フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

2010-06-08 23:20:47 | Weblog
町を歩いていて、私の子供の頃と現代で決定的に違うのは、街中に釘がほとんど落ちていないことです。運動靴で釘を踏んで足を傷めたことがありましたよ。りんご箱から段ボールへ変化して少なくなりました。各家庭でもお父さんが釘を使って大工仕事をすることも少ないでしょうから、今の子供達は釘そのものを知らないかも知れませんよ。釘を利用して陣取りという遊びもあった位です。
どれくらい生活に溶けこんでいたかは、釘を使った言葉からもわかります。「糠に釘」「釘を刺す」「釘づけ」などが思い浮かびますが、例えば「糠に釘」は努力しても少しも手応えや効き目がないこと、「釘を刺す」は後で問題が起きないようあらかじめ念を押すことをいいます。古い建築様式は釘を使わなかったのですが、江戸中期頃から念の為に釘を打ったことが語源です。
さて、「ちぐはぐ」という言葉がありますが、ちぐという金づちとはぐという釘抜きを交互に使うので一向に仕事が進まず何をしているのかさっぱりわからないところから言葉が生まれました。
菅政権は先の内閣のように総理がちぐで閣僚がはぐといったちぐはぐな状況に陥らないように、まずは閣内の意思が統一されるようにして欲しいですね。スタートに当たって釘を刺しておきます。