豆の育種のマメな話

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ニャンドウテイ,「蜘蛛の巣」と呼ばれるパラグアイ刺繍

2012-08-16 13:56:50 | 南米で暮らす<歴史・文化・自然>

パラグアイの民芸品には,手編みレース,皮製品,銀細工,陶磁器,木工品など色々あるが,先住民族グアラニー伝来の素朴なものが多い。中でも代表的なものは繊細なパラグアイ刺繍(織物)であろう。ニャンドウテイ(Ñandutí),エンカヘジュ(Encaje jú),アオポイ(Ao poí)等がある。ニャンドウテイはパラグアイ独自の繊細さ,エンカヘジュは粗にして朴訥,アオポイは少しお洒落な感じが特徴だ。

先ずは,ニャンドウテイ(Ñandutí

グアラニー語で「蜘蛛の巣」(Ñanduが蜘蛛)を意味し,蜘蛛の巣のように繊細で美しい形状をしている(パラグアイ独特のもので「パラグアイ刺繍」とも呼ばれる)。グアバやパッションフルーツの花をデザインした模様や幾何学模様(基本図形,70種以上あると言われる)を組み合わせて,一本の糸で手編みする。

主に衣装の飾りやテーブルクロス,ヴエール,壁掛けなどに使われる。観光客向けのお土産としても人気があり,民芸品店や路上屋台で小物から大きい物まで多数販売されている。細い糸で編み上げた作品は,制作に時間がかかるため値段も高い。アスンシオンから車で1時間弱の所にあるイタウグア(Itauguá)が,産地として有名である。

 

ニャンドウテイを最初に見たとき

「どうして作るのだろう?」との疑問が頭をよぎった。何しろ,繊細な模様を色とりどりの刺繍糸だけで編み上げ,製品(蜘蛛の巣)が出来上がっている。しかも,全てが手作りで,芸術作品ともいえる代物なのだ。

 

作成手順を簡単に説明しよう。

1.材料・道具:木枠(bastidor),布(tela),糸(hilos),針(aguja

2.木枠に布を張る

3.布に円や半円,方形など模様の原型となる下絵を描く

4.下絵にそって,布の織り目を利用しながら,刺繍糸で織り進める

5.パンジー,狐の尾,蜘蛛の巣,小山,時計草,四角星,小さい籠など多数の図形(デザイン)が考案されている。基本図形をマスターすれば,独創的なデザインも作成可能

6.基本図形を多数組み合わせた下絵に沿って作品を完成させる。このまま装飾品として飾る場合もあるが,通常は以下の道程を経る

7.完成品を糊付けする

8.乾燥したら,刺繍糸を残し,鋏やピンセットを使い下絵を描いた布を除去する

9.刺繍糸だけになった完成品を衣装やテーブルクロスの飾りとして縫合する

 

因みに,添付の作品(写真)はSra. Shoko Tsuchiyaの作品。

 

◆エンカヘジュ(Encaje jú

エンカヘジュも木枠の中に手で一本一本編んでいく編物で(布を使わない),木綿糸の太さは色々あるが,ニャンドウテイに比べて粗い出来上がりとなる。日用品に供されることが多い。



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