月16日:追記>

林祐衣さんは2024年度も「ジャンボリ~」に出演し続けているようである。東京と鹿児島の頻繁な往復で大変であろうが、頑張って頂きたいものである。

 

 


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