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「中国人民銀総裁、西側諸国を非難」を嗤う

2023-04-27 23:03:23 | 国際
2023年4月14日に、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁が、西側諸国が同盟国との貿易を増加させる一方で中国への依存度を低下させようとする事を非難した。また、こうした同盟国・友好国で完結させる「フレンドショアリング」が世界のサプライチェーン(供給網)の緊張緩和を壊す恐れがある、などと述べている。下記記事を参照されたい。

『中国人民銀総裁、西側諸国の「フレンドショアリング」を非難』


これはつまりどういうことなのか、について数量政策学者の高橋洋一氏の解説を基調に書いていきたい。



通常、その国の中央銀行と言えば、財務大臣と双璧を成す中央銀行総裁会議というものがある。中央銀行の総裁と言えば結構偉い立場であり、普通は「立派な仕事をしている」とされている。

なぜ偉いのか?
その理論的背景は?

誰もが知っている有名な言葉の一つに「ジレンマ」というのがある。これは「二律背反」を意味するものであり、「2つの両方を同時に選択することができない」事を意味している。

では、これが3つになったらどうか?

それが「トリレンマ」である。つまり「3つの全部を同時に選択することができない」という意味であり原理である。

実は国際金融に「トリレンマ」があるのだ。これは世界のどこの国でも成り立つ話である。国際金融に於けるトリレンマの3つの事項について説明したい。



(図は高橋洋一氏に依る)


・トリレンマの3つの事項

1.自由な資本異動
2.固定相場制
3.独立した金融政策




この3つが全部選ぶことができればベストと言えるのだが、理論的に全部を同時に選べないのは判明しているのである。最大で2つしか選べないのだ。

西側諸国はどのように選んでいるのだろうか。

「自由な資本異動(資本取引を自由にする)」というのは絶必ず選ぶ事項である。これは先進国の条件と言える。

「金融政策も独立してしっかりやりましょう」、つまり「雇用をちゃんと守りましょう」という事だが、ここも選択される事項だ。

そうなると、諦めざるを得ないのは「固定相場制」ということになる。日本を含め、先進諸国はみんな変動相場制となっているのはご存知の通りだ。


1.の「自由な資本移動」というのは先進国の証でもある。これをストップしたら共産主義と言われることになる。共産主義に於いては「生産手段の国有」は大前提となる。

生産手段とは何であろうか。それは企業とか土地である。資本提供を許すということは企業で外資をある程度入れることである。土地の取引で外資もある程度は入ってこられる、ということ。もちろん、重要施設や軍事施設の周囲だとか、企業でも社会インフラは駄目なのだが、一般の普通の商売の企業は100%外資が買えるのだし、普通の土地も買える。これは「資本移動の自由化」なのである。

ところが、それを諦めるとなると、「あなた共産主義ですか?」ということになるので、そこは諦める訳にはいかないのである。


3.の「独立した金融政策」も非常に重要だ。雇用を守るのがこれであるから独立した金融政策を確保するのであって非常に重要なのである。



そうなると2.の「固定相場制」はもう「しょうがない」と割り切るしかないのだ。これはどんな国でも選ぶことは出来ないのだが、それでは中国は何を選んでいるのだろうか?

まず最初に「自由な資本移動」…これは選ばないのである。

そうなると「固定相場制」と「独立した金融政策」を選択するのが普通なのだが、固定した金融政策と固定相場制を選ぶのである。

中国はペッグと言って変動相場制ではない。自由自在に相場を決めているのだ。そういう意味で「固定相場制」と言える。

本当は「独立した金融政策」を選べばいいのだが、中国の中の組織としては共産党が一番偉い訳で、習近平体制になった時に、実は本来政府の組織だったものを全て共産党の下に持ってきてしまったのである。

先日、習近平体制の三期目がスタートしたが、この時に共産党の管理下に持ってきたのである。その中に中央銀行(人民銀行)も入っていたのだ。従って、中央銀行と言ったところで完全に「共産党の中の部局」と化しているのが実態である。つまり、自由もクソもないのだ。

中国は要するに3つの内、2つ選べるのだが、「固定相場制」だけを選んでいるのだ・・・ということになる。世界的にも珍しい国なのである。

そうなると中国共産党の一部局に過ぎない中央銀行総裁は、何かやることなどあるのだろうか?、と他人事ながら心配になる。(笑)

