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今井絵理子議員の不倫疑惑 問題の核心

2017-07-28 16:20:13 | 社会・政治
今井絵理子参議院議員が橋本健神戸市議との不倫疑惑で世間を騒がしている。

今井氏は「男女の一線を超えていないから不倫ではない」と説明するのだが、これは的はずれな説明であり実はそういう問題ではないのである。

政治家に求められるモラルは一般人のそれとは異なってレベルが非常に高いのだ。
なので、疑惑が持たれた段階で既に資格的にアウトである。(*1)

なぜか。

モラルエコノミー(経済道徳論)という考え方がある。
特権というのはそれを持たない人への義務に依って釣り合いが保たれるべきである、という考え方であり、政治家や有名人などが社会の規範となるように振る舞うべきであるという社会的責任に関しても用いられる。

政治家の金遣いやアイドルの恋愛などでしばしば問題が起きて追求されるのは、単純に倫理や道徳の問題というよりもモラルエコノミーの問題として捉えた方が正確と言える。

政治家もタレント・アイドルもある種の「人気者」である。
社会に人気者として君臨し、世間の好感度に依って支えられているような人々というのは社会の規範に対してこれを強く遵守することでそれをより純化するような役割があるのだ。これがモラルエコノミーの考え方である。
アイドルならそのまま人気それ自体に依拠している訳だし、政治家も投票というある種の人気に依拠しているので同じである。

今井議員が現在の騒動において針のむしろ状態をもしも不服に思うようならそれは違うと言わざるをえない。モラルエコノミー、つまり権力を持っているのだからその分、一般人よりも重い責務を負うのは当たり前だ、というバランスの問題なのである。

この「権力者が高いレベルの社会規範遵守を求められる」という考え方はノブレス・オブリージュというフランス語でも説明できる。

ノブレス・オブリージュとは「高貴なる義務」である。

昔、戦争に参加するのは貴族の子弟だけだった。平民は後方支援することはあっても戦争に参加することはなかった。

なぜか。

上位の地位にある者は、より血を流し苦労する責務が求められたからだ。
それは前述のように特権を持つ者がそれを持たない人たちへの義務によってバランスが保たれるからである。

政治家には特に高いモラルが求められる理由はこういうことなのである。

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ついでに言うなら、アイドルの世界でよく話題になる「恋愛禁止」も同様だ。一部では「アイドルにも人権はある。だから恋愛も自由だ」と主張されることもある。
しかし「アイドルに人権は無い」と言って過言ではない。アイドルはポピュリズム、人気に依って支えられている職業なのだから、高いレベルで社会の規範を遵守し、顧客たるファン層が抱くイメージを保つ事が求められるのである。

余談だが、これが表現者・芸術家等の立場になると話が変わってくる。
表現者・芸術家(クリエーター)は社会規範を遵守するというよりは、むしろ規範を拡張したり否定したりする立場になる。
歴史上、モラルの質や内容が変革されてきた時というのは往々にして表現者(クリエーター)たちが既成の価値観・モラルを拡張し、或いは全否定する事で変わってゆくのである。

アイドルはクリエーターではない。大衆からの人気によって存在する立場である。従ってアイドルは「恋愛禁止」で当然、という結論になる。まして「結婚宣言」(須藤凛々花@NMB48)などもってのほかであろう。





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(*1)
「李下に冠を正さず」ということわざが表すところである。