昨年4月の某時計オークションカタログを当時,某ショップ店長と見ていた私は,〝えっ!?〟というミルガウスを発見しました。そのオークションロットの英文説明には1998年にメンテをした際にミドルケースが交換されシリアル〝A〟とされたそうです。画像からも判るとおり,2006年に香港ロレックス,翌年には日ロレに持込まれた形跡があります。
しかしブレス関連の作業のみで,オーバーホールは一切されていません。それでも各国のロレックスでは正式にコンピューター登録されています。ロレヲタ界では1019の最終シリアルは〝R〟ナンバーです。
ところで現在,一般的にニューミドルケースの交換後のシリアルはどのモデルにしても頭4ミリオンらしいですが,私も同感です。綺麗なミドルケースの頭4ミリオンは交換されている可能性が非常に高いのです。
ただ私の記憶では2002年頃までニューミドルケースは元来のミドルケースナンバーを再打刻されていたはずですが。
お話はシリアル〝A〟の1019に戻りますが,当時ショップ店長と驚きながらも妙に納得していた私は先日友人宅のネットでコピーミルガウス1019を見つけてしまいました。ご丁寧にもこの時計のミドルケースのシリアル番号の画像も出ていて,なんとそのシリアル頭は〝K〟ナンバーでした。
そこで昨年のシリアル〝A〟の1019を再び強烈に思い出したのです。
しかしこれは推測ですが,この某時計オークションの説明する1998年にミドルケースがコピー1019のAシリアル物と交換された時計,つまり2個1のガッチャマンを修理に持込まれ,贋作とは気が付かなかった某国のロレックスがコンピューター登録してしまい,その後,ロレックスを次々と通過したという説と,そうではなく,Aシリアルであっても,このロットの時計がコンピューター上,他のロレックスと同一ナンバーでバッティングしないから本当にメーカーストックの無打刻1019ミドルケースに新シリアルを打刻したという見解もできます。それでも何故,頭〝4〟ではなく〝A〟シリアルなのですかね?
ロレックスの管理体制からすれば,後者のほうが,有力で,〝ロレックス〟ではありますが,私的には1019の製造期間から逸脱する価値のない本物の1019となります。ちなみにこの時計の落札総計は400万円近くでした。
私は少しでもリスクのある4桁はいりません。特にメンテのしない手巻デイトナには今後非常なるリスクが発生するでしょうね。
余談ですが,ロレックスの修理明細書以外のペーパー,例えばブレス交換だけのペーパーを以って,いかにもロレックス社がオーバーホールのメンテをしたかのような錯覚を起こさせるようなロレックス社発行のペーパーには別途注意が必要です。