要するに「独立した金融政策」があるから、だから中央銀行総裁の地位が重要になるのだが、中国の総裁にはやることがない、ほんとに何もない。固定相場制を管理することを言わさせてるだけなのである。(哀笑)


中央銀行総裁なのにやることが無い…となるとどうしたものだろうか。外国での会議に参加した時にかなり格好悪いのである。なぜなら、他の諸国はみんな「独立した金融政策」を任されており、自分で授権されていて色々な手段を取る事ができるのだし、それを喋ることができる。だが、中国の中央銀行総裁は何もないのである。ぺーぺーの小役人がのこのこ出てきているレベルなのだ。

中国の中央銀行総裁は偉そうな態度で喋るのだが、「でも、あんた何の権限があるの?」と聞いても「共産党の下の役人です」としか言えないのである。(蔑笑)


それで思いついたのだろうか、「そうだ、フレンドショアリングを貶してやれ!」ということになったようである。


「フレンドショアリング」(*1)というのは、中国を色々なサプライチェーンから排除する事であり、「フレンドじゃないから排除する」、という意味である。これの最初に言い出したのがアメリカのジャネット・イエレン(アメリカの財務長官)氏である。


なので、中国の人民銀行総裁としては、いわば中国の木っ端役人にしか過ぎないが、「フレンドショアリング」に反論するのはなんか調子良くて気持ち良いから喋っているようなものであり、実質的な意味は全然ない。(笑)

要するに、そもそも中央銀行が喋る話ではないのだ。ぜーんぜん関係ない。関係ない上に権限も与えられていないから喋ることも無い

それでジャネット・イエレンが言った話を腐すだけの役割で来た、というのが実態なのである。その程度でしかないのだ。(蔑笑)



そして・・・



この中国人民銀行総裁発言をまた凄い発言のように取り上げるマスコミ・・・マスコミも無知で実情・実態が全く把握できていないし理解していない。ぜーんぜん判ってないのだ。

中国の人民銀行総裁など、中国共産党の中の一部局に過ぎず、一般的な先進国の中央銀行の総裁とは格が違うのだ。遥かに格下なのである。

総裁といったところで木っ端役人でしかない人物が来ているだけであり、何の権限も与えられていない…それだったら「ジャネット・イエレンが言った話を腐すのをお前は今回やってこい」、と共産党に言われて喋っているだけなのである。これが真の実態だ。


格下である中国の人民銀行総裁があれこれ言ったところで、他の先進諸国の総裁たちも無表情に「ふ~ん」と聞いているだけで何も反応しないだろう。あったところで「それで、あんた何ができるの?」てなもんであって、ただそれだけのこと、なのである。(笑)




同じ中央銀行と言ったところで、他の先進国とは仕組みが異なっており権限も全く違っているのである。今の中国人民銀行総裁など、本当に何もやること無いと思われる。真に権限を持っているのは共産党なのだから。


中国の人民銀行総裁・・・その地位をもう少しわかりやすく日本に当てはめるとなると、省庁の「課長補佐」程度ではないだろうか。つまり…コニタンこと小西洋之議員程度、ということだ。(蔑笑)


中国人民銀行総裁は西側と同列のランクで来ているのだが、中国国内的には全く権限の無い人物である。この人物の発言を大きく取り上げるマスコミは無知そのものだ。恥ずかしい程の無知。ただの課長補佐程度の発言を、普通大きく取り上げますか?…ということだ。

だからマスコミは一切信用できないのである。







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(*1)
「フレンド・ショアリング」
フレンド・ショアリング(friend-shoring)とは、ある国が同盟国や友好国など近しい関係にある国に限定したサプライチェーンを構築することを意味する。この概念は、2016年ごろよりアメリカと中国の間に生じている貿易摩擦を背景に、アメリカが自国の経済安全保障を目的として始めたサプライチェーンの強化体制を指すものとして登場した。
直近では、コロナ禍による物流の停滞やロシアのウクライナ侵攻による小麦やエネルギー供給の危機などもあり、アメリカだけではなく様々な国がサプライチェーンの見直しを迫られている。そして、同志国との安全で信頼できる関係をより重視していこうというフレンド・ショアリングの動きも拡がりつつあるのだ。











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