アオポイ(Ao poí)
アオポイはパラグアイを象徴する綿織物だ。輸出もされている。涼しげな綿生地に優美な刺繍を施したもので,シャツやブラウス,テーブルクロス,カーテン,装飾品などの製品がある。アオポイの名は,ガラニー語で布を意味するアオ(Ao)と繊細を意味するポイ(Po’i)に由来する。17世紀この地に持ち込まれたスペイン刺繍が定着し,パラグアイ人の器用さによって,より繊細なアオポイ織物として芸術性が高められたと言えるだろう。
グアイラ県のジャタイトウ市(Yataity)が産地として有名である。この町は国道2号線のコロネル・オビエド(Cnel Oviedo)から南に27km,音楽家や詩人を輩出した文化都市ビジャ・リカ市(Vilarrica)の手前17kmにある。国産木綿の生産が盛んな土地柄で,アオポイを織り,販売する,草ぶきの家が並んでいる。
アオポイのシャツやブラウスは,パラグアイの暑い夏のパーテイには欠かせない。公式な場所でも許される着衣だ。やや硬い木綿生地の着心地がサラリとしている。
友人夫妻がパラグアイを訪れ,帰りしなに尋ねられた。
「お土産は何が良い?」
「小物ならニャンドウテイの・・・,記念にするならアオポイのシャツはどうかね」
彼はアスンシオンの専門店で,これは自分に,これらは息子たちにと,胸元に刺繍が入ったアオポイのシャツを選んだ。
彼らは今頃,お洒落なポロシャツ感覚で,札幌の夏を楽しんでいるだろうか。
もちろん私の手元にも,友人ロメロ夫妻から贈られたアオポイのシャツ,サンチアゴ場長夫妻から頂いたネクタイなどがある。パラグアイの人々は,アオポイを誇りにしているのだろう。