豆の育種のマメな話

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なぜ、北海道で豆の栽培が盛んになったか?

2011-05-28 16:26:43 | 北海道の豆<豆の育種のマメな話>

北海道新聞の土曜日版夕刊に,週刊フムフム,世界と日本大図鑑(学校の教材に役立つ大図鑑)という子供向けの連載が組まれている。

 

去る平成23129日,大図鑑378として,豆王国HOKKAIDOが特集された。「日本で稲作が始まる前から食べられていた豆。北海道は,大豆,小豆,インゲンの生産量日本一を誇る豆王国です。23日の節分を前に,北海道の広大な畑で育つ道産豆を紹介します」と,豆の全てが理解できるように,データも含めて幅広く分かりやすく解説されている。

 

取材協力の依頼を受け,次の一文を寄せた。ご覧になった方,いらっしゃいますか?

 

なぜ,北海道で豆の栽培が盛んになったか?

地球上に豆科の植物は18000種,食用に供される豆は約80種あるといわれる。

 

アジア原産の大豆と小豆は,古事記や日本書紀に記述があるように,日本でも古くから栽培され,みそ,しょうゆ,豆腐,納豆,赤飯,あんなど伝統食品として食されてきた。一方,いんげん,落花生は中南米,えんどうは地中海が原産地で,日本に導入されたのは江戸時代以降のことである。

 

北海道における豆類の栽培は,江戸時代に,渡島,檜山地域へ和人がもたらしたとの記録があるが,主として明治に入り開拓者が道外から種子を持ち込み,みそなどの原料を得ようと種をまいたことに始まる。また,開拓使や札幌農学校も,いんげんやえんどうの種子を欧米から導入し,北海道に適する品種を選んで植えた。開拓が進むにつれ,栽培は道南から道央,道東へ広まり,道内各地に豆の産地が形成された。

 

北海道に豆作が定着した要因は,①豆類が北海道の気候,特に内陸的気候に適する②労力が少なくて済み,大規模栽培ができる③少ない肥料で栽培でき,地力を消耗しない④貯蔵や運搬が容易で商品として優れるなど,いくつか考えられる。

 

その後,生産者や農業試験場など関係者の尽力により,品種や栽培技術が飛躍的に改善され,道産の豆は品質面で高い評価を得るようになった。有機物を導入した土作り,輪作体系が確立したことに加えて,日夜の気温較差が大きく,冷涼な秋風の中での乾燥など,北海道の自然環境が高品質でおいしい豆を生産するのに役立っている。

 

豆類は,高タンパクで必須アミノ酸や脂肪酸組成の優れた食品として知られている。さらに近年の研究から,食物繊維やポリフェノールなど機能性成分を多く含み,健康食品として優れていることが明らかになってきた。ところが残念なことに,家庭では豆を食べる機会が減っているという。豆を食べ,今年もマメに暮らしたいものだ。

 

参照:北海道新聞夕刊,2011129

 

  

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