フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

笠戸丸

2008-06-18 23:52:29 | Weblog
北原ミレイさんのヒット曲「石狩挽歌」(1975年)に「沖を通るは笠戸丸」という詞(なかにし礼作詞)があります。歌だけを聴いた時は「笠戸丸」という字も浮かびませんし何の事かわかりませんでした。今日のニュースで笠戸丸が大きくクローズアップされています。
1908年にブラジル第1回移民781名を乗せて神戸港からブラジルに向けて出航した笠戸丸がサントス港に着いたのが、今日6月18日で丁度100年前の事です。従って今年は日伯交流年として移民100周年のお祝い行事が数多くあり、皇太子殿下もブラジルに出掛けられています。
この笠戸丸は1900年にイギリスで建造され、最初はロシア船でしたが日露戦争後、旅順港で沈んでいたこの船を日本が引き揚げ、日本海軍に移籍したものです。
ところで第1回の移民の皆さんはどんな気持だったのでしょう。日本の23倍もの広大な国土のブラジルで、どんな生活をしようと思ったのかは想像するより仕方ありませんが、移民の子供達の発言の中には「祖父母や父母の苦労の上に、現在の恵まれた自分がある」という思いがありました。日本でこんな発言を聞く事ができるでしょうか。
ブラジルでのドキュメントをかつて見た時、夕陽の美しさが描きだされていました。遠く故郷を離れた淋しさを支えるのはこの夕陽の向こうに日本があるという気持だったそうです。
改めて思うに、自然の持つ力は強いですねぇ